第19話  秒読み

ティナ『リーダー、聞こえてるー?』

ケン「ああ、聞こえてる。何か変化はあったか?」

ティナ『なんかねぇ、チャージ中ってでてる。ミナコはどぉー?』

ミナコ『この下の所の棒グラフみたいなのも・・・関係あるの?』

ケン「とにかく、何らかの指示みたいなのが出・・・」

と、言い終わらないうちに< チャージが完了しました >の表示。

ケン「二人とも!そっちは何て表示されてる?!」

ミナコ『操縦席の指示があるまで待機・・・だって。』

ティナ『おぅ、そう読むんかー。』

ケンが見ているタッチパネルには、相変わらずの赤い線で構成された

ミサイル(?)の先端らしきフレームワーク図。

そして、その先端の中に位置する〇の図形。

新たに加わった、左右に一個ずつある△マーク。

さらに、画面右から横スクロールで表示される文言は・・・

『両手で△マークに触れ、そのまま〇マークに重ね合わせて下さい。』

その直後の追加表示文を読んだケンは、指示通り事を済ませると両脇の

部屋にいるティナとミナコに呼びかけた。

ケン「聞いてくれ。これからカウントダウンするそうだ。」

ティナ、ミナコ『!!』

ケン「二人の所に、軽飛行機の操縦桿みたいなハンドル、無いか?」

ティナ『ある。これ、どうするの?』

ケン「普通に両手で握って、自然に親指が触れる所がスイッチになってる

はずだ。 ちょっと、押してみてくれ。」

二人がハンドル(?)にあるスイッチを押すと、カチッといって少し突起

した形になった。   すると・・・。

ミナコ「え、もう・・・こんだけ?」

ティナ「・・・・・・・。」

二人の目の前、スクリーンに大きく表示された二桁の数字。

60から始まり、1秒ごとに数字が減っていく ” 秒読み ” 。

ケン『数がゼロになった瞬間、そのスイッチが赤く点灯する。 その時、

そちらで一斉にそれを押してほしい。それから・・・この件に関しては、

怖くなったので撃てなかった、というのは一切無し!   必ず・・・

必ず実行してくれ! あえて言わせてもらう。・・・・これは命令だ。』

55から49の間、沈黙があった。

ケン『返答を聞かせてくれないか?』

36から25まで間があった。

ティナ、ミナコ「・・・・・了解。」

後は沈黙が続いた。

二人とも、ハンドルレバーを握ったまま画面の秒読みを凝視している。

秒読みの数が一桁に突入した。           そして・・・

             0 !!

ハンドルレバーの両端、両方の親指が当たる箇所にある突起したスイッチ

が赤く点灯した。  反射的にそのスイッチを親指で塞ぐように押す二人。

          パシィッ!!!

硬い路面に鞭を思いっきり打ちつけたような、そんな響きの音がした。

ケン「・・・?  何の音だ?」

モニターを注視し、加えて周囲も見回してみたが・・・

主だった変化と言えば、目の前に立ち塞がっているミサイル弾頭(?)の

先端部分が、いつの間にか透明なドームの形に変わり、光沢の無い漆黒の球

がその内部に出現した事。

もう一つは、タッチパネル上にメッセージが現れた事ぐらいだった。


{ イングリッド・ゼルファーによるプログラムは全て終了しました }


ケン「・・・・・・・・。」




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