第8話 女子トーーーク♡
どの神殿にも年齢層は18歳から40代前半くらいの神官が所属している。神殿の警備や周辺の諜報活動を主としている神官の中でもエリート集団といったところか。
年に一度ある試験の適性から外れたり、ある程度の年齢を過ぎると、町や村に点在する教会所属の神官になる。転職する者も多数いるのも事実。
1日の報告や反省、明日の予定等。
15分程で終礼が終わり解散。
自主的に訓練所に残り、そのまま筋トレやランニングなんかをしてる先輩神官もいるようだ。
私は3人いるお姉様神官に連れられ食堂の一角で女子トーク。
3人とも20代と年が近いから、とっても仲が良い様子。キャピキャピ話が止まらない〜。ここ最近、オカマのオウムとしか会話してなかったから女子トーク最高に楽しい!
それにしても3人共美人さんです。
「そういえばさ、昼間のあの凄い音って、結局何だったんだろうね。」
私の横に座ったリザ先輩が手鏡で顔を映し前髪を整えながら言った。
「あーアレねー。なんか爆発したとか落ちてきた感じだったよね。」
「テロかと思ったよ。わたし。」
私の向かいの席に座っているのは長い亜麻色ヘアのサニー=ドルチェ先輩。その隣の金髪ボブ知的メガネ美人さんがベニ=バラード先輩。
まさかとは思うけど、タイミング的に考えて天使(仮)は本当に天使で空から落ちてきたとか?でも、礼拝堂の天井は無傷だったし。
礼拝堂に入る時、魔法の力のようなものも感じた。空間や時空を捻じ曲げる術を使った時には物凄い衝撃が生じる。
私のような新米神官には使えないんだけど、一度別の神殿で9神殿を行き来できる魔法陣を使って先輩神官が移動するのを見たことがある。確かに音と風圧は凄かったけど、昼間の衝撃音に比べたら可愛いもんだ。
「テロって。(笑)
神殿組織に逆らうヤツなんて今さらいなくない?」
「先の大戦からここ何年かは争いも無いしね~。訓練と礼拝ばっかりじゃ身体が鈍っちゃうわ。」
「そうそう。でも、わたしらより騎士や傭兵さん達の方が退屈してるんじゃないかしら。」
「騎士って言えば。。。。」
サニー先輩が身を乗り出してきた。
テーブルに豊かなお胸が乗っかってる。
「ホントにあの方はまだ見つからないのかしら....。」
「そうよね〜。あの方が失踪したと噂になって3年になるか。」
「あの方って誰ですか?」
急に声を潜めたお姉さま達の会話に私は割って入った。
「イヤね。ロザリオ。あの方って言ったら『セラフィエル様』に決まってるじゃない。」
リザ先輩は更に声を小さくする。
「あ、あの先の大戦で活躍した騎士の方ですね。」
「わたし達みんな彼のファンだったから。
あの時期はしばらくどうやって生きたのか記憶ないんだよね。」
「あ〜。セラフィエル様ロス。
復活しそう。」
お姉さま達が言う『セラフィエル様』とは5年前に終戦した先の大戦で、活躍した物凄く強くて絶世の美形騎士様。セラフィエルとは彼の名前ではなく大戦での活躍の功績を称えて大皇様より与えられた天使の称号だ。
3年前、突如雲の様にこの国からいなくなってから、その消息はまだわかっていない。
「やっぱりさ、お姫様との結婚が嫌だったんじゃないの〜?」
「マリッジブルー?」
恋仲にあった第一皇女アリア様とのご成婚目前での失踪だったので、当時も様々な憶測が飛び交ってたっけ。
「アリア皇女様も大層な美女とのお噂ですよね?」
「そりゃ、アレじゃない?
姿形の問題じゃないんじゃない?
一生の事ですもの。」
「それにいくら貴族出身の騎士様とはいえ、お姫様とではね〜。相当な格差婚。
結婚前から尻に敷かれるの決定。」
別の女性と駆け落ちした、なんて噂もあったっけ。
「んで、国を挙げて血眼で探してるらしいけど、国内外どこにも手懸かり一切なし。
あの方に限ってお亡くなりになってるってことはないでしょうけどね。」
「なんかうっかりお名前を口にするのも
は〜っ、と3人同時に溜め息。
セラフィエル様は滅多に人前に出ることはなかったのだけれど、公務で人前に出る時には黒い覆面で顔を隠していたそう。
覆面から覗いた鋭くてどこか憂いのある目元が、国中の女性を虜にしたというのだが、目元だけで絶世の美形と評判になるのだから凄い話だわ。実際に素顔を見たことのある人達の証言もあるのだろうけど。
そういえば、うちのオカマオウムもあの時は朝から晩までキャアキャアピーピー煩かったっけ。
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