司令官のセイン

 交渉から帰投してすぐ。リュドミラはドラウプニルのコロニーの居住区へと赴いた。

ダイヴスーツによる戦闘での死傷は、全て総隊長であるリュドミラの責任だ。それを果たさねばならなかった。

 レギーナ・アハトワはヴァルナ小隊隊長の妻だった。リュドミラよりも一回り高齢で、十五になる息子は既に金属加工の仕事をしている。

 周囲を高圧溶液で囲まれたコロニーでは、遠方の会社に出社することなどできるはずもない。採掘業者が管理するコロニーが、そのまま共同体の形となる。作戦会議で顔を合わせる機会の多い隊長のステファンからは、よく妻と息子の話を聞かされていた。

「では、主人は最後まで戦場で……」

「ああ。ヴァルナⅣ……ニコラスを逃がすために敵の新型ダイヴスーツを足止めして、十五分後に通信の断絶を確認した。私が戦っても歯が立たなかった相手だ、ニコラスが帰ってこなければ発見が遅れ、更に被害が出ていただろう」

「そうですか……」

 レギーナは俯いて何かを逡巡するようなしぐさを見せるが、すぐに顔を上げて質問した。

「その新型というのは、一体どのようなものだったのでしょう?」

 リュドミラは返答に詰まる。新型ダイヴスーツの性能は戦略上極めて重要な情報だ。おいそれと話すわけにはいかない。

 だが、レギーナの表情を見て、彼女がを望んでいないことに気が付く。レギーナはただ、夫が何と戦い、そして散って行ったのかを知りたいのだ。リュドミラは己の迂闊さを一瞬呪った。

私が戦った範囲での情報だが、そう前置きして説明を始める。

「奴は前方の標的を圧潰させる近距離兵装を内蔵していた。装甲もこちらの装備では貫通できない代物だ。ステファンの乗っていたダイヴスーツでも撃破は不可能だろう。私は岩石群を利用して奴の攻撃を防げたが、ステファンは私のようには防御できなかったはずだ」

 リュドミラは、ステファンがどんなに機体を損傷しようとも動ける限り作戦を続行できる、凄まじい執念と操作技術を持つダイバーだったことを念頭に置く。

「恐らく、ステファンはシールドを最大限利用し、腕パーツを使い潰しながら遅滞戦術により時間を稼いだのだろう。あの相手に十五分とは、全く驚異的だ」

「でも、戻ってこれなかった」

 レギーナが不意に口にした言葉は、重く響いた。

「……ああ。ステファンは偉大な戦士だったが、大馬鹿野郎だ」

 レギーナは頷き、かたく目をつむった。リュドミラは彼女が目を開くまでの間、自分たちが失ったものについて思いを馳せた。

 このまま終わることなど、出来るはずもない。やがてレギーナが目を開けると、リュドミラは険しい表情で言う。

「アハトワ夫人。保証の話をさせてくれないか」

 例え何を失おうと、リュドミラたちは生き続けなければならなかった。






「オレグの救出作戦を提案する」

 ソヴィエトとの交渉から三日後、リュドミラはセインの執務室で、その机を叩いていた。

「聞こう」

 セインは顔色一つ変えずにリュドミラを見据える。

「第三黒線ラインの南方研究所に単独で潜入を行い、オレグを救出する」

「研究所の構造とオレグの位置は分かっているのか」

「ああ、こいつならわかる」

 リュドミラは自分の頭を指差した。変態技師ソールと銭ゲバ=ユーリの主導の元、オレグの頭の中に巣を張った「モナド」のデータを少しずつ複製、蓄積していたのだ。複雑すぎて手に余る代物であったが、それをモノにする鍵は意外な場所にあった。

 いつの間に在ったのだろう。リュドミラの持つナノマシンネットワークに、見覚えのないソフトが見つかった。ソールが用意したジャンクマシンで照合させると、モナドから得たデータに対するデコードキーのような働きをすることが分かった。

 ソール曰く、これはモナドによるマーキングのようなものらしい。人物相や発言から飼い主であると判断するのはいかにも頼りなく、確実な識別方法が必要というわけだ。リュドミラとしては飼い犬にひっかけられたようで微妙な気分だったが。

 ともかく、そのソフトを丸々保有しているリュドミラのネットワークに、辛うじてモナドの機能の一部を実装できたわけだ。

「ふむ、モナドの保有者以外にマスター権限を持つ者が居るのはそのためか。完成された個体戦力と言えど、鹵獲された場合を考えていないわけではないようだな」

「ああ、こいつがあればあいつの位置がわかる。ハードが無いから重力波の送信は無理だが、受信はできるからな。それだけじゃない、モナドの戦術支援システムの一部も使える。スニーキング・ミッションかくれんぼにはうってつけだ」

「目標の位置が常に分かっているスニーキング・ミッションか……」

 セインは手を組みしばし黙考したが、リュドミラが焦れる前に口を開いた。

「その作戦を許可することはできない」

 セインはそのポーズを解かず、言い切る。

「今、君のような戦力を失うことは許容できない」

 リュドミラがすぐに沸騰すると予測したのだろう。セインは厳しい瞳でリュドミラを見据える。リュドミラもそれを睨み返す。

 しばらくそのまま時間が過ぎ、やがてリュドミラが視線を外した。

「なあ、セイン。私の部下たちは……皆は、お前に付いてきてくれているか」

 打って変わって関係の無いような質問にセインは眉をひそめるが、すぐに答えた。

「ああ、皆、よく付いてきてくれている。十二年前から、ずっと……」

「懐かしいな。向こう見ずのセイン、お前はそう呼ばれていた」

「あの頃とは違う。今は私が責任を負うべき立場だ。君もそうだろう。自分の立場がよく分かっているはずだ」

「私がいなくとも、ダイヴスーツ部隊は役目を果たすだろう。やわに育てた覚えはない。それに、高圧環境下で絶対などないさ。一人が死んで止まるのは水層世界の組織ではない」

「一人ではない……二人だ」

 セインの声は冷たく、険しかった。

「オレグは既に唯一無二の戦力だった。君のような戦闘技術を会得できたのは、ついに彼だけだった。今君を失えば、あの戦闘技術は失伝する」

「爺さんの、か」

「……そうだ」

 リュドミラは自分がまだティーンエイジャーだった頃を思い出す。その頃の「ドラウプニル」の重役たちは皆頭一つ抜けた年齢で、しかもほとんど全員がダイヴスーツ乗りだった。皆老齢とは思えぬ溌剌さで、ソフト担当のエンジニアなのにフィールドワークと称して出撃する爺さんすらいた。

 そのエンジニアのコスタヤ爺さんに、リュドミラとセインはよく懐いていた。セインが突飛なことを口走って、爺さんが面白がってダイヴスーツに実装し、実際に乗り回して、他の重役に叱られたりしていた。リュドミラのワイヤーを使用した技術もその過程で生まれたもので、セインはうまく使えなくて悔しがったものだ。

 リュドミラとセイン、それとユーリの三人は、控えめに言って悪童だった。勝手にダイヴスーツに乗って外出し、岩石群をアスレチック代わりに遊んでいた。最終的に爺さんたちも諦めて、リュドミラたちに専用のダイヴスーツを用意する始末だった。

 だから、あの事件は必然だったのかもしれない。ソヴィエトの海域には所狭しと採掘会社がひしめいていて、企業間の衝突が絶えなかったのだから。

 それはドラウプニルの水域の近くでも例外ではなく、その頃、周囲の業者を次々に「買収」し、幅を利かせている急先鋒の採掘業者がいた。

 悪いことは重なるものだ。その日、リュドミラたちが岩石群へと出かけていることに気付いている者は少なかったし、リュドミラたちを見送ったハッチの守衛は偶然、すぐ近くまでその急先鋒の業者が来ていることを知らなかった。

 リュドミラたちはその採掘業者のダイヴスーツ部隊の目に留まり、結果、操縦技術の未熟だったセインが拉致されてしまった。

 セインが拉致されたのを間近で見たリュドミラとユーリは、転がり込むようにしてコスタヤ爺さんたちに助けを求めた。

 彼らの行動は迅速だった。セインを拉致した業者は、いつかは武力を示して牽制しなければならない相手だ。作戦は想定されていたのだろう。通常業務を部下たちに押し付け、爺さんたちはたった十五人だけで出撃した。

 セインが拘留されているだろう施設まで辿り着いた爺さんたちが目にしたのは、十艇もの潜水戦艦とダイヴスーツ部隊が戦闘している光景だった。爺さんたちはこれを好機と判断し、どさくさにまぎれてセインを救出した。

 そして、脱出した爺さんたちを待ち受けていたのは、カッシーニ・ソヴィエト傘下であることを隠そうともしない、一個師団レベルのダイヴスーツ部隊だった。

 後で判明した話だが、ソヴィエトにとってその採掘業者は様々な不利益を産む存在だったらしい。それも当然な話で、ソヴィエトが欲しいのはその水域の環境に詳しく、効率よく採掘ができる業者であって、ただ利益を貪る組織ではない。粛清は早いか遅いかの事項だった。

 だが、どうせ大規模な動員をするならと、ソヴィエトの中で一案が講じられたようだ。

 すなわち、一企業にしては武力を持ちすぎているドラウプニルの主力に対する、包囲殲滅作戦である。

 あらかじめ殲滅する予定の業者に紛れ込んでいたソヴィエトのスパイは、周辺の情報を集めるうち、そこでリュドミラたちがほぼ単独で岩石地帯に遊びに来ていることを知った。彼はその業者の同僚たちをそそのかし、セインを拉致させた。

 そしてその結果、ソヴィエトはドラウプニルの主力を包囲することに成功した。

 爺さんたちは善戦したが、流石に多勢に無勢だ。壊滅した業者の船を使ってセインを離脱させただけでも、奇跡的な戦果だったと言える。

 そうして、その日。採掘業者ドラウプニルは、一人の少年の命と引き換えに、重役のほとんどを失った。

「あのような出来事を二度と繰り返してはならない。南方研究所はソヴィエトの要所だ。いくら君とはいえ、生きて帰ってくるのは不可能に近い。最も成功率が高いのは君だが、最も失ってはならない人物も君だ」

 同僚のほとんどが戦死し一人残された社長のニキータ爺さんは、大きな穴が開いた組織を立て直そうと奔走し、結果、それが彼の寿命を縮めた。

 自らの死期を悟った彼は、後任を次期社長と目されていた商業部担当のおっさんではなく、セインを指名した。

 当然、ドラウプニルの中でも反発があったが、ニキータの言葉で黙ることになる。

――セインは、を知った。

 実際、あの事件のあと、セインは変わった。やんちゃだった坊主は見る影もなくなり、彼の眼差しは氷のようになった。重役が欠けたドラウプニルの立て直しでも、彼は実務において無視できない成果を上げていた。

 リュドミラはセインがどこにいってしまったのか、気になって仕方がなかった。彼は様々な知識に対して貪欲だったが、それが発揮されるのはあくまで遊びの為であって、将来皆の役に立ちたいとか、そういう他人への奉仕のためではなかった。

 セインは、自らを捧げる機械のようであった。

 しかし、だからこそ、リュドミラはセインを信頼していた。遊びとはいえ、自らの為に力を使い、それをモノにするのは存外難しい。自分のことが一番難しいとリュドミラは常々思っていたし、セインも自分のダイヴスーツ操作技術についてよくぼやいていた。なればこそ、セインの能力が他人の為に使われるのならば、それは絶対にモノになるはずだ。

 事実、セインは今日までドラウプニルを動かしてきたのだから。

「……それが、お前の判断なんだな」

「そうだ」

「そうか……」

 だから、セインの判断ならば、その内容がどうあれ納得するべきだと、リュドミラは自分に言い聞かせていた。突っ走りがちだと自覚しているが故の、リュドミラの自制だった。

だ。マイボス。どうやらそうも言ってられない状況みたいだぜ」 

だが、そこに割って入る声があった。

「モナドに対する調査がそれはもう大収穫でねえ。小心者の俺は、思わずチビっちまいそうだったぜ」

「ユーリ」

 ユーリは芝居がかった仕草でリュドミラにウィンクをした。黙っていろということらしい。

「モナドが地球の機動兵器に連なる技術だってのは、ボスが推測したことだったよな。そいつの裏を取りにいくつか問答をしてやったんだが、まあ、あれだ」

 ユーリの態度は、どこまでも軽々しかった。

「つい最近、地球で内戦があったようだ。単なる小競り合いじゃない、どえらいやつだ。ちょいと調べてみたら、既に地球に関するいくつかの流通ルートが消えているときた。いやまったく肝が冷えたね」

 しかし、ユーリの目は笑っていなかった。

「モナドはその内戦のどさくさで盗まれた技術の一つらしい。大人の事情がプンプンする経路を通って、水層世界にやってきたってわけだ。どれだけ高性能なワープ装置を使ったのか、俺には検討もつかんね」

 ユーリは大げさに指を折って数え始める。

「太陽系の経済圏の混乱、地球(おか)からの技術の拡散、おまけにこれまで抑圧されてきた植民惑星のことを考えると……何が起きるのかは自明だよなあ、ボス?」

 水層世界が地球からの支配を受けていないのは、単にあの機動兵器が水層世界では活動できないからだ。それでも他惑星との貿易は大きく制限されており、水層世界は地球が望むままのレアメタル産出惑星として扱われていた。

「全ての文明圏を巻き込んだ、終わりのない動乱か」

 セインの冷たい呟きを、ユーリは表情で肯定した。

「水層世界も無関係じゃいられねえ。しばらくの間は、何事も無かったかのように経済は回り続けるだろうが。になっちまったら、ソヴィエトは俺たちをあっさり見捨てるだろうよ。遠からず、俺たちドラウプニルは死ぬ」

「それで、その事とこの作戦に何の関係が?」

 セインは既に理解しているのだろう。だが、彼は敢えて疑問を投げかけた。ユーリもそれを承知していた。

「重力波通信だ」

 重金属が溶け込んだ高圧溶液で満たされた水層世界では、電波による通信が著しく制限される。短距離ならともかく、一キロメートル以上の通信は絶望的だ。だから採掘中でも本部と連絡を取るためにはいくつもの通信機をリレーさせなければならない。海域を封鎖されようものならすぐに破壊されてしまうだろう。

「こいつがあれば、水層世界でも単独で安定した通信ができる。こいつの戦略的価値を知らんわけじゃあねえよな」

 そうさ、とユーリは大仰に前置きした。

「今まではてんでバラバラだった俺たち弱小企業が、密に連絡を取り合うことが可能になるのさ。俺たちは互いに利用し合い、更なる利益を追求するようになる。三大企業とは違う、新しい産業複合体の誕生だ。こいつができて初めて、俺たちは企業の連中と対等になれる」

 無論、そのような枠組みができても一枚岩ではいられまい。だが、極めて広い範囲である程度統一された軍事行動が可能ならば、ソヴィエトもこちらのことを無視できなくなるだろう。微弱な重力の変化を利用する重力波通信は、二進法を使った従来の信号と大差無い。暗号回線も思うがままだ。

「そいつには、絶対にオレグが必要だ。今のあいつは最新鋭の研究機関の一部門と同等の働きができる。もし俺が寄生されていたとしても、あれほどの性能は出せなかっただろうよ。それほどの価値がある、俺たちにとっても、奴らにとってもな」

 そこまで聞いても、セインは表情一つ変えない。だが、組んだ指は何かをためらうように、かすかに震えていた。

「セイン、お前は何を遠慮している」

 ユーリの口調が変わる。商品を売りつけるセールスマンの口調から、友人としての口調へと。

「あの時から、ずっと組み立てていたんだろ? こういう時の為の作戦をよ。俺とお前、そしてミラがいれば実行可能な作戦だ。それの有効性を、お前は俺よりもずっと理解しているはずだ」

 ユーリの表情は、ほとんど睨みつけるようなものに変わっていた。

「爺さんたちが今の状況でも、必ず助けに行っただろうよ。いや、そうか、なるほど」

 唐突に、ユーリは合点がいったように笑った。

、か。だからお前は躊躇ってる。何せ相手は爺さんたちですら殺られたソヴィエトだからな。それが正しいのか、判断できる指標が無いわけだ。爺さんたちの背中を追っていたお前には」

 セインは否定も肯定もしない。ただ見つめるだけだ。セインはその様子をじっと見て、我慢しきれないと云うように顔を歪めた。

「なめてんじゃねえよ、セイン。俺たちは、ドラウプニルはそんなもんじゃあないだろう。俺たちがどうやって生き残ってきたのか、忘れたわけじゃあるまい。そうさ、そうとも……」

「私たちは家族だ。そうだろう?」

 その先をリュドミラが引き継ぐと、ユーリははっとしてこちらを振り向く。リュドミラはにやりと笑ってみせた。

 ドラウプニルは一つの企業であると同時に、構成員の家族を養うシェルターでもあった。その家庭が、企業の社員でもある。幼くして両親を亡くしたリュドミラたち三人も、爺さんたちに、他の社員の家族たちに、まるで我が子のように大切に育てられた。

ドラウプニルは利益追求団体であり、連綿と続くであった。

ユーリはばつが悪いと自嘲気味に笑って見せ、もう一度ユーリに向き直った。

「で、マイボス? これ以上の説教は必要か? お前が望むのなら……」

 セインがユーリの言葉を遮る。その場に秒針がたっぷり半周する沈黙が流れるが、既にセインの指は震えることを止めていた。

「リュドミラ、君の作戦は許可できない。代わりに、私から新たなミッションを提示しよう」

 セインは立ち上がった。作業機械かと思うほど、滑らかな動作だった。

「我々からの全面的なバックアップを受け、第三黒線ラインの南方研究所に単独で潜入を行い、オレグを救出して。これは命令だ。君に拒否権は無い」

 リュドミラは不敵な笑みを浮かべた。

「拝命しよう」

 それを見届けたユーリが、やれやれと言いながら肩をすくめ、唐突に通話を始める。

「ソールさん、張り切ってるとこ悪いが、もう入ってきていいみだいだぜ」

 すると執務室に禿げ上がった頭でツナギ姿の中年男性が入ってくる。変態技師、ソール・ベリンスキーだった。

「おうおう、もうセインが折れたか。おれの出番かと思ったんだがね。にしても……」

 ソールはリュドミラを見て笑った。

「姐さんよ、あんた、もっと人の話を聞いてくれやしねえか? 自分が重力波通信を受信できると聞いたらすぐに飛んでいっちまって、肝心なことも話せやしない」

「そうだぜ、ミラ。持てる情報ぶそうは多ければ多いほど良い。特にセインみてえな手合いにはな」

「そうだな、肝に銘じておく」

 二人からの呆れにリュドミラは降参する。その会話をよそに、セインは執務室のテーブルに据え付きの立体映像投影機ホログラムを起動した。

「ではこれより作戦会議を開始する。ソール、まずは君の意見を聞きたい」

 決定したら機械のように行動に移る。その様子に、リュドミラはいつものテンポが戻ってきたことを実感した。

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