第35話「思わぬ同志がここに」
なるほど。村の入り口をシャットアウトした私の家が邪魔だと言いたいんだな。
「大丈夫。野宿するから」
「だから家は取り壊さんでいいっつの!」
隣に立つ男にスパンッと頭を叩かれた。じわじわ痛みが頭部に広がり眉間にシワを寄せる。
「なんで?昨日も思ったけど、家取り壊した方が手っ取り早いじゃん」
「お前の家調査したっつったろ。この世界にはないものが目白押しだろうから壊すのは勿体ない。つー訳で別の案を模索中だ」
「ふーん」
あ、そいや寝る前に私の家が現れてから発生した問題について話し合うって言ってたな。その前にこの世界がなんたるかをつらつら説明されてたからすっかり頭から抜けてたや。
「実は、二人が寝てる間にもう解決策は出てたの」
エイミーがそう言ったことで目が点になったアレン。そして少し申し訳なさそうに眉を下げた。
「すまねぇ……俺がきちんとこいつを叩き起こしていればもっと早く取り掛かれたのに」
「起きない自信ならある」
「ドヤ顔で言うな!」
再び頭部へのダメージ。こいつ私の頭をぺちゃんこにする気か。
私とアレンのやりとりを見ていた村の人たちは一瞬ぽかんとしたが、チェルシーは「分かるにゃ!一度寝たら起きたくないのにゃ」と同意した。
チェルシーの肩を叩き、キリッとした顔で親指を立てた。チェルシーもぐっと親指を立て、私達は目で意志疎通した。
爆睡同盟、結成―――
「妙な友情が芽生えたわね……」
「もう放っておこう。で、その解決策ってなんなんだ?」
アレンの問いかけに反応したのはエイミーではなく、待ってましたと言わんばかりに目を光らせて勢いよく挙手したチェルシーの肩に乗っているアドルフだった。
「ミノリの家の周りの木を一掃するんだ!」
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