第8話 地下室潜入
チームMOTOI・CREWの3人は地下室へ続くであろう、ハッチがある踊り場
の所まで来ていた。
ケン「ティナ、ここの土砂を取り除くのを・・・まさか一人で?」
ティナ「うん。だって、10センチぐらいしか積もってなかったからね。
最初見たとき、どれくらい掘ればいいか正直分かんなかったけど、試しに
園芸用のスコップで掘ってみたら、一発目でガチッと手応えだもん。
たいしたことなかったよ。」
ケン「・・・さてと、問題はこれをどうやって開けるか?・・・だ。」
3人の足元にあるハッチのような扉。
暗証番号を打つキー、指紋認証、顔(眼紋)認証、カードリーダー・・・。
それらの類は一切無い。それどころか、古典的な鍵穴すら無かった。
あるのは、円形の図形の中にきっちりと収まっている半円形の金具だけ。
ミナコ「ティナ、これやってみてどうだった?」
ティナ「一応やってみたけど、ゼンゼンダメだった。」
半円形の金具は中央部が軸になっているらしく、プルトップの要領で立ち上げる事はできた。ただ、その後が続かない。
3人はあれこれ考えたあげく、そのまま休憩タイムを取る事にした。
足元のハッチを囲むように座り込み、買っておいたコーラで喉を潤す。
半円形の金具をガン見するケン。 鼻でため息ひとつ、のティナ。
何故か上を見上げるミナコ。
視線の先に、(残存している)壁の上部に設置されている監視カメラがあった。
ティナ「ミナコ、なんかあったの?」
ミナコ「建物壊れているのに、監視カメラってまだ動くのか~って。」
ティナ「まさかあー、んなワケないじゃん。」
ミナコ「・・・そうよね・・・。」
半円形の金具をさらに覗き込むケン。 何かに気付いたようだった。
ケン「ちょっと試してみる。」 急いで空き缶を片付けるミナコ。
どうやら半円形の金具を立たす位置にした時、円形の図形との間に指が入る
隙間が生じる事を発見したらしく、そこにしっかりと手を入れ、充分に腰を
落とした体勢を取ったのだった。
ティナ「そっかー! ひっぱるって手があったねー!」
ケン「まだ分からないけど、試す価値はある。」
ミナコ「・・・がんばってね・・・。」
ケン「せぇ~の!!」と、気合を入れ、数秒間・・・・。
足を踏ん張り手に力を込める・・と、深呼吸。
それを何回か繰り返した。
ティナ「リーダー・・・ それも、ビクともしないってヤツ?」
ケン「いや、手応えはある。 俺に、もっと力があればいけるんだが。」
何回かトライしてみるものの、次第に休む割合が増えるケン。
ティナ「二人とも、そこで待ってて。」
ミナコ「危ないんだから、無理しちゃダメよ。」
ティナ「ダイジョーブ。すぐそこだから。」
しばらくすると、ティナが戻ってきた。
手に持っているのは、折れた鉄筋の一部2本。ボロ布と化した2枚のタオル。
ティナは、半円形の金具の指が入るスペースに鉄筋を片方ずつ、半ば強引に
刺し込んだ。 水平より僅かな角度で上向きに刺さっている。
そして、その鉄筋の棒にボロ布をしっかりと巻き付けた。
ティナ「ミナコ、そっち持って。同時にひっぱるから。」
ミナコ「引っ張る・・・ だよね・・・?」
ケン「ウェイトリフティングの要領ですよ、須田さん。」
ミナコ「今、絵が浮かんだ! 分かりやすい!」
ティナ「レディー・・・ ゴゥ!」
二人とも、とても人前では見せられないような表情で力み上がっている。
ケンの方は、半円形の金具のシャフト部分に注目していた。
支点が先、作用点が中という形。その、てこの原理で持ち上げられようと
している、半円形の金具。
ケン「よぉし・・・確かに持ち上がってる。いけるぞ!」
その時、ポォン!!と何かが抜けるような音が響いた。
ティナ「ワォ! やった!?」
その後、勢いよくガスが噴出する音に似た音が続いていると思われたが、
音の正体は・・・半円形の金具のシャフト部分に穴が開いていて、そこ
から勢いよく空気が”吸引”された音と判明した。
ケン「という事は・・中が真空だった訳か。」
ティナ「なんつーシカケなのよー、もう!」
数十秒ほど経過すると、空気の吸入音が止み、ゴトッと重たそうな音が。
ケン「これが開いた音だと信じたいな・・・。」
ティナ「ゼッタイ、そうに決まってるよ!」
再びケンが半円形の金具に手を掛け、今度は両足がハッチの上に乗らないよう
に足場を固めた。そして、引き抜くように力を込めると・・・。
あっけなく、ハッチのような扉は外れ、縦長の細い通路が現れた。
人ひとりが通れる階段付きのトンネルは、ライトを照らして見ても・・・
先が見えなかった。
ケン「よし、突入するぞ。」
ティナ、ミナコ「・・・お、おー・・・。」
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