第20話 脱出した、もうひとつのモノ
依然として、目の前に居座り続けるミサイル(?)。 その先端部の変化が気になっているケンだったが、今はティナとミナコ の様子を確認するのが先、と考えた。
操縦席(?)のドアを開けると、すでにミナコが呆然と立っていた。
ケン「須田さん、ティナは・・・?」
ミナコ「・・・あ、そうだった!」
もうひとつの△マークの部屋のドアは、まだ閉じたままだった。
ケンがそのドアを開けると、ふさぎ込んでいるティナがいた。
ティナ「・・・リーダー、せっかく撃ったのにぜんぜん変わってないよ?」
ケン「ああ・・・そうだな。 これからどうするか、会議するぞ。」
ミナコ「爆発しなかったんだし、とりあえず良しとしようよ。ね?」
ティナ「確かにそうだけどさぁ・・・。」
3人は犬小屋型PC端末を囲み、会議を始めた。
ケン「こうなってしまったからには、次の手を打たなくてはならない。
・・・当然だよな? そこで、考えたんだが・・・これを見てくれ。」
そう言ってケンは操縦席(?)のドアを全開にした。
相変わらずミサイル(?)の先端部のような物体はモニターの大部分を占めて
いるが、そのドーム型の先端部が何故か一部だけ透明に変化したおかげなのか、
射し込む光が以前より多くなっていた。
ティナ「リーダー、あのブラックボール・・・なに?」
ケン「俺が知りたいよ。」
ミナコ「で、どうするの?」
ケンは自分のスマホを取り出し、電源をONにした。
アプリが表示され、続いて画面右の角にも漢字二文字が表示された。
” 圏外 ”
ケン「・・・だろうな。」
ミナコ「そう言えば、この乗り物の中って通信機器みたいの無くない?」
ティナ「ホントだ・・・ 言われてみれば!」
ケン「この乗り物か、この部屋の中は完全に電波が遮断されている構造だと
認識するほか無い、と思う。 そこで・・・。」
ミナコ「あたし、思ったんだけど、光が差し込んでいるってことは建物に穴・・・
開いてるってことでしょ? だったら、電波も入ってくるんじゃない?」
ケンは自分のスマホを操縦席(?)の正面モニターに近づけた。
ミナコ「・・・圏外だ・・・。 なんで?」
ケン「あれは窓から外を見ているのではなく、カメラを通して映像を見ている、
としか考えられない。」
ティナ「じゃあさ、ほかに打つ手・・・あるの?」
ケン「さっき、電波が遮断されているって言ったよな? ・・・だったら・・」
しゃがみ込み、自分のショートブーツを履き直すケン。
ミナコ「リーダー、まさか・・・!?」
ケン「俺がいったん外に出て、救難信号を送る。もう、これしか方法が無い。」
タイミングが、良いのか悪いのか、ゴゴン!と部屋中に響く音。
ミナコ「ほらぁ! やっぱり危険よ!」
ケン「・・・確かに、こんな音を聞かされちゃ躊躇するよな・・・。けど・・」
ティナ「リーダー、ダメだってば!」
ミナコ「・・・・・じゃあ、ドアだけ開けて、そこから信号送ればいいよ!」
ティナ「ミナコぉ、それだぁ!」
ケン「・・・それだと、あの砂埃が部屋に入りまくる事になる。」
ティナ「そんな事言ってたらナンにもできないじゃん!」
ケン「アスベストたっぷり・・・かもしれないぞ?」
ティナ「それは・・・イヤだけど・・・ じゃあ、どうすんのさぁ!?」
ケン「そろそろ、捜索TEAMが俺たちを追って突入した頃だと思う。」
ミナコ「その人たち、当てにできるの?」
ケン「・・・難しいな。俺たちが突入した裏口を彼らが発見し、入り込めた
としよう。 階段の途中にあった目立たない踊り場をスルーして、そのまま
真っすぐ降りてしまうか、あるいは、ここに辿り着いたとしても、この乗り物
の中に俺たちがいるなんて誰一人知らないはずだ。」
ミナコ「つまりは当てにできないって事ね。」
ティナ「あのさ・・・考えたんだけど、その捜索TEAMってビルの解体・・・
やってないのかな? 外側から穴を開けてく、みたいな。」
ケン「それまで全員持ちこたえている事ができ・・・・」
ドォオオン!!!!
3人とも床に転倒してしまったほどの衝撃波だった。
ケン「二人とも!大丈夫か!?」
ミナコ「いったぁ・・・なに?今の。空気にぶたれた感じ・・・。」
ティナ「リーダー、見て!! おっきな穴、開いてる!!」
見ると、これまで以上の日の光が3人のいる部屋をさらに明るく照らす中、
その真ん中を滑る様に去ってゆく物体が見えた。
それこそ、行く手を阻んでいた、”ミサイルの弾頭”の姿そのものだった。
しばらく呆然と見送っていた3人だったが・・・。
ケン「よしっ!! ここを出るぞ! 持ち場についてくれ!」
ティナ、ミナコ「ラジャー!!」
どうにか研究所跡から脱出できたMOTOI・CREWの3人。
だが、自分たちが乗り込んでいた乗り物の姿形は知りようが無かった。
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