第31話 模擬戦 (1)

ミナコ「リーダー! ホーム・A I みたいに話しかければいいんだって!」

ケン「分かりました、 やってみます。」

空に爆音が響き始めた。 

ケン「・・・マークン、こちらに向かってくるミサイルや銃弾などの飛翔体を

周囲200m以内で打ち落とせるか?」

操縦席手前のパネルにドット表示が3秒。  そして、音声の無い文章。


・フルオート掃射の設定、完了しました・

・指定されたエリア内の飛翔体は全て撃墜が可能です・



『隊長、“レトロな戦車”、確認しました。今の所、めだった動きは無いようです。』

『国連の新兵器デモンストレーションなんですかねー? 隊長。』

「とにかく、3発ブチ当てて国連からボーナスいただくとするぞ。」

揺れ動く、コックピット前方に二つの円形マーク。

そのマークがピタッと重なった。

発射された、寸詰まりのマッチ棒のような形をしたミサイル。


ティナ「きたあっ!!」

ジェットコースターのソレのように固定された座席が、グルンと転回した。

それとほぼ同時に、パン、パン、パンと拍手に似た破裂音。

ミナコ「・・・あれ? 当たったの?」

上空、風に流される煙。


ステラ「ジェファーソン・ジェッツの皆さん、お疲れ様でした。結果報告は

映像と共にそちらの本部へ送信しておきます。」

『ジェファーソン・ジェッツ、了解。』

ステラ「さてと・・・通信ができない人たちには、これの出番ね。」


ティナ「リーダー、見て! カフェの方!」

見ると、遠くの方で女性らしき人物が何か板を掲げているように見えた。

ミナコ「マー君、ここの画像、拡大して。」

その部分がズームアップされた。

そこには、よくレースで使用されるサインボードを頭上に掲げているステラ。

ROUND 1 と表示されたサイン。

ケン『それは良く分かったんだけど・・・』

ティナ「何か問題あった?」

ケン『どう返事したらいいか?なんだ。』

ミナコ「マー君、何かいいアイデアない?」   すると・・・

操縦席手前のPC画面に3秒間のドット表示。

続いて、簡略化された戦車のCG画像と矢印で動き方の方向を示す図解。

それが2パターン表示された。

ケン「なるほど。」

ティナ『うん、分かりやすい!』

ミナコ『マー君、これ保存して。リーダー、いいでしょ?』

ケン「そうしましょう。」

どうやら、左右の砲台にいる二人の所にも表示されているようだった。


ステラから見るレトロな戦車に、ちょっとした動きがあった。

ちょっとだけ後退し、ちょっとだけ前進。

ステラ「分かってくれたのかしら・・・?」

ならばと、もうひとつのサインボードを掲げてみた。

すると、先ほどと同じ動きを見せたレトロな戦車。

ステラ「うん、まあいいや。あとで訊いてみよ。」


ティナ「ROUND 2かぁ・・・いくつまでやんのかな?」

ミナコ「ステラさんが終わり!って言うまでじゃない?」

ケン「・・・来るぞ!」


響き渡るヘリコプターの爆音。




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