第3話 TEAM結成。

 「よかったら、人探しの件、改めて詳しく聞かせてくれますか?」

「アイドルのグラビア撮影で、ここを訪れたんですけど・・・  何か突然、爆撃か戦闘になっちゃったみたいで、もうその時はパニック状態でした。 どうやって避難したか覚えてないです。  で、どうにか収まった頃、撮影スタッフからSNSで全員無事の知らせが来たんですけど、”そっちにルミちゃんいない?”ってなって・・

で、またパニクッちゃって・・・ いっしょにいたはずなのに、いつのまにか逸れてしまって・・・もう、とにかく捜査をお願いするしかない、と思って・・・」

「取調べとか取材とか、どれも当てにできなそうって言ってたもんね。」

日本人女性は黙って頷いた。

「ひとつ提案なんですが、ここで心配しながら現地警察のイマイチ頼りない捜索結果を待つよりも、あなたを含めた我々で捜索する側に立ってみてはいかがでしょうか?チームの結成にぜひ協力していただければ、なんですが・・・」

「あたしからもお願い。登録さえしちゃえば情報だってスピーディーだよ。」

「・・・私なんかでお役に立てるかどうか・・・」

「むしろ助けて欲しいのはこちらの方です。」

「なんたって、あなたが加入してくれないと・・そう、今のまんま。」

「・・・分かりました。私でよければ。」  「やったあ!」

TEAM登録のための第一歩、申請用プロフィールの作成から始められた。

3人のパスポート、身分証明書、携帯電話(スマホ)の所持を確認。

「そうそう、何かねぇ、写真送る時、動画で自己紹介するのが決まりみたい。   それもね、隊長とかリーダーが一番初めなんだって。知ってた?」

「・・・分かった。」

若者は自分のスマホをムービーモードにして、女性広報官に撮影をお願いした。

軽く咳払いの後・・・

「基賢(もとい・けん)、二十歳、出身および国籍、日本。

このたびTEAMを結成する事になりました。よろしくお願いいたします。」

「ティナ・プエンテ、19歳。アメリカ人。ママは日本人。小6まで日本に住んでた。エー語、ニホン語、スペイン語、話せる。よろしこー。」

「須田美奈子・・・ 26歳。日本人です。東京都北区出身、芸能プロの社長兼マネージャーをしてましたが、担当している女性アイドルの “大原ルミ” が行方不明になってしまい、お二方の協力のもと、捜索をする事になりました。 よろしくお願いいたします。」

少し驚いたような表情で賢(以後、ケン)は須田美奈子(以後、ミナコ)に尋ねた。

「ちょっとお聞きしたいんですが、”大原ルミ”って、県立生業高校の、ですか?」

「・・・そうですが・・まだ詳しいプロフィールは発表してなかったはずで・・」

「自分はそいつの・・中学の時からの先輩にあたります。」

「えぇー、 そうだったんですか!?」  「ハイ、そこまで!」

と、ティナ(以後、同じ)が両者の間に割って入った。

「今は昔話してる時じゃないし、おネーさんそれどころじゃない・・でしょ?」

「そうだった。さっさと済ませてしまおう。」

国連のサイトの中のカテゴリー、TEAM運営総括というサイトに登録申請に必要なデータを全て送信、あとはアプリが配信されれば承認、単にメール返信の場合は不認可の知らせ。そのどちらかを3人は待つだけとなった。

「あぁーーっ!! そう言えばっ!!」突然声を張り上げるティナ。

「なに?どうかしたの?」

「チーム名・・・書き忘れてない?」

「いや、大丈夫だ。ちゃんと記入した。」

「え? 何て?」

「MOTOI・CREW、モトイ・クルーにした。」

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