エピローグ

「大学合格おめでとーっ!」


 地元の駅の近くにある居酒屋チェーン店で、昔の仲間が集まって小さな飲み会が開かれた。

 主役は俺、ひきこもりを脱却して21歳でようやく大学に合格した北島勘太だ。

 高校時代に世話になった、元担任の園崎そら先生の呼びかけで皆来てくれた。

 妹のアリカ、姉の麗ねえ、幼馴染のいろは&このは、声をかけてないのに来た叶神菜。

 俺より先に大学生になっていた元後輩の楠木くゆりちゃんは、春から俺の先輩になる。

 保健医だった瀬川セレナ先生は助手の常盤遠子さんも連れて来ていた。

 あぁ、なんだか懐かしいな。あれからもう3年半以上は経っているんじゃないだろうか。


 高校時代のある日、俺は長い長い旅をして、遠回りの果てにようやくコンビニに辿り着いた事があった。

 あの事があって以来、俺はすごく前向きになれた。

 ひきこもりを脱却して、成長して、未来に向かって前向きに歩きだす事ができるようになったんだ。

 俺を叩き起こして屋外に引きずり出しやがった太陽には感謝しなければならないだろう。

 まあ、全ては自分の頑固な意思で決めた事だったんだけど。


 これから先、大学に入ってからも色々なことがあるんだろうな。

 もしかしたらまた遠回りして迷子になる事があるかもしれない。

 でもきっと俺はやれる。

 あの時の成功体験が俺をずっと支えているからだ。


 今夜は仲間たちと飲み明かそう。

 バカ騒ぎをした後は皆それぞれの生活に戻っていくだろう。

 大丈夫、俺は一人になったって、あの時の大切な思い出がある。


 だからもう、語るような事もない。

 この話もここで終ろう。

 もし、俺の目の前にコンビニにすらいけない様なヒキコモリの奴が現れた時に、もう一度この話をしてやろう。

 語り出しは、きっとこんな感じだ。



「君だってコンビニぐらい行ける」


 ~fin~

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俺だってコンビニぐらい行ける! 雪下淡花 @u3game

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