第18話 △マークの部屋

ありえない揺れ方をした地震のようだった。

ケンのいる部屋を見上げるような体感の後、ドン!!と、部屋ごと叩き

つけられたような衝撃。

すかさず、伝声管から声がした。

ケン『二人とも!無事かっ!?』

ティナ「こっちは大丈夫ー!!」

ミナコ「・・・怖かった~。」

ケン『そっちにも映像、出てないか?見てくれ。』

ティナ「・・・・・ホントだぁ。なんか映ってるー。」

ミナコ「外・・・かしら?」

わずかに刺し込む外の光のおかげ(?)なのか、前方に大きい円筒形らしい

柱のような物が立ち塞がっているように見える。

すると、モニターに表示が出た。

{ 前方にある物体の全体像が把握できました。 スキャンしますか? }

    { はい }   { いいえ }

ケン『こっちにも ”スキャンしますか?” の表示が出てる。{ はい }

の方にタッチしてくれ。』

ティナ「らじゃー。」

すると、モニターは再び黒い画面になり、赤い線が現れると徐々にフレーム

を形作っていった。

ティナ「・・・・・・・・。」

ミナコ「どうしたの?」

ティナ「リーダー、これってヤバイやつじゃない!?」

ケン『うん・・・。 確かに形は似ているな・・・。』

赤い線だけのフレームワークで形成されたその形は、どうとでも解釈できそうな

単純な形をしていた。

ミナコ「ロケットの先っぽかしら?」

ティナ「あたしはミサイルの、だと思う。」

ケンは、ロケット(ミサイル?)の丸い先端のように見える部分の中にもう一つ 描かれている、円の図形を見ていた。

ケン(これは・・・何を意味してる・・・?)

いきなり{ お知らせ }と、モニターに表示が現れた。

ティナ、ミナコ「!!」

続いて、{ オプションを発動します。△を所定の箇所に配線させ、それぞれ

配置に就いてください。 }

ティナ「・・・・・オプションって、これ!?」

モニターに再び配線図が表示され、その図がぐるりと視点を変えるように動いた。

それまで所在が明らかになっていなかった△マークが二つ、表示された。

ケン『おそらく、両脇に位置してるって事だと思う。そちらでオプションの配線を復帰させてくれ。』  赤い線の表示は、また別の形を現そうとしていた。

ティナ「リーダー、これって何だと思う?」

ケン『全くの個人的な予想なんだが、これは ”超指向性”の通信システムじゃないか

と思ってる。 解りやすく言うと、レーザービームを打ち合って通信のやり取りを

するヤツじゃないかな。』

ティナ「ふ~ん・・・  あたしは ”レーザーガン”だと思ってた。」

ケン『・・・それ、正解かもな。  ともかく、そちらで配線を繋いでくれないと先に進めない気がする。 頼まれてくれるか?』

確かに、赤いフレーム線で表示された形は座席とハンドルのように見えていた。

そして、ハンドルの先には・・・ ほとんど銃身にしか見えない棒状の突起。

ミナコ「ほら、ティナ、やっちゃお。なんかあったらリーダーが責任取るって。」

ケン『あぁ、俺はどこかの団体みたいな、部下より先に逃げるマネはしない。』

ティナ「もぉー!どうなったって知らないから!!」

モニターに表示されていた△マークと大きな◇マークが、ティナとミナコの手に

より接続されると、< 配置に就いて下さい >の表示が点滅し始めた。

ティナ「ミナコ、見て、あれ。」

ミナコ「と、いう事は・・・ティナの所も・・・。」

二人は、お互い向き合う位置の所に△マークがいつの間にか表示されているハッチ

のようなドアの所在を確認し合った。

操縦席(?)にいるケン。  超広角モニター越し、目の前に立ちふさがっている

大型ミサイルの先端のような物体。

手元のタッチパネルらしきモニターには、赤い線で構成されたフレームワークの表示図。 ケンは、それらを見比べていた。

気になっていた、〇の表示。  そして、目の前の超広角モニターが表示している

であろう、△マーク。

どちらのマークも、同じ箇所に位置していた。

ケン(あの先端の中に何かあるって事なんだろうな・・・。)  

 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る