第2話 奇妙なお医者さん。


東北の港町で、日本人を知る旅に来た私。

どんなに苦しくても、前を向く日本人の、その強さが知りたかった。研究なんてタイトルは、来日する口実だよ。


(避難した住民に与えられた、真新しい高層団地の通路や、そこから見える景色に関心を寄せるlie)


lie「ナンか、キレイナトコダネ。シズかだし。(笑)」


近所のおばさん。

「あんた、原発事故、知っとるけ?」


lie「・・・」

うちのくにも、原子力発電所はあるよ。ちゃんとやってるかは、知らないけど。


(lieを、自宅に宿泊を許した、近所のおばさんは、目を合わさず、街の現状を話す。)


近所のおばさん

「あの事故が、終復したもんだて、政府がホラ吹くから、若いやっちゃが、帰ってこんで、街はまだ干からびちょる。」


lie「ヒカラビ?・・・デモ、日本ダイヂヤブ(笑)」


(lieの、明るく笑うデカイ声に、露骨に嫌悪感を出しながら、通路に出てきた、白衣姿のヤサグレた青年)



ヤサグレた青年

「おい。なにを根拠に、ふざけてるんだ?他人の国を、【小国日本】と、散々被害者ぶって、金を集ってきたくせに!」


(ヤサグレた青年の言いぐさに、記憶のフラッシュバックが起きたlieは、あることで、濡れ衣をかけられた悲しみを思い出して、叫んでしまう。)


lie(中国語)

「みんながみんな、おんなじ憎しみを抱えてきたんじゃない!生きてくために、みんなとあわせて、嘘つかなきゃダメなときだってあるんだッ!」


(lieは、その場で座り込み、激しく泣きじゃくり出した。そして、ヤサグレた青年に噛みつくおばさん。)


近所のおばさん「敬太先生。ちと、娘ッ子にいいすぎじゃなけぇ?」


(敬太と呼ばれたヤサグレた青年は、lieから、何かを読み取っている。)


近所のおばさん「先生、おらのはなし、聞いとんのけ?」


(敬太は、lieに近づき、スッと腰を下ろし、静かに背中をさするが、敬太の瞳には、誰かの映像が、細切れながら、飛び込んできている。)


敬太「済まなかった、愚直で一色単な怒りを、君だけにぶつけてしまったな。」


(過呼吸ぎみに泣きじゃくるlie。そして、

敬太は、彼女を連れてきたおばさんに、)


敬太「明日、すまないが、彼女を、私の部屋【ラボ】へ来るように、伝えてくれ。」


(いきなり立ちあがり、敬太に尻餅をつかせるlie)


lie「日本人、最悪っ!」


敬太「ふっ・・・・うそ泣きではないが、力は、まだあるようだな?、よろしい。(笑)」


(敬太は、気だるそうに、大あくびをして、自室に戻っていった。)



lie

「アイツ、ナニ?、ハラタツ!」

(ふと、lieの足元に、真っ白な羽が、落ちていたのに気が付き、それを拾うと、近所のおばさんの部屋で、食事の準備の間、シャワーを浴びていたlie)


近所のおばさん

「リィちゃん、

さっき、あんたに絡んだのは、


杉森敬太先生。


ナンやら、ようしらんけ、

放射せん医学の第一人者だって、話じゃてぇ。・・・・


んでな、七年前の震災の時に、

大きな津波で行方不明だって、

きいとったけど、


潮が引いたら1週間目の朝、


白衣に海草とか絡まって、

うちあがってたそじゃ。」


lie「ソンナコトアンダネ❤️」


(食事中の会話だったが、急にひそひそ話するように、lieの耳元で囁くおばさん。)


近所のおばさん「じゃがね、これは噂やと・・・・」


lie

「ん?」


近所のおばさん「敬太先生・・・人が変わったって話ぢゃ。」


(lie)そりゃ、こわいおもいすれば、かわっちゃうよ。


近所のおばさん

「七年前は、人の目を見んことが出来ん兄ちゃんだか、うちあがっとてた日から、人が180度、変わったそじゃ。」


lie「え?」

それってジキルハイドじゃん。?日本人、怖いかも((((;゜Д゜)))


(lieの回想。食事を終え、寝床にはいるが、なぜか、敬太の顔を思い出している。)


近所のおばさん

「寝れんのけ?、クーラー、かけっか?」


(敷布団のなか、白い羽を握り締めながら、身もだえて、なかなか寝付けないlieを、心配するおばさん。)


近所のおばさん

「明日、無理して、敬太先生のとこ、行かんでいいよ。さにされっがわがんねから?。」


(仰向けになりながら、何やら空手の型を取るlie。)


lie「ダイジョブ。私、少林寺ナラッテマス(笑)」


(一方、杉森敬太は、自分の部屋で、沢山の、観測用テレビモニターを見たり、水槽の小型の魚に餌をやっている。そして、独り言を呟く。)


杉森敬太

「なぁ、お前の身体・・・これ以上、傷まないようにするから、もう少しだけ、貸してくれ。」


(独り言を終え、写真楯に視線を向ける敬太。だが、そこに写るのは、容姿はそのままだが、間違いなく別人の男性が写っている。)


(回想:二人の敬太。)

岸に流された、瀕死の杉森敬太。


杉森敬太(斎藤工)

「ぼっ、僕は・・・・死ぬ、のか?」


天使

「残念だが、これも、人の子の運命(さだめ)なるかな・・・ただ、君に頼みがある。」


杉森敬太

「ぼ、僕に、なにが、・・・できる?」


天使

「君の英知と、身体を、借りたい。」


杉森敬太(本人)

「なんで・・・僕が・・・」


天使

「悪いが、今の君に、すべてを語る時間は・・・もうない。」


(天使の膝元で、静かに息を引き取る、本物の敬太。・・・・・ふと気がつけば、カーテンの隙間から、キツい夏の朝日が差し込む。)


杉森敬太

「クソッ・・・まだ動きはないか?アカシックレコードの期限が間近なのに・・・・」


(翌朝、lieたちは、港町の年より達と、ラジオ体操にいそしんでいる。)


lie「じいちゃん達、ゲンキーだね?(笑)」


地元のじじい

「若い娘ッ子が、ここに住んでくれりゃ、生きる張りが、できるっちゃよぉ。(笑)」


地元のばばあ

「あんり、まあだ、スケベズラしとってぇ~(笑)」


lie「あたしちゅごくじん。みんなと、仲良くシタイ。」


地元のじじい 2

「おめさ、いっそのこと、日本人になっちまえよ(笑)」


lie「え?イイノッ❤️?(笑)」


(杉森敬太が、ラジオ体操の集団に近付いてくると、潮が引くように、距離を起き出す、老人達。)


杉森敬太

「おい、年寄りども。」

(炎天下のなか、長袖の白衣を着た、敬太がズカズカ、ラジオ体操の集団に近づく。)


lie「ワタシ、ナニカシタ?」


(lieも、敬太の勢いに飲まれないように、ズカズカ詰め寄った、次の瞬間、膝から崩れる、年老いた男。)


lie「あ、」


杉森敬太「おい、じいさん!・・・おい、女!、運ぶぞ!」


(むくれっつらの、lieを無視して、年老りの左肩を、かつぐ敬太。lieは、右肩を担ぐ。)


lie「ワタシの名前は、lie!。ナマエデ呼べ。」


敬太「おい、自己紹介は後だ、空気読め!中国人❗️」


(祈るように、木陰から、三人を見守る老人達)


lie「ナンだよ!カタブツニーチャン!」


(1kにしては、気持ち広く感じる敬太の部屋。lieと敬太は、老人を仰向きで寝かせた。)


lie「はぁ、オモイネ。・・・あ、熱中症、カラダヒヤスが、イイノッ。冷蔵庫ドコ?」


(lieは、デニムのズボンの、左後ろポケットから、かわいらしいハンカチを取り出し、通路にある、ミニキッチンの水栓を開いて、取り出したハンカチを濡らしている。)


敬太「そんなことは、わかってる!。それよりここは、・・・原発事故の被害を受けてる、港町だと、言うことを忘れるな‼️」


(lieは、濡らしたハンカチを持ち、

ベットに向かうと、

敬太は、老人の身体に、

自らの左手をかざし、ゆっくり何かを探ってるように、動かして行く。)


lie「な、ナニコレ?・・・その光は❓️」


(LEDより、柔らかな黄緑色の光が、敬太の手のひらから、老人の身体に、ゆっくり掃射される。)


敬太「ヘックス(光合成)粒子だ。」


(続く)














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