第13話 除け者
「…それで私は屋敷に近づくな…と。」
ドルイドはエレクトラが回復を見届けてからレイモンドの屋敷を訪ねた。カーライルにお願いされたことを伝えるためだ。
「気を悪くしないでちょうだい。
こればっかりはどうしようもないの。
エレクトラ嬢はあなたが来ると魔力が不安定になるし、結局彼女の体調に不調をきたすことになるんですもの。」
「どうせあの男が言ってきたんだろう。
吸血鬼を屋敷に近づけるなと。」
「そんなこと一言も言っていなかったわ。
むしろ、あなたは協力者だからここへ来るだろうことはわかっていたのよ。」
「私は我を忘れたりはしない。」
「…あなたの問題ではないのよ。
彼女の問題なの。とにかく今回の件は、私たちに任せてちょうだい。」
レイモンドは全く納得がいっていないようで
難しい顔でソファに座り込んでいた。
ドルイドは正面に座っていたが、沈黙が続いてもエラが用意してくれたお茶に手を出す気にはなれなかった。
彼が何かをしゃべり出すまでただじっと待ち続けるしかない。
「あの男はいつまで君の屋敷に滞在するんだ。」
「1週間ほどよ。」
レイモンドが舌打ちする。ドルイドはあきれたようにレイモンドに忠告した。
「レイモンド、カーライルは紳士階級でディギンズ一族は魔法社会でも力のある一族なのよ。もう少し敬意を払ってもらわないと困るわ。」
「あの男は好きになれない。
性根が悪すぎる。」
「あなたも大概よ。」
「私は思ったように行動しているだけだ。」
レイモンドが感情に任せて立ち上がると、ドルイドがそれを手で制した。
「だめよ。近づかないで。
言ったでしょう。最近のあなたは奔放過ぎて油断ならないの。」
レイモンドはしぶしぶといった様子でソファに腰を下ろした。
「これからは使い魔を飛ばすか、こうして屋敷を訪ねることにするわ。
また職人のことがわかったら、その時に教えてちょうだい。」
「使い魔じゃなく、君が来てくれ。
それくらいの希望は聞いてくれたっていいだろう。
まるで子どもに返ってしまったようだと思ったが、それは言わないことにして、ため息をついて請け合った。
「いいわ…緊急なもの以外は訪ねるとしましょう。」
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