第2話 ”TEAM”を立ち上げる

日本人の若者は、目の前にいる女性広報官に尋ねた。

「まず、TEAMを発足するには最低3人の人員が必須条件らしいんですけど、それは間違いないんですか?」

「なるほど・・・ そういう事だったのね。 だったら・・・」

女性広報官はタブレットを持ち出し、若者に指し示した。

{ TEAM発足のABC }と表示されている。

1.人員は揃っていますか? 最低3名の在籍が必須条件です。

2.全員のプロフィール(映像を含む)のデータを提出して下さい。

3.登録のため、チーム名と代表者を決めておいて下さい。

4.情報の入手及び共有の迅速化のための連絡手段を常に確保して下さい。

5.なお、虚偽の人員及び報告、反社会的な活動と行動は罰則及び永久失格の対象になる場合があります。充分に注意の程、よろしくお願いいたします。

6.10名以上の人員が在籍するチームは、国連から派遣された「監査官」の常時帯同が活動の必須条件の一つになります。

あと、いくつかの項目があったが、全部目を通すには割りと時間がかかりそうな内容だったため、それらの情報をコピーした物をプリントアウトして提供してくれる運びとなった。

「さて・・・今あたしは、あなたに問題児を紹介しようとしているんだけど・・」

「話は最後まで聞きます。続けて下さい。」

「オーケー、わかった。まず、その人の解雇理由から言うから、よく考えてね。」

「どうぞ。」

「最大の理由は、今回のミッションで必要だった重機。その手配の不備と不始末。

・・・ようするに遅刻ね。体格からして仕方ないかもなんだけど、力仕事がダメ。

おまけに、自分の意見が通らないとすぐにふてくされて、度々バックれたり・・」

女性広報官は軽くため息をついて「まだまだあるけど、どうする?」と。

「ノークレーム、ノーリターンですよ。こちらはチームを立ち上げたいんで。」

「そうだったわね・・だったら呼んじゃうわよ? いいのね?」

日本人の若者は黙って片手を差し出し、”どうぞ”のポーズをとった。

女性広報官は受話器を取り、内線番号を押すや否や・・・

「あなたにお客さんよ!すぐ来なさい!いいわね!?」

程無くして、兵士らしき黒人女性が尋ねてきた。

「おばちゃん、お客さんって・・・?」

「ほら、もうちょっとシャキッとなさい!あんたの移籍先が決まるかどうかなのよ? こんな所でホームレスになんかなりたくないでしょ?」

「うるさいなぁ・・・あ、どうも・・・」

一通り簡単な面接を終え、その黒人女性兵はメンバー加入を承諾したが・・・・

「まだダメよ。あと、もう一人いないと。  あ、そうそう!言っとくけど、ウチのメンバーで仲良かったから引き抜く、みたいな事もダメ。ルール違反だから。」

と、やたら仕切りたがるB.B.B広報担当官。

「現役のメンバーはダメって事でしょ? 知ってるもん、それくらい。」

「さっきね、TEAM-RELEASEで検索してみたんだけど、件数ゼロだったわね。」

「そうでしたか・・・なんとかもう一人頭数揃えたかったんですが・・・」

「それはそうと、人探しの依頼してきた日本人・・・あんたが少し日本語できるから話し相手になってあげてた人、そろそろ帰してあげないと。」

「・・・・おばちゃん、その人・・・その人じゃダメかなあ?」

と、若者をチラ見する黒人女性兵。

「・・・!! なによ、もう! いたじゃないの!すぐ連れてきな!」

「わかったー! ちょっと待っててー!」

程無くして、黒人女性兵が一人の日本人女性を連れてきた。

いかにも旅行者といった面持ちの、大人の女性。

若者は、ひどく落ち込んでいる様子の日本人女性に声をかけてみた。

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