ロックスター


あなたを信じて今日まで生きて来れました

あなたはわたしの全て

生きる理由そのものでした

けれどそれも終わりです

あなたはわたしが大嫌いなアイドルと結婚してしまいました

嘘でしょう?

信じたかった

あなたはそんな人ではないと

時が来ればきっとあの女を罵り微笑んで言うのでしょう

「お前、まさか本気にしていたのか?」

そうして幸せな結婚ごっこを放り出すのでしょう

………ああ

あの女?

あなたは偉大なロックスター

どうか嘘だと言ってください

どうして?

わたしには理解、出来ない

あなたが出ている雑誌にはどれも隅から隅まで目を通し

たとえよくわからない発言があったとしても

それはきっと自分には理解、出来ない深い考えがあるのだろう

と自分に言い聞かせていました

けれど今回ばかりはあなたの気持ちがわかりません

あなたは一度だってわたしたちを裏切ったことはありませんでしたよね?

そして何より優しかった

あなたは言いました

『なんでファンに優しくするのかって? だっておれ自身がもう完全に音楽に依存しきっているからね、おれに依存するな! って言ったって説得力なんて無いでしょ(笑)』

わたしはこの記事を読んで嬉しかった

あなたを愛することがあなたに許された行為であるということが

そしてそこまでわたしたちのことを思ってくれているということが

けれど木端微塵に砕かれました

あの日

あなたの違う顔を知ってしまいました

違う!

あれはあなたではなかった

見たくなかった

あんなものを見るくらいならわたしの眼球が潰れてしまえば良かった

どうしたらいいの?

教えてください

責任を取ってください

死んでください

これからあなたを殺します

刃物を持って突っ立っているわたし

本当かな?

ここは何処だ?

ああ

あなたのマンションの前だ

人が一人、出て来た

もうおまえ死ね


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