七つの大罪をもたらす悪魔
その悪魔、人格を徹底的に破壊する、恐ろしき者。この世の者とは思えぬ美貌を持ち、男に取り憑き堕落させる、狡猾な悪魔。
一つ。その悪魔、傲慢を呼び起こす。取り憑いた男を褒め称え、徹底的に肯定し、周囲の人間を愚弄する。その巧みな話術で、取り憑かれた者は、自己評価を異常なまでに高くする。
一つ。その悪魔、憤怒を呼び起こす。傲慢になってしまった男は、周囲を見下す。それ故に、些細な事で怒りを覚える。悪魔が、そんな些細な事でも、迷惑を感じているように見せかける事により、それは憤怒となる。
一つ。その悪魔、強欲を呼び起こす。取り憑いた男の要望や欲求を、その悪魔は全て叶える。どれだけ大きな欲求でも。それ故に、欲求は膨れ上がり、際限のない強欲となる。
一つ。その悪魔、暴食を呼び起こす。その悪魔が作る料理は、この世の物とは思えぬ至極の味であり、満腹になっても、御構い無しに食べたくなるという。
一つ。その悪魔、怠惰を呼び起こす。その悪魔、あらゆる身の回りの事をこなし、取り憑いた男に何もさせない。食事の際も、スプーン等の食器を、男に一切使わせないという。
一つ。その悪魔、嫉妬を呼び起こす。その圧倒的な美貌で、あらゆる男を骨抜きに出来る悪魔は、悪戯な微笑みを浮かべ、見た事も無い指輪を、聞いた事もない男の名前を発すると共に、取り憑いた男に見せる。
一つ。その悪魔、色欲を呼び起こす。狂おしいほどの嫉妬を呼び起こした後、悪魔は服に手をかけ、はだけさせる。
あらゆる欲望を叶え、あらゆる苦痛を遠ざけようとするこの悪魔は、神へ身を捧げた、信仰篤い男を標的とする。たとえその誘惑に抵抗しようとしても、一生をかけてまでも、側に居ついて堕落させるのである。
悪魔は、そういった事を望む者の所へはやって来ない。元の人格を破壊する事を、おそらくは本懐としているのだから。だからこそ、悪魔なのだろう。
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