第22話 報告と審議 (1)

ミッション終了の報告を新国連のTEAM担当に送信すると、しばらくして

返信があった。


{ お疲れ様でした。今回の依頼の件で最初に申し上げた通り、報酬は見送られる形となりました。代わりに、情報取得エリアの拡大と、その制限が解除される措置がとられました。 有効活用していただければ幸いです。 }


ティナとミナコに今後の事を話し合う前に、もう一つ報告しなければならない所。 ケンは自分たちが乗ってきた “レトロな戦車” を何枚か撮影して・・・

スマホのアプリ、図案化された人工衛星に大文字の“D"マークに送信した。

夕方近くとはいえ、この一帯はまだまだ日差しが強い。

遮る物は、この “レトロな戦車” だけ。

ティナとミナコに再び乗り込んでもらい、しばらく休憩するよう指示すると、

ケンは外で “D”マーク機関からの返信を待った。

捜索TEAMは全員引き上げ、周囲には誰もいなくなった。

空を見上げてみても、飛んでいる航空機は無い。

(そう言えば、VSTOL機に乗っていた隊長さんは無事に帰還したんだろうか?)

・・・・・ 返信が遅い。

(こんな事は初めてだ・・・。)

ケンは “D"マーク機関に再びアクセス、『会話報告』モードに切り替えた。

通常の電話で当たり前に聞く発信音が鳴っている。

『ケン・モトイさん、確認が取れました。あなたの担当、I・Jは現在会議中です。

後ほどそちらへ連絡が行くはずですが、どういったご用件でしょうか?』

いつもの野太い声ではなく、AIっぽい女性オペレーターの声だった。

ケン「じゃあ、伝言お願いします。これから移動を開始しますが、その時だけ

音信不通になります。と、お伝えください。」

『承りました。』

ケンは再び “レトロな戦車” に乗り込んだ。

ティナ「リーダー、おつかれ。これからどうするの?」

ケン「二人ともスマホ持って、いったん外に出てくれるか?」

ミナコ「あたしたちも報告しないといけないんだったっけ?」

ケン「いや、レストランとホテルの検索を頼みます。」

3人は外へ出て、それぞれスマホをいじり始めた。

ティナ、ミナコ「・・・・・・・・。」

ケン(・・・連絡はまだ無い・・か。)

ミナコ「ここ・・・ホント、周りに何も無いんだね。ホテルなんか都市部まで

行かないとダメみたいだし。」

ティナ「あのさ・・この近くに臨時のレストランみたいのがあるらしいんだけど、

ダメもとで行ってみる?」

ケン「ここから、どれくらい離れているんだ?」

ティナ「ん~とね・・・ なんだ、10km程度だって。」

ケン「ティナ、その地図情報、保存しといてくれ。そこにする。」

ティナ「りょーかい。」

ミナコ「リーダー、ホテルはどうするの?」

ケン「この戦車、国連からまだ承認されてない。 で、当然ナンバープレートも

発行されてない・・・で、このまま都市部に行ったとしたら?」

ミナコ「・・・あ、そうか! 公道NGなんだ!」

ティナ「でも、ここからそのレストランまでだったらOKなんじゃない?」

ケン「とにかく行こう。こんな所で待っていたら身が持たない。」


3人は再び “レトロな戦車” に乗り込んだ。


 

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