第28話 決定した、いくつかの事 。
秘書風の女性こと、ステラはテーブルに置いた自分のノートパソコンをしきりに
チェックし、そして、イライラもしていた。
ステラ「部長・・・ 私、こんな遅い議会、初めてです。」
I・J「それだけ重要な案件、という事だ。 ペレットやファイアービーンズとは
比べ物にならない位と見ているんだろう。」
ケン「・・・いいんですか? そんな重要機密事項の単語を出して・・・。」
ステラ「いいんです。 もう、ひと昔前の話ですね、それは。」
I・J「あとで、奥にいる二人にも説明してやってくれ。」
ステラ「承知しました。 ・・・ところで、部長・・・。」
I・J「なんだ?」
ステラ「さっきから、香ばしい匂いがしているのをお気づきですか?」
I・J「ああ、とっくにな。 で、君はどうしたいんだ?」
ステラ「私は注文します! 帰ってからの議会で倒れるワケにはいきませんので。
部長はどうされます? そこで見ておられますか?」
I・J「・・・ふざけるな。その手のジョークは却下だ。俺も注文するぞ。」
ステラ「だ、そうです。(笑) ところで、何ができます?」
ケン「たいした物はできませんけど・・・ そうですね、手っ取り早くできるのであれば、炙り焼きソーセージとスクランブルエッグのホットドッグ・・・ チーズとスパムミートのサンドイッチぐらいですかね・・・。」
ステラ「という事は、時間がかかる物もあるのかしら?」
ケン「お時間さえいただければ、アンチョビ、またはオイルサーディンのリゾットはお出しできます。」
I・J「よし、そのコースで行こう。」
ケンは再び有り合わせの食材で調理を開始、ミナコは片付けてしまったコーヒー豆とパーコレーターを出し、二人分の粉と水を入れ、電気コンロに置いた。
ミナコ「リーダー、ニクロム線のコンロ、一つ借りるね。」
ケン「ガスコンロ、もうダメでしたか?」
ミナコ「うん、ガス欠になってた。」
ティナは冷蔵庫にあったミネラルウォーターが料理用に使われるのを受け、何か
代わりに出せる物は無いか探してみたが、そんな気の利いた飲み物は無かった。
かと言って、店のご主人が飲んでいたバーボンを提供する訳にもいかない。
そんな中、ティナの目に留まったのは、一缶だけ残っていたコーラだった。
ティナ「すいません・・・こんなのでよろしければ、いかがっすか?」
GREAT SALTLAKE COLAと印刷されているコーラの缶。
I・J「見ろ。こんな所にあったぞ。」
ステラ「あらまあ! それ、いただけるかしら?」
とはいえ、温いまま出すワケにはいかない。
二つのグラスにそれぞれ氷を入れ、二等分になるよう慎重に注ぐ。
国連の諜報組織から来た二人の客人に、この間に合わせのコーラは割りと受けが
良かった。 どうやら、けっこうレアな物だったらしい。
二人分のリゾットがテーブルに運ばれようとした時、別のテーブルに置いてあった
ノートパソコンからアラーム音がした。
ステラがそのパソコンを覗き込む。
I・J「どうだった?」
ステラ「概ね、私と部長の意見が通ったようです。」
食事を済ませた二人の客人は、メンバー3人を横一列に並ばせた。
ステラ「発表します。 TEAM MOTOI-CREWは・・・ 」
固唾を呑む、ティナとミナコ。そして、ケン。
ステラ「国連特殊諜報組織 DRAUG の傘下に入り、特殊任務及び依頼等の遂行 に当たっていただきます。 よって、国連から配信されるTEAM関連の依頼ではなく
、全てにおいてDRAUGから配信された依頼のみ受ける事。なお、救難などの緊急の場合でも、必ずこちらへ連絡を入れてください。 適切な判断、許可等はこちらで
いたします。 それと、もうひとつ・・・」
ケン、ティナ、ミナコ「???」
ステラ「この場所を、DRAUGユタ州出張所と定め、同時にTEAM MOTOI-CREWの本拠地とします!」
I・J「これは、異例中の異例なんだが・・・ このTEAMにも監査官が配属される事になった。 ここに任命しようと思う。 ステラ・ミーティアーズだ。」
ステラ「よろしくお願いいたします!!」
えらい事になってきたと、ケンは心配せずにはいられなかった。
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