第10話 誘い込まれている?

ミナコ「ほら、何も起きないじゃない。」

・・・・・カチッ・・・・

ケン「・・・いったな・・・。」

ミナコ「もぉー! ワケわかんない!」

またも、3人目が乗った時点でスイッチが入ったようだった。

ケン「まるで・・・俺たちが3人で来るのを初めから分かっていた

ような造り方だな。」

開いていたドアがスーッと閉まり、僅かに動作音らしき音。

ティナ「リーダー、ちょっとライト貸して。」

ケン「ん、何かあったか?」

ティナは、LEDライトを反射で眩しくないように角度をつけながら

横長(?)の面積の狭い方を照らして見た。

ティナ「見て、ここ。 やっぱ、エレベーターだよ。」

ガラス越しに、壁が上に向かって行くように見える。

横長(?)の面積の広い方も、どうやらガラス張りらしいが、何せ

光の存在が全く感じられない。 手持ちのLEDライトが無ければ、

自分の目の前に翳した手ですら見えないほどの暗さだった。

どれくらいの速度で降りていったかは不明だが、約3分ほどで着いた

ようだった。

3人を乗せたエレベーターは、ガラス張りのボディごと上にずれて

開き、外に出られる構造らしかった。

到着した目の前は、航空機のタラップに似た幌がけの通路。

ライトを照らしてみて、すぐ近くにハッチのような扉があるのは

確認できたが、砂埃のような臭いの原因も判明した。

エレベーターと幌がけの通路との接触面の隙間から、舞い上がった

粉塵が入り込んで来ているのが見えたからだった。

3人は急いで通路を駆け込み、ハッチのような扉の前まで辿り着いた。

ケン「頼むから・・開いてくれよ・・・。」

レバー(?)を握り、力を込めると、・・・ゴトッ・・・と音。

あっけなくハッチのような扉は開いた。

ケン「二人とも、急いで入って!」

ティナとミナコを先に入れ、ケンが中から扉を閉めた途端、仄暗い

オレンジ色の照明が点灯した。

何かの機械か、大きな船の機関室の中にでも迷い込んだ感があるが、

とにかく狭い。

何しろ、正四角形のスペースは、人がそれぞれの角にへばり付くように

立っていられるのがやっと、という狭さ。

ミナコ「・・・二人とも、汗臭かったらごめんね。」

ティナ「そんなこと気にしちゃダメよ。しかたないんだから。」

ケン「・・・え? どういう事だ?」

3人の目の前にいつの間にか現れていた、空中に浮かぶように表示された

鈍く光る四文字。

       『ようこそ』





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