第7話 研究所裏口

シュニーヴ隊長「お待ちどうさま。さぁ、参りましょう。」

3人が外に出て見ると、オスプレイを一回り小さくしたようなVSTOL機が

待機していた。

ミナコ「・・・なーるほど。これなら早く着きそうね。」

ティナ「ミナコ、なんかカタイよー。」(ぎこちない、が言えなかった)

ケン「・・・・・・・」

3人を乗せたVSTOL機は、ものの数分で現場に到着しようとしていた。

シュニーヴ隊長「下をご覧下さい。あの真ん中に着陸します。」

瓦礫の山と化した研究所そばの駐車スペースは、(変に)きれいな形で

4箇所、空爆されたと思われるクレーターが出来ていた。

そのうち1箇所は、まだ少し燻っている。

VSTOL機は丁度サイコロの4から5に変わる、その真ん中の目を目標

にどうやら着陸するつもりらしい。

シュニーヴ隊長「過去の空爆は、いずれも規模の大きいチームがこの地

を調査した時に起きた、と聞いています。にもかかわらず、一般車両の

往来やあなた方のように少人数チームの調査では何も起きていない。

変だと思いませんか? だとすると、大掛かりの調査をされては都合の

悪い、何かが存在しているのでは?と考えるのが自然だと思います。」

VSTOL機のローターが上向きになり、徐々に垂直降下を始めた。

ケン(この隊長、少人数だったら安全、と決め込んでいる・・・。)

3人の心配をよそに、着陸は無事成功した。

機体のハッチを開けた瞬間、異臭が鼻を突く。

クレーターの1箇所から、わずかに黒煙が立ち昇っている。

ケン「二人とも、俺の合図があるまでしばらく黙っててくれるか?」

ティナ、ミナコ(黙って頷く。)

シュニーヴ隊長「ここでの会話は英語のみにしていただきたいのですが

・・・それとも、私に意味を悟られては何か都合の悪い事でも?」

ケン(いちいち、カンが鋭いときている。)

シュニーヴ隊長「・・言っておきますけど、監査官の私が報告一つすれば

ペナルティの対象に成り得ますので、注意のほどお願いしますね。

・・・ちなみに、何ておっしゃいました?」

ケン「しばらく黙っているよう伝えました。どんな些細な異音も聞き逃さない

ための注意喚起という意味で。」

シュニーヴ隊長「・・・そうでした。そういう現場でしたね。」

一行は、すでに瓦礫の山と化している研究所、その玄関口だったであろう場所に

足を踏み入れた。

先に地元の警察が捜査をしたらしく、ある程度の歩けるスペースの確保と調査済みを示す、チョークで書かれたチェックの印が数箇所ほどあった。

シュニーヴ隊長「正面玄関と建物が存在した範囲は、すでに捜索済みのはずです。

写真にあった裏口から地下へと続く階段には、まだ行かないのですか?」

ティナ「!!」  ケン(やはり・・そうか。・・・だったら・・・)

ケン「隊長、お願いがあります。」

シュニーヴ隊長「なんでしょう?」

ケン「いったん帰還して、直接応援をよこして下さい。無線を使わずにです。」

シュニーヴ隊長「どうしてですか? 何か、エラーでも?」

ケン「普通に車で送っていただいたのであれば、問題は無かったと思います。」

そう言って、ケンはVSTOL機を見た。

シュニーヴ隊長「・・・・・分かりました。 で、あなた方は?」

ケン「先に地下室へ潜入してみます。無事を確認したら後から来て下さい。」

シュニーヴ隊長のVSTOL機は急ぎ、研究所跡の空域を離脱した。

ティナ(どうやら、うまく追っ払ったみたい。)

ケンが正面玄関跡で待っている二人と合流しようとした、その時だった。

駐車スペースにできていた4っつのクレーターのちょうど中央部に・・・

突然の閃光と爆発音。  爆発の規模は比較的小さかったものの、ケンを転倒

させるくらいの衝撃波が生じていた。

ティナ「リーダー、だいじょーぶ!?」

ケン「驚いたな、本当に撃ってきやがった。」

上空を見上げると、鳶のように旋回しながら滑空している巡航ミサイルの姿が。

ティナ「ねぇ、あれが、”スタイラス”ってヤツ!?」

ケン「俺も・・・初めて生で見た。」

駐車スペースの中央部はアスファルトが燃焼、激しく煙が立ち昇っている。

続いて、3人の足元から地響きのような音と振動。

ティナ「ミナコ、だいじょーぶ?」

ミナコ「あたしは大丈夫。」

ケン「よし、地下室潜入開始と行こう。」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る