異世界なう、的な。
第1話「どこだここ」
窓から差し込む太陽の光に顔をしかめる。
あれ、おかしいな。いつもカーテン閉めきってるのに眩しいぞ。
……あ、そいや昨日久々に日向ぼっこしてたんだった。
人間、太陽の光浴びなきゃ死んじゃうもんね。極論だけど。
昨日日向ぼっこしなきゃ丸1ヶ月日陰生活送ってたからね。コンビニも銭湯も夜暗くなってから行くし。
あーどうしよう。鳥のさえずりが聞こえるってことは朝だよね多分。……寝たい。昼まで寝たい。ひたすら寝たい。
てな訳で二度寝します。
あ、でもカーテン閉めなきゃ。眩しい。
のろのろと上半身だけ起き上がらせ、重い瞼を半開きにしてカーテンの端を鷲掴みする。
そのまま勢いよく閉めようとするが、不運なことにカーテンのどこかが引っ掛かってるようでびくともしない。
仕方ないのでのそりと起き上がり、引っ掛かってる部分をどうにかしようとしたが……
窓の外の景色が視界に入った瞬間全身フリーズした。
窓の外は緑一色。
いや、辛うじて民家とおぼしき建物が手前にちらほらある。畑らしきものも見える。
だが少し先には木々が生い茂る森林が広がっていた。
はっきり言うと、ドがつくほどの田舎みたいな景色だった。
本日2度目だが言ってしまおう。
あれ、おかしいな。
私の住んでるところは高級マンションや金持ちが住むような馬鹿デカい一軒家が立ち並ぶ高級住宅街だったはず。
後ろを振り返り、自分の部屋を見回す。
うん、昨日のまま何も変わってない。
念のため他の部屋もチェックしてみるが何も変わってなどいない。
家政婦さんが掃除をしてくれたおかげで綺麗で清潔感のある廊下も、銭湯を利用してたせいで2年前から髪の毛ひとつ落ちてない風呂場も、両親が亡くなってから何も触ってない両親の部屋も、数多くある空き部屋も、ぜーんぶ昨日見たまんまだった。
再び窓の外を見てみる。
先程と同じ、数軒の民家と畑と森林がそこには広がっていた。
その景色を眺めること1分。
黙考すること1分。
……
……
……
ああ、家ごと引っ越したのか。
という結論に至った。
僅か2分で現状を飲み込むなんて頭の回転早いなぁ。若いからだなきっと。
ふあぁ、とあくびをして今度こそカーテンを閉めた。
まぁいいや。寝よ。
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