第114話 何かしら付いてきました? (46)

 するとね、ある部屋から、十八禁まがいの女性の嬌声が漏れてきたのよ。

 "わらわ" もね、これ以上は恥ずかしくて、述べる事が出来ないけれど。とにかくね、男女の獣のような嬌声が漏れてきたわ……。


 と、なると……"わらわ" の目は怒り……では無くて、潤んできました。


 もう、いつでも、声を漏らして泣きそうな気分なのです。だって実際は、いつも女王様気取りのツンとした感じの "わらわ" ですが。実際はそんな事はないのです、只単に神で女神ですから神々しくしているだけで、昨日から皆さんも何度も見てると思いますが。主人の事になると大変に弱弱しい女に変わるのですよ。


 だって昨晩も何度かうちの主人と口論になって、『エンエンエン』と、泣いてしまった、"わらわ" ですから。


 でもね、このまま、この場に立ち尽くして泣いてる訳にもいきません!


 だから勇気を振り絞って──雄と雌の獣のような嬌声が大きく、外へと響き渡る部屋へと突進してみようと思います。


 だから "わらわ" は、いざゆかん!


〈ドォ、オオオオオオォッ! ガァ、アアアアアアッ!〉


 刹那──"わらわ"の細くて、しなやかな、カモシカの足で、扉を蹴破ってやりました!

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