第24話 閉店直前レストラン (1)

ケン「ティナ、キッチンに誰かいるか確認! 須田さんは入り口をロック、

外の見張りを!」

ティナ、ミナコ「了解!」

さて、問題は・・・このソファーに寝ている、白人系で初老の男。

最悪の予想はしてみたが・・・  案外、客という可能性もある。

ともかく、真相を確かめない事には進展が無い。 と、言うワケで・・・

ケン「ちょっと気の毒って気もするけど、たたき起こすしかないな。」

そう言って、その男に近づくと・・・

突然、バチッと目を覚まし、ケンを見るなり、こう言った。

  「・・・おまえ、日本人か!?」

ケン「・・・そうですけど、何か?」

その男はケンたち一行の訪問に、ひどく驚いている様子だった。

ケン「何をそんなに驚いているんですか?」

 「・・・夢に出てきた女だ。 会った事もねえ知らない女がな、俺に向かってこう言ったんだ。」


『 もうじき、日本人の青年がここを尋ねてきます。  あと、他にメンバー二名、空腹で困っているようでしたら、何か食べさせてあげて下さい。 』


「・・・これは神罰の前触れか何かだ! そうに違いねえ。俺は今まで・・・ 」と、グダグダ言い続けるその男が言っていた、「夢に出てきた女」というワード。

ケンには多少の心当たりがあった。  だが、どうにも取っ付きにくさを感じる。

この場合・・・ いきなり、あの写真を見せていいのかどうか? そこへ・・・

ティナ「マスタあー、なんか食べさせてくれますー?うちら腹ペコなんすよー。」

「・・・そうだったな。少し待ってくれるか。」

ケンは、ティナのGJな機転に助けられた気がした。

ティナ「リーダー、キッチンには誰もいませんでした!異常ナシ!」

ケン「ありがとう。  須田さん、そっちはどうですか?」

ミナコ「だいじょうぶ。誰も来てない。」

ケン( でも・・・ もうじき厄介な人がくるんだよな・・・ )

店のマスターと思しき男は、ソファーから立ち上がろうとする時、杖を使った。

キッチンへ向かう足取りも何かおぼつかなく、普通に歩くのが辛そうだった。

「たいした物はできんぞ。かんたんなホットドッグ、ハンバーガーくらいだな。」

ケン「ご主人、俺が何か作ります! 座って休んでてください!」

「そうはいくか。  閉店間際にこんな所・・・わざわざ食いに来てくれたんだ。

最後の客には・・・せめて食える物は出さんとな。」

笑えない冗談だと、ケンは思った。

どうやら、店のマスターは最初にコーヒーを煎れてくれるようだったが・・・

「・・・ボーイ、やっぱり出番だ。俺の脚は限界が来ちまった。」

パーコレーターに火をかけたところで、店のマスターはティナとミナコに支えられ

、元いたソファーに腰を降ろした。

ケン「さてと・・・」

とりあえず、戸棚に入っていた食材を全部出してみた。

ハンバーガーとホットドッグのバンズが3個ずつ、計6個。

ドライトマトが半分ほど残っている、バイクのヘルメット大の袋。

いずれも未開封(当然)の缶詰4個。

オイルサーディン、アンチョビ、コンビーフ、スパムミート。

5個残っている、固形ブイヨン。 ちゃんとSALTと書いてある500mg程の塩。振ってみると半分近く残っていそうな、350mgブラックペッパーの缶。

それと、2kg入りで未開封の米袋・・・

よく見てみると、粒の細長いインディカ米のようだった。

そして、(業務用)冷蔵庫の中身はと言うと・・・

ソーセージ3本、ハンバーガー用パティ3枚、一斤残っている食パン。

Lサイズ一人分しか残ってない、揚げる前のフライドポテト。 

瓶入りの4品。 マヨネーズ、粒入りマスタード、ケチャップ、チリソース。

灰色の段ボール紙のケースに入っている卵もあった。 12個。

何故か、冷蔵庫に入っていた1リットル入りサラダオイル。

おなじみのケースの中に専用ナイフが入れっぱなしになっているマーガリン。

冷凍室は・・・

製氷皿に氷はできていた。 ただ、もう一つ。これまた羊羹サイズのバター。


問題そうなのは・・・  調理器具と食器のようだ。

 

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