第13話 手がかり (2)

ティナ「メール・・・来てたね・・・。」

ケン「須田さん、何か心当たり・・・ありませんか?」

何故か、メールの文面を開けようとしないミナコ。

ミナコ「・・・ごめん、今思い出そうとしてるの。 だから、

もう少しだけ時間くれない?    その当時の事、きっちり

思い出せた内容と、これ(未読のメール)が一致すれば、この

スマホは間違い無くルミちゃんが持っていた物だと思う。」

ティナ「リーダー、どうするぅ?」

ケン「どうするって・・・待つしかないだろう。」

そうして十何分間か、沈黙の時間が経過した。

ミナコ「お待たせ!しっかり思い出せたんでちゃんと話すね。」

うたた寝しかけたティナが、ビクッと目を覚ました。

ケン「聞かせてください。どんな些細な事でも構いませんので。」

                                      ミナコこと、須田美奈子は「大原留美」のマネージャーであり、

芸能プロの社長でもある。社員は、その「大原留美」ただ一人。

つまり、社長と社員の総勢2名。超零細企業な芸能事務所だった。

二人の出会いと、会社立ち上げ、「大原留美」が須田の事務所に

所属するきっかけとなった経緯は後にミナコの後日談で触れる事

とし、話は(LA行き直行便を予約した後)ホテルの室内で起きた

奇妙な出来事から始まる。


ミナコ「その日は、寝坊しないように早めに寝とかなきゃ、だった

んだけど、彼女(ルミ)やっぱり眠れないみたいで、テレビをただ

ぼ~っと見ているところをあたし、ルミちゃんに注意したわけ。

一応、もう寝ますって生返事は返してもらった、そん時かな・・・

変なメールが来たのは・・・。                        あたしはアプリの配信じゃない?って言ったんだけど・・・             そうじゃなかった。

ルミちゃんも、”知らない所”って言っていたし。

・・・じゃあ、今からその内容、言うね。

確か、短い英文だったと思う。

” ルミ シュータ イズ ライブ ” ・・・たったこれだけ。」

ティナ「ミナコ、早く開けて!」

(謎の)スマホのメール欄が開けられた。 文章の内容は・・・


 ” RUMI   SHUTA IS LIVE. ”


続いて、未送信メール欄に1件ある文面も開けられた。


 “ 何か、ご存知なんですか? ”


ティナ「これ・・・なんで送信されなかったの?」

ミナコ「した事はしたの。でも、返って来たのは ”エラーレポート

のお知らせ ” だって。」

ティナ「えぇ~? なにソレ・・・ワケわかんない!」

ケン「須田さん、これは確定って事でよくないですか?」

ミナコ「・・・確かにそうだけど・・・。」

ティナ「まだ、ルミって子が見つかってないからね。」

ケン「・・・・・・」

決定的な手がかりと思われていた、スマホの発見だったが、同時に

手詰まり感もケンは感じていた。

ケン「こんな状況化ですまないが、緊急会議をしたい。」

ティナ「捜索以外の事だったら、あたし、異議を唱えますが?」

ケン「もちろん捜索依頼の件だ。参加してくれ。」

ティナ「了解。」

ケン「まず、”大原留美の捜索”を阻む要因と懸念される事・・・」

1、この、光の届いてないエリアの中で捜索する事は非常に危険

を伴う。暗闇の中では瓦礫の状況を把握しようが無い上、粉塵が

舞っている。 それらの状況に対処、効果的な装備を我々は所持

していない。

2、我々3人は行きがかり上、この乗り物らしき施設に入らざる

を得なかったが、まず、動かし方が全く分からない。             と、言うより、そもそも動くのかどうかも怪しい。

3、最も恐れている事。それは、この乗り物(?)が勝手に動き

出し、制御できないまま最悪の結果をもたらしてしまう事。

4、何の解決策を見出せないままこの中にいても、それはただ

餓死するのを待っているだけ、という状況を理解するべき。

5、・・・・・

ミナコ「リーダー! これを見てっ!」

大原留美の物と思われるスマホを、ケンに突きつけるように見せる

ミナコ。

何やら長文が表示されているようだった。



                                   

 

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