その4 出陣! ~AGNES FIGHT!~
「ど――」
「止めたって無駄だからね」
"どういうつもりよっ?" と 声をあげようとした
知華を見る麻里の瞳には、強い決意の色がうかがえた。
「――大塚さん。大塚さんは、悔しくはないんですか?」
視線に気圧された知華に、追い打ちをかけるかのように、
「――おじさぁんっ」
ふたりのまなざしから逃れるように、保護者である
「なんとか言ってよっ、ふたりを止めてよっ。――第一アグネスって戦うために造られてる訳じゃないんでしょ? 自殺行為だよ、そんなのって」
あふれる感情を吐き出す知華。
隆太郎は腰を落として知華に視線を合わせると、
「大塚くん、君の言いたい事は、よくわかってる……」
"だったら" と知華が口を開こうとするのを片手をあげて制し、
「だけど、人生には許せない事に出くわした時、それに立ち向かう勇気が必要な場合がある……」
そんな隆太郎の言葉から、ふたりを止める気がなく、むしろ後押ししようとしている事を察する知華。
「だからって、二人に死んで来いって言うの!?」
激高して詰め寄るが、
「心配する事はないっ」
知華に劣らずの声を張り上げる隆太郎。
珍しい隆太郎の大声に気を削がれる知華。
そんな知華の両肩に、優しく手を乗せ、
「心配はないんだよ、大塚くん……」
柔らかい、いつもの口調に戻り言葉をつづける。
「アグネスには戦う力を与えた……」
知華の瞳を見つめてから、傍らに立つ麻里と美恵を見まわし、
「なにより、君たちといる限り、アグネスに敵はない」
「ハイ! 私は負けませんっ」
管制室内の音声をモニターしていたのだろう、隆太郎の言葉に応えるように、アグネスが力強く言った。
「皆さんが一緒なら、私はどんな相手にも負けたりしませんっ」
どんな根拠があるのかはわからないが、その自信の有り具合に麻里と美恵が満足げな笑みを浮かべる。
「センセイ、タイプNへの外装変更、そろそろ終わりますよ」
コンソールから離れた隆太郎に代わって、作業状況を確認していたユーサクから声に、うなづく事で応える隆太郎。
麻里と美恵は顔を合わせ、何かを確認するようにうなづきあうと、
「んじゃ、おじさん」
「行ってまいります」
そう言って管制室から出ていこうとする。
知華がふたりへと向き直るが、言葉が出ない。
そんな知華に、麻里は通り抜けながら申し訳なさそうな顔を向け、美恵は立ち止まり深々とお辞儀をして、ゆっくりとアグネスの元へと向かった。
ひとり、知華は残されてしまった。
あの侵略者に対する憤りは、ふたりと変わりない。
なのに、アグネスで対抗するという
ふたりと知り合って一年余り。
それなりの信頼関係は築け、姉妹とまでは言えないが家族として認めあっているはずだと知華は思っていた。
けれど、覚悟を試される土壇場で "違う" と突きつけれられてしまう。
先にいたひとりと、あとから一緒に来たふたりの結びつきの差。
知華には、それが悔しくて、そして悲しかった。
だから、今知華のほほを濡らすのは、ふたりに認めてもらえなかった事への涙。
「――にしても、変なところで遠慮しますよね、西尾さんと鈴木さん」
唇をかみしめて立ち尽くす知華の背に、ユーサクのやれやれといった感じの声。
「巻き込みたくないのなら、そう言葉にすればいいのに。おかげで気持ちこじれさせる人が出る」
コンソールを操作しながら、独り言のようにユーサク。
「誰かさんは誰かさんで、自分の気持ちハッキリ口にしないから、置いてけぼりをくらう」
ユーサクの言葉にハッとする知華。
――そう、自分は、自分がどう思っていたのかを、ふたりに言ってはいない。
「あれですねセンセイ。コミュニケーションって、ホント大事ですよね~」
「――そうだね」
自身に対する皮肉も込められたユーサクの言葉に、苦笑しつつ応え、
「と、いう訳だが。――大塚くん?」
言外に、"どうしたい?" と知華に問うてくる隆太郎。
「外装の換装終了。発進位置に移動しますが?」
同じようにユーサクからも声がかかる。
自分がしたい事――。そんなものは決まっている。
知華は目元を拭うとうつむいた顔をあげ、隆太郎たちへと振り向き、
「おじさん、ユーサクっ。あたし、行ってくる!」
まだ赤い目でしっかりと見つめて、言い切る。
「うん、行っておいで」
「すぐ発進シークエンスに入りますから、お早めに~」
それぞれから、らしい返事。
ふたりの言葉に後押しされるように管制室を飛び出し、格納庫のアグネスの元へと走り出す知華。
「ありがとっ」
去り際の言葉は感謝。
隆太郎は柔らかい笑みで、ユーサクはどういたしましてという顔で受け止める。
格納庫へ降り、作業用通路を駆けてアグネスの背面へ。
生体認証ロックを開け、知華専用のコクピットへと潜り込む。
「大塚さん?」
「来ちゃったんですか?」
席に着いた途端、サイドモニターに麻里と美恵が映し出され、声がかかる。
知華はバツの悪そうな顔でうなづく。
「……どうなったって、知らないよ?」
心配げなのを隠さずに言う麻里に対し、
「大丈夫だって、おじさんも言ってたじゃない」
やたらとクッションが効くホールド性の高いシートに座り、圧迫感の穏やかな固定ベルトをかけながら、
「……それに、あたしひとり仲間外れなのって、寂しいじゃない。気持ち、おんなじなのにさっ」
気恥ずかしさをごまかすように、努めて明るく答える知華。
モニターに映る麻里はちょっぴり複雑そうな顔をし、美恵は満面の笑顔で迎え入れた。
「フライトユニット装着完了。いつでもどうぞ」
アグネスの声がコクピットに響く。
「一応昼間だから、いつもと違う発進ルートを使う。いいね?」
管制室にいる隆太郎からの指示も届く。
同時にキャリアに乗ったアグネスが移動するのが、三人に伝わってくる。
「フライトユニット、マキシマムパワー。本体スラスター出力オーケー」
アグネスの落ち着いたアナウンス。
「発進位置到着、ルートクリア。いけますよー」
いつものユーサクの声。
タイプN・メインパイロットである麻里は、モニター越しに知華と美恵と視線を交し合い、最後の意志交換を済ませる。
「よーしっ、アグネス発進、ゴー!」
麻里の叫びに呼応するかのように、フライトユニットと脚部のスクラムジェットがうなりを上げ、アグネスを推し進める。
地下深く造られた秘密ルートを高速で移動し、加賀見家から遠く離れた場所で地上へ、そして大空へと高く舞い上がる。
「進路、首都! 目標、"チーム・ラッキー・ストリーク・ロバーツ" !」
「了解!」
昂る麻里の声に、アグネスが凛々しく応える。
侵略者を討つために、セーラー服をまとった戦乙女が空を駆けていく!
三人娘とアグネスが出て行った後の管制室で、隆太郎が携帯端末でどこかへ連絡を取っていた。
「――はい、そうです。……ええ。……では、対応をよろしく」
短いやり取りを終え端末を白衣のポケットへとしまい込む。
侵略者が中継しているのであろう、防衛隊が一方的に蹂躙されている様を流しているテレビに目をやり、それから空になった格納庫を見つめ、
「かくして矢は放たれし……」
眉を寄せて、ポツリとこぼす。
「ま、なるようにしかなりませんて。ケ・セラ・セラですよ」
つぶやきを聞き取ったユーサクがらしい言葉を返す。
「――そうだね」
身体から張りつめていた気を抜き、
「あの娘たちなら、きっと大丈夫――」
「はい♪」
柔らかく微笑みながら言う隆太郎に、ユーサクも満面の笑顔で応えた。
全長一二〇メートルにも及ぶ猛々しい巨体、"チーム・ラッキー・ストリーク・ロバーツ" ご自慢の
威力偵察してきたと思われし地元防衛隊の攻撃は、YZRのボディに傷ひとつ付けられず、こちらが撫でるだけで向こうは壊滅的な打撃を受けているのである。
圧倒的な戦力差に、余裕から笑みが浮かんでしまうのも無理はなかった。
「この調子なら、三日もあればこのエリアは制圧できてしまうな……。やれやれレースにならないぜ」
こんなに簡単ならばもっと広い大陸が、そうアメリカやユーラシア大陸が選ばれればよかったと、ラモラは思った。
トップカテゴリーの侵略エリアが "日本" とかいう、小さな島国になってしまった事を嘆く。
公平を期するために、完全抽選方式で各カテゴリーの侵略エリアを決めるルールに反対はないが、こうも張り合いがないと何のための侵略競争とかも思うのだ。
地元防衛組織と闘い、他の侵略チームと覇を競い合う。
それこそが侵略レースの醍醐味だ。
なのに、これほど圧倒的な戦力差があっては、全宇宙へ向けての興行が成り立たなくなってしまう。
職業・
そんな風にビジネスに思いを巡らせ、戦いから気を逸らしたラモラは、索敵を怠ってしまっていた。
上空から美しき挑戦者が迫っている事を、見逃していたのである。
「
「行っけぇっ」
アグネスの声に麻里の叫びが重なる。
首都上空、侵略者の直上から、猛禽のごとくアグネスは降下にかかる。
質量を速度にのせ、生まれた衝撃波を眼下の敵へと叩きつけようというのだ。
コクピットの麻里たちが見ているモニターいっぱいに敵のカラフルな姿が映し出され、一瞬ブラックアウトし、強い衝撃に身体が揺らされる。
無様に倒れるYZRとは対照的に、アグネスはスカートを翻して華麗に地上へと降り立つ。
「ええいっ、いったい何事だっ?」
気の抜けていたラモラではあったが、さすがは
三本の足と二対の腕を器用に使い、立ち上がるYZR。
アグネスを悠々と見下ろす、侵略兵器の大きさに圧倒されつつも、
「……アグネス、マイク、外へつないで」
麻里はひるまない。大きく息を吸って、
「やいこらっ、
気風のいい啖呵を切る。
「誰の挑戦でも受けるぅ? ハンッ、ギッタギタにしてやるわよ。覚悟なさい!」
麻里の啖呵に合わせ、それっぽいポーズをとるアグネス。見事な意思の疎通ぶりだ。
残るふたつのコクピットでは、美恵が両手を叩きながらヤンヤの喝采をあげ、知華が "あー、もう西尾さんったらぁ" と頭を抱えていた。
正面に立つ、何やら変わった装甲をまとった小型――彼らのカテゴリーでも最小クラス以下――の人型兵器から、音声が発せられる。
万能翻訳装置がタイムラグ無しでそれを訳し、コクピットのラモラへと伝えられた。
まだ若い、少女と思われる声に初め怪訝な顔になるが、ぶつけられてくる言葉の意味にプロのプライドが即応し、ラモラは素早くYZRを操作して左腕部をアグネスへと叩きつけんとする。
即応したのはこちらも同じ。
「しゃらくさい真似、してくれちゃってぇ!」
麻里の叫びにシンクロするかのようにアグネスが動く。
既にマイクはオフとなっており、麻里の声は外部には聞こえないので、知華も安心だ。
振り下ろされてくる巨大な鉄塊を、両腕をクロスして受け止める。
強い衝撃が走り、アグネスの足元が大きく陥没する。
それほどの質量攻撃を受けたにもかかわらず、華奢ともいえるアグネスの各関節部は悲鳴ひとつあげはしない。細腕も健在だ。
それどころか、受け止めたYZRの腕部を引き込む様にして、逆関節を極めにかかる。
重心を絶妙に崩され、腕部を抱えられたまま、前のめりに倒れ込んでいくYZR。
対格差、重量差をものともせず、アグネスは見事な
腕部をもぎ取るアグネス。砕け散ったジョイント部から火花が上がる。
が、敵もさる者。
うつぶせになったボディを素早く反転させ、健在な右腕部をアグネスに叩きつけた。
「きゃあっ」
まぎれもなくアグネス自身の声で、悲鳴が上がる。
盛大に吹っ飛ばされ、立ち並ぶビルのひとつに身体をめり込ませた。
「大丈夫ですかアグネス? どこか壊れたりしませんでしたか?」
自身も激しい衝撃に見舞われながらも、アグネスの身を案じる美恵を、
「鈴木さん、心配ないです。多少のショックはありましたが、行動に支障はありません」
安心させるかのようにコクピットにアグネスの声が響く。
「どっちにしたって、許せない。――やるわよアグネス」
「はい、西尾さん!」
クラクラする頭を押さえながらも、怒りの炎を瞳に灯した麻里の言葉に、力強く答えるアグネス。
バラバラとビルの欠片を振り落としながら、体勢を立て直そうとするアグネスに、
「そんな時間は与えんっ」
と、ラモラのYZRが迫る。
「!」
突き出された腕部を飛び込み前転で、間一髪でかわすアグネス。
もたれかかっていたビルが、その一撃で無残に崩れ去る。
YZRはビルを貫いた腕をすぐさま引き戻し、回避するアグネスを追うように振り回す。
「ええいっ、ちょこまかとっ」
標的が小さく素早いために、なかなか捉えきれず、ラモラのイラつきも爆発寸前だ。
実力は誰しもが認めるところではあるが、むらっ気があり成績に極端な波がある事が長年のウィークポイントとされてきたラモラである。
苛立ちが極まると荒れる事から、"暴れん坊" などと不名誉な名で呼ばれていた。
師と仰ぐロバーツのチームに入った事で、メンタルケアが充実しその欠点も改善されつつあったが、 肝心なところで顔を出してしまう悪癖はまだ解消されてはいなかった。
「どんなに威力があったって、当たんなきゃ、どうって事ない!」
大型扇風機と化したYZRのスイングを悠々とかわしながら、どこかで聞いたようなセリフを飛ばす麻里。
もう、ノリノリである。
麻里の気分に呼応するように、俊敏にアグネスも動く。
振り回される腕部の軌道をかいくぐり、三本の足のひとつへとスライディングキック。
重心をずらされた巨体が傾くと、ジャンプ一閃。YZRの頭頂部付近へミサイルキック。
「う、おおっ」
崩された重心、力点への荷重、そして振りまわしていた腕部の慣性の三重殺で、ラモラの叫びとともに再び大地とキスする
「どんなもんだいつ」
――プツン。
無様に倒れたYZRを見やり言った麻里の得意げな声が、聞こえてる訳もないのにラモラのタガを外してしまう。
倒れ伏した侵略兵器の周りのガレキが、突然すごい勢いでまき散らされ、YZRの巨体がふわりと浮き上がる。
巨体とその重量を支える重力制御機関が真価を発揮する。
「嘗めるな、プライベーターごときがぁ!」
ラモラの怒声と共にYZRが、その巨躯からは信じられない俊敏な動きを見せ、一瞬でアグネスを捉え、
「きゃあああああーーーーっ」
右腕三脚の見事なコンビネーションブロウを食らわせる。
回転しながら吹き飛んだアグネスはビルに突っ込み、倒壊させ崩れ落ちたガレキの下に埋もれてしまう。
ホールドベルトとエアクッションをおかげで、三人娘は怪我を免れることが出来たが、コクピットは危険を表す赤いランプの点滅に包まれ、絶対の危機の最中にあった。
とどめを刺そうと迫る敵に、気が付いたのは知華。
「アグネスっ、飛んで!」
その言葉にアグネスはフライトユニットのフルパワーと、本体のスラスター全開噴射で、ガレキの山から飛びあがる。
コンマ数秒の差で、アグネスの埋まっていた辺りが、眩い光に包まれ大爆発を起こす。
「逃がさんっ」
ラモラの言葉に乗ってYZRの各所から破壊光線が発射され、空を行くアグネスを撃ち落とさんとする。
「さっ、せるかぁ!」
麻里の気合が乗り移ったか、網の目状に展開される光線をかいくぐりながら、一瞬の隙間をついて蜂の一刺し。
貫き手で肘で、膝でかかとで、次々とビーム発射口をつぶしていくアグネス。
無論無傷で済む訳がなく、美しいアグネスのあちらこちらに、かすめた光線のダメージが残っていく。
「大丈夫ですか? 痛くはありませんかアグネス?」
連続的に表示されるダメージメッセージを見て涙ながらの美恵の声に、笑顔をモニターに投影して応えるアグネス。
「もうちょっとだけ、頑張って!」
「ハイッ」
辛そうな麻里に、なんでもないと言わんばかりの、元気な声が返ってくる。
知華は、ただただ無事であってと、指を組んで祈っていた。
それはラモラの技量をもってしても、覆す事が出来ないアドバンテージだった。
じりじりとダメージが蓄積していくYZR。
コクピット内ではアラームが鳴り響き、損傷報告が次々とディスプレイされていた。
全身に装備されてあった光学兵装のほとんどが沈黙し、装甲のあちらこちらが破損。
戦闘継続は難しくなっている事を、ラモラも感じていた。
同時に、なぜこんな状況になっているのかを考える。
楽なレースのはずだった。
現地戦力との差は圧倒的で、わざとでも負けるのが難しいと思えるほど。
それなのに、突然現れた
……敗北は免れないだろう。
ならば少しでも多く、あのプライベーターのデータを取る。
それがメーカー直轄のワークスチームに身を置く者の、最低限の務め。
されど、一矢は報いようぞ。
「持ちこたえろよ、YZR!」
ラモラはスロットルを開けパワーを搾り出し、高速で飛び回るアグネスを捉えんと、YZRに最後の鞭を入れた。
すでに死に体になったと思われた侵略兵器が、突然高速機動して宙を舞うアグネスに添い並ぶ。
きしむ関節を振るい立たせて、右腕部でアグネスを払おうとするが、ヒラリとかわされてしまう。
しかしそれはフェイクで、本当の目的は、すでに折られていた左腕の健在な部位を叩きつける事であった。
「あうっ」
目論見は成功し、予期せぬ攻撃を受けたアグネスは、バランスを崩し落下。
何とか墜落は免れたが、着地の際に生まれた隙を突くかのように、YZRの巨体が飛び込んでくる。
「押しつぶしてやる!」
圧殺しようと試みるラモラ。
前面に押し迫るYZR。
「やらせるかーっ」
麻里が素早く指示を送り、アグネスが応える。
その細腕でYZRの巨体と重量を受け止めると、綺麗に身体をそらして後方へと投げ飛ばす。
見事なスープレックスだ。
叩きつけられた衝撃で重力制御機関が限界を超えたのか、自重で崩壊していくYZR。
「アグネス、とどめ!」
「ハイ!」
麻里の声にアグネスが応え、右腕をYZRに真っ直ぐ突きつける。
セーラー服の長袖のふくらみが眩い光を放ち始め、
「地球を、地球人を、――アグネスを甘く見るんじゃないよ!」
麻里の叫びと共にアグネスの右腕から稲妻に似た光が放たれ、YZRに吸い込まれていく。
叩きこまれたエネルギー波が、侵略兵器の内部を蹂躙する。
一瞬の間をおいて、YZRはその巨体に相応しい大爆発を起こす。
地球人類が、宇宙の侵略者を打ち負かした、記念的な瞬間であった。
「ぃやぁったあ!」
「凄い凄い凄いっ。私たち、勝ちましたよぉ!」
「――あ~……」
コクピットの中で、三者三様の歓喜。
「――帰還します」
三人の無事に安堵すると、アグネスはやり遂げた笑みを浮かべ、ヘアピースタイプのフライトユニットを展開すると、大空へと舞い上がっていった。
宇宙からの来訪者たちが仕掛けた侵略という名の
その第一戦は、地球側――
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