第4話 初仕事、その前に
ティナ 「リーダーって呼ぶか、ケンって呼ぶか、どっちがいい?」
ケン 「リーダー。須田さんも、そう呼んでいただければ。」
ミナコ 「そうね。 異議なしって事で。」
その時、3人それぞれの携帯電話にアプリが配信された。
ケン 「・・・よし、承認された。」
ティナ 「サッソク、仕事の話なんだけどー聞いてくれる?」
ケン 「まずは須田さんの人探しを優先したいんだけどな・・・」
ティナ 「関係大有りクイ。ミナコ、話してあげて。」
ミナコ 「ルミちゃんのグラビア撮影で “研究所跡地” は事前に許可を取っていたはずなんだけど・・付き添いのコーディネーターの方と先に来ていたチームの人とで揉め事になっちゃって・・・そしたら近くで何か爆発があったんです。」
ティナ 「スタイラスかナックルボールかは分かんないけど空爆してきたらしくて、研究所の建物はコッパミジンってヤツ。 元ウチのチームも応戦したみたい。で、あたしがいっしょに乗ってた重機の業者さんは、『話が違う!』って言って帰ろうとした時、もう一回空爆があって・・そん時かな、ミナコとスタッフを見かけたのは。 いっしょだった女の子は・・・もういなかったような。」
ケン 「要するに、その研究所跡を再調査したい、と。」
ティナ 「その通り。あたしはそれを隊長に提案したんだけど、もう調査する必要は無いって突っぱねられた。で、その後クビだって。 信じられなかったよ。」
ケン 「やる事は決まった。・・・ただ、TEAM運営総括機関へ仕事の申請をするには状況証拠など、できるだけ詳しいデータを送らなければならない。 つまり・・・俺たちは、これから”それ”を探しに行く必要がある・・って事だ。」
ティナ 「写真ならあるよ、現場の。判断材料ってヤツになればいいけど。」
一枚目、 瓦礫の山と化した、研究所跡。黄色い非常線のテープが張られている。 二枚目、 LABO THE BACKDOORとタイトル。地下へ続くらしい狭い階段。
三枚目、 ティナの自撮り。階段は土砂で塞がれているが、足元に大きな亀裂。
四枚目、 土砂を払い除けた足元に現れたハッチのような扉。
ケン 「・・・試しに送ってみる価値はありそうだ。写真、コピーいいか?」
ティナ 「使って。 そのための写真だから。」
チーム MOTOI・CREWは国連のTEAM運営総括機関に「再調査」の名目で仕事の発注を送信。 あとは『申請は受理されました。』の知らせを待つだけとなった。
その間、「チームの結成祝いよ!」との事で、B.B.Bの女性広報官からチリドッグとコーヒーが振舞われた。
「水差す言い方で悪いんだけど、今回の件で隊長ったらかなりご立腹なのよ。
ほら、さっきの空爆でウチの装甲車3台ダメになっちゃって。 その解体回収作業が終わったら、さっさとここから撤収したいみたいよ。 ティナも知っての通り、ウチの隊長って結構荒くれな感じだから・・・こんな所を見つかっちゃうと何言われるか分かったもんじゃないわ。 だからね、あんたたちは今のうちにここを離れた方がいいの。・・・ティナ、新しいチームでも頑張るんだよ。」
ティナ 「おばちゃん、今までありがとう。・・・元気でね!」
3人は女性広報官に別れの挨拶を済ませ、BRONX・BRAVE・BARONSと、派手にプリントされたコンボイ級のトレーラーハウスを後にした。
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