第35話 意外な対戦相手 (3)

奇妙な黒い対戦相手がトレーラーから取り出した物を見た時、何かの

間違いでは?と、ケンは思った。

どう見ても・・・ 形状といい、長さと太さのバランスといい・・・

それは、ゴルフクラブそのものだった。

ティナ「なにアイツ!? ふざけすぎてるんですけど!!」


2~3回の素振りする様も、動き自体は普通のゴルファーに見える。

ただ、推定全長が20mの不気味な姿をしたロボット、という違和感。

その奇妙な黒い対戦相手は、本当にプレーするような感じでアドレスに入ろうとしていた。


ミナコ「やっぱり、さっきの・・・打つボールだったんだ。」

ティナ「でもさ、こっちに打ってきたとしても、ミサイルよりかは・・・

絶対スピード遅いはずよねー?」

ケン『何か・・・何か、仕掛けてくるはずなんだ。』


どうやら、そのゴルフクラブの形状は、9番アイアンのようだった。

ゆっくりとテークバックを取り、スウィングのトップへ持って行こうとする

奇妙な黒い対戦相手。    そして・・・

アプローチショットのような一打が放たれた。


突然、PC画面に『警報』の表示が点滅。


      ・ボールの色が青からオレンジに変化しました・


ケン「!!」

とっさに、最高速(とは言っても)30km、手前の方角に向いている矢印の表示

に手を置き、ダッシュで後退を図った。

ケン「着弾するぞ!! 衝撃に備えろ!!」

ティナ『そんなこと言ったって、持つとこレバーしかないよ!』

ミナコ『マー君・・・!』

 

      ・心配要りません・


中心のマークがオレンジ色に変化したボール。

それが手前約500m地点で着弾した。

大爆発。 大音響による振動、爆風による地震のような揺れ。

それらが同時に襲い掛かってきたのだった。

ティナ「うわっ!!なんも見えないよ!!」

メンバーが見ているモニターの映像には、もうもうと立つ煙しか映っていない。

ケン(これが向こうの狙い・・・?)


    ・すでにミサイルが2発同時に発射されました・

    ・撃墜は可能です・


ティナ「えっ!? 音、聞こえた!?」

ケン『おそらく、爆発と同時に撃ったんだろう。』

と、言い終わったと同時だった。

ティナのいる砲台が真上を向き、ミナコのいる砲台が真後ろを向き、それぞれ

突っ込んできたミサイルを仕留めた。

ミナコ「・・・すごいね、マー君! ちゃんと見えてたんだ!」

ティナ「あと、一発・・・よね?」


『こいつは驚いた・・・ 見えてやがったか。』

『カピタン、どうするんだ? もう終わりにするか?』

『いや、興味が湧いてきた。 試しに、5-14・16番を使ってみる。』

『・・・え? いや、待て! それはさすがにマズイだろう!?』

『ステラさんに、PCをシャットダウンしとくよう言っといてくれ。』


煙は未だ広範囲に留まっていた。

ケン「こんな時に風が吹いてないなんて・・・」


濃い水色のマークの付いたボールを白い塩の大地にそっと置く、奇妙な黒い

対戦相手。 そして、それまでの9番アイアンからドライバーに持ち替えた。

『さあ、撃ち落してみろ。』





    

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