第3話 誰かのために・・・
(港町 復興横丁・喫茶「planet」)
(翌日、朝から、強い日差しにさらされた時に、港町の人々が、避暑地がわりの店にたむろする、lieと、おばちゃん達。)
近所のおばちゃん
「エーッ?、に、人間が、光だすっちゃねーだよ。ば、バカげなっ、りーちゃん!」
lie「ホントダヨ。カイチュ電灯?、いや、アンコウみたいに、じーちゃんのオナカ、照らしてたよ。」
(何かを隠しているのか?、知らないのか?、互いに顔を見合わす港町のおばちゃん達。そこに、複数の、冷たいのみものを、トレーにのせた、喫茶の主人があらわれた。)
喫茶「planet」の主人・陽子
「むかし、そうゆう、不思議な人に、あったなぁ。」
lie「ね、テンチョサン、どんなひと?」
主人「そりゃもちろん、かなりのイケメンでさぁ(笑)、名前が・・・」
(うっとりしてる陽子を無視して、敬太が、lieを呼ぶ)
lie「あ、モラハラニーチャン!」
(敬太の顔を見て、思わず、えっ、という顔になる陽子。)
喫茶の主人・陽子
「あなた、ドコかで?」
敬太
「そら似だ。」
(冷たく陽子をあしらう敬太に、思わず直感的にボケるlie。)
lie
「ソレッテ、韓国語?」
敬太
「(思わず、吹き出しそうな気持ちを抑えて、話を続ける。) リー。ちょっと顔貸せ。」
(lieを連れ出そうとする、敬太を止める、おばさん達。lieは、空手の構えっぽい仕草で、敬太にむきあう。)
敬太「(あきれ顔)大丈夫だ、女性に手を上げる事はない。安心しろ。・・・そこまで、クズじゃない。(笑)」
陽子「・・・・」
(テトラポットの並びが美しい、灯台に来た、敬太とlie)
敬太「話したか?ババァ連中に。」
lie「は?(惚け顔)」
(憤慨したのか、鼻息をつく敬太。)
敬太「まぁいい、すべてが、もうじき終わるんだから?」
lie「敬太、ナニイッテル?日本はコレカラダヨ!、必ずゲンキニナル。」
(海に向かって、石を投げる敬太。)
lie「今日は、シフクナンダネ(笑)」
敬太「悪いか?息抜きぐらいさせろ。」
(おもむろに、ポケットから、コシャコシャになってしまった、真っ白な羽を取り出すlie。)
lie「あ、コレ、オトシモン。・・・て、もう、要らないか?(笑)」
敬太「その羽を、手のひらに乗せてみな。」
(lieは、手のひらに、折れてコシャコシャになった羽を置くと。)
敬太「実は俺、人間じゃないんだ。」
(敬太は、自分の左手の平を、羽を置いた、lieの掌に重ねて、ゆっくり深呼吸をしながら、瞳を閉じた。)
lie「キレイ・・・・」
(うす緑に光る、重ねた、てのひらに、何かを思い出すlie)
(lieの回想、台湾、平渓天燈節の夜空に、数百の灯籠が浮かび上がる。
)
青年
「さぁ、僕らのも上げようか?」
lie
「うん。(笑)」
(臼黄緑色のランタンが、静かに舞い上がる。)
青年「ねぇ、君は、何を願ったの?」
(lieが、まばたきをした瞬間、辺りの景色が、土砂降りの雨が降る峠の下にいた。)
lie「痛っ」
(ふと、右隣を見ると、先程の青年が、ドコかに飛ばされたように、倒れている。)
lie「大丈夫?、起きて。・・・ねぇっ!起きてよっ!」
(lieの回想、日本の火葬場。)
(うなだれているlieに、青年の家族が、遠巻きに、嫌みを言い続けている。)
「あの子か、留学先で知り合った娘は?」
「あの女が、息子を殺したようなものよ!」
「止めないか母さん。」
「あのメス猫が、雨の日にツーリングにさそわなければ、あの子は、あの子は・・・・」
(閉じ込めていた悲しみが、滲むように浮かび上がる。その回想に蓋をするように、敬太が囁く。)
敬太「どうした。泣いてるのか?」
lie「ごめん。ハグシテイイ?」
(再生した羽を、握ったまま、敬太をハグするlie)
敬太「俺のはなし、聴いてたか?」
lie(中国語)「あんたが何もんだってかまわない。ここに居させて。私はもう、ドコにも行きたくない。貴方の側に居させてほしい。」
(辺りは、夕暮れになり、それなりの答えを示そうとする敬太。)
敬太
「・・・なんか、買い被ってないか?・・・・ま、俺の目的を話せば、少しは、違うか?」
(片翼の青年の天使が、海に向かって、
両腕を広げて立ち尽くす、ブロンズ像前についた。)
lie「キンモクセイ?」
敬太「そうだ。天使(アイツ)が、好きだった花だ。」
lie「天使(アイツ)?」
(缶酎ハイを、三本もって、lieと敬太の背後に現れた、陽子。)
陽子「やっぱなぁ、そうだと思ったよ。ハミュエル(笑)」
敬太こと、大天使ハミュエル
「カシエルが、人間の粛清と、支配実行より、可能性を信じて、愚かすぎる人間達が生息する、この港町を護った。」
陽子「そうね、貴方が、カシエルに力を貸してくれれば、カシエルは消滅しなかった。」
ハミュエル「うるさい‼️ 人間の過信は、やがて慢心に変わり、恩を忘れ、他を見下し、死者を粗末に扱い、最期には、自らが、仏神に成り代わると言い出すのが、目にみえてる。」
陽子「だから、カシエルを見捨てた。」
lie「そうなの?敬太?」
ハミュエル「杉森敬太は、7年前に亡くなっている。俺は、彼の身体を借り、港町に居座る事に決めたんだ。」
陽子「何のため?・・・・まさかまた、天使が人間を罰するために、来たの?」
lie「違うヨネ?」
ハミュエル
「何者かに奪われた、アカシックレコードを取り戻し、ぶっ壊す。そうすれば、一週間ルールも消滅する。」
陽子「アカシック、レコード・・・・」
ハミュエル
「いきとしいける、すべての命の、時刻表みたいなものだ。・・・・本来、君達(人間)が知ることなく、輪廻転生を司る、得たいの知れぬ書物だ。」
lie「一週間ルール?」
ハミュエル「一週間ルールとは、人間が、天使(おれ)らの姿を、認知してしまったら、
アカシックレコードの封印した、呪術によって、一週間以内に、・・・・・その命を終える。」
陽子「じゃ、おばちゃん達も?」
(陽子の問い掛けに、残念そうに頷くハミュエル。)
lie(中国語)「うそだ。私の目の前にいる人が、天使だなんて、信じられない。」
陽子「じゃあもし、逆に、アカシックレコードを書き換える事ができたら、カシエルを、人間として、甦らせることは出来ないの?」
ハミュエル「・・・・できなくはない。かなうならば、港町のババアや、ジジイどもも、俺としりあった時から、
今日までの記憶と引き換えに、
延命を約束しよう。
姿なき大天使。クロノス・インフィディア無きあと、大天使の称号があれば、書き換えも容易なはずだ。」
lie「私には、ニニガナンダカ、ワカンナイ。ただ、敬太のことは、マエカラシテタキガスル。」
ハミュエル
「俺は、あの日、悲しみに埋もれた、君の奥をしりたいが為に、
さっきは、君の記憶に入り、
異体同心(エフェクト)を計った。」
陽子「それって、記憶操作じゃないの!!」
ハミュエル「人間の記憶に入り、
心を知ることに、なんの懸念を持たねばならぬのだ?
見掛けや、身勝手さで、解り合おうとしない人間どもが。」
(緊急地震速報)「こちらは、港町役場です。緊急地震速報がはいりました。」
(役場の放送を聞き、身構えるハミュエル)
大天使ハミュエル「来るぞ、陽子。」
(突き上げる、激しい揺れに立っていられない、陽子とlie。)
ハミュエル「走れ!高台に走れ!(怒)」
(陽子は、lieの手を取り、近くのビルを探す。)
ハミュエル「やべぇ、間に合わない。」
(ハミュエルは、ズボンのポケットから、人間界の持つケータイとは違うものを、lieに手渡した。)
陽子「それって、カシエルの・・・・」
(ティアドロップ型で、スケルトンなケータイをlieにわたす、ハミュエル。)
lie「え、?いいの?」
ハミュエル「陽子、リーをつれて、山沿いの高台に逃げろ!」
陽子「え、ちょっと?あんたは?」
(港に走り出すハミュエル。)
lie「敬太!」
(lieの声に、思わずその場で、立ち止まるハミュエル。)
ハミュエル「人間に釣られて、欲化しちまったのかな?」
陽子「え?、なに?」
ハミュエル「友達って奴は、そばにいるとウザいが、目の前で居なくなると、さみしいもんだな?」
lie「敬太、アタシ、マッテル。しわしわのバーチャんになっても、ずっと・・・・ずっとぉっ!」
ハミュエル「おれは、お前の(天使)プラネットだ。彼氏じゃない(笑)」
(ハミュエルが、陽子たちに振り向きもせず、ハニカミ、海に向かって再び走り出した。)
近所のおばちゃん「あんたたちなにしとるだ?、もーじき、大津波警報がくるって、いっとったど?、はよ逃げ!」
(おばちゃんの止めた、マイクロバスに乗り込む、陽子とlie。)
lie「敬太、カエッテクルヨネ?」
陽子「だ、ダイジョブじゃない?」
近所のおばちゃん「敬太?、はて、うちのまちに、そんな名前あったか?」
lie「え?」
(次回最終回)
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