ふたつめ
私は普段、自分にいいように
美しかったときのことだけ考えたいられた。
でも 相手がそうでないのは明白だった。
私の中では、それは
美しいもののままだったけれど
相手の中のそれは、もう随分煤けて
汚れた色をしているであろうことは
想像するに簡単だった。
でも、認めるのは私の中のそれが
美しくあればあるほど難しかった。
それでも私は悟った。
これ以上もう、相手のそれに
無駄な色を重ねたくはないから。
少しでも、今より綺麗だった頃のことを
少しでも、多く覚えていてもらいたいから。
私はそれを、自分の中だけで
反芻することにした。
相手のそれが、無垢に戻ろうと戻るまいと
同じ間違いを犯さずに済むように。
同じ思いをせずに、させずに、済むように。
ダイヤモンドが、
ただの炭になってゆく瞬間を見るのは
もう十分だった。
初めての感覚を壊すには、十分すぎた。
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