第83話 何かしら付いてきました? (15)

「あっ、あの、魔王様、わしらはどうしたら、いいですか?」


「えっ? あああ、そうだね……」


 俺がね、先程から一人で色々な事を思い出して回想シーンに入っていると、町のシルバー義勇兵の代表のお爺さんが声を掛けてきたよ。まあ、町の町長さんらしんだけど、若さと精力を欲しさに人を辞める為に、俺達に同行している人達なんだけれども。


 ……本当にいいの?


 と、述べたくなるよ。


 だから先程町で出発前に「お爺さんとお婆さん達、本当にいいの?」と、尋ねたらね。


「「「はい、大丈夫です!」」」


 何の迷いもない、真剣な表情で皆さん、述べてくるから。


 まあ、仕方がないかと連れてきたんだよ。


 それでさ、大型護送車の中で町長さんが話してくれたのだけど。もうね、老い先短いからお金があっても、これといって何も出来ないし、若い者には煙たがられるは、下の世話が面倒だと愚痴られる事が多々あると述べていたよ。だからね、実際は、町長という名誉職でも、家に帰れば小さくなって部屋に閉じこもっているらしい。


 でもね、先程の田さんと、皆に呼ばれていた連れのお爺さんが容姿こそ人間離れした感じだけど。精霊になって若返って、体力、活力、精力とも充実している姿を見て、町にシルバー世代の人達に声を掛けて回って募集してね、連れてきたのだよ。


 だってさ、俺がうちのカミさんをお迎えに、町を探索しているとさ、いたのだよ、町長さん達。それも如何にも怪しいお店に……。それもさ、入っていった……。


 だからね、俺ね、何をしているんだろう? と、思ってね、店の中を覗いてみたんだけど。


 まあ、俺自身も社会勉強というか、そういう春を売るお店ってどんな感じ何だろう? と、興味もあるから覗いたんだよ。カミさんも丁度いなかったしね。


「あっ、魔王さま?」

 町長さんが俺に気付いて声を掛けてくれたから。

「どうも」と、俺は笑顔で答えたよ。

 その後直ぐに、「何をしているの、みなさん?」と、町長さん達を含めて先程のお爺さん達に声を掛けたんだよ。


 だってさ、不思議に思うじゃない?


 先程俺に町長さん達は、もう下の方は全然活力も精力も無いと述べていたのに、こんな怪しいお店にいるからね。


「あのですね、魔王様、この店は、この町一番の春を売るお店で──働いてる女性美しさの数もこの町一番なのですよ」


 と、教えてくれたんだ。


 だから俺は「へぇ~」と、答えたよ。それでさ、先程の町長さんが述べてた事も気になるし、このお爺さん達には悪いけれど。この人達場違いな場所にいる訳だから、気になるので又口を開いたよ。

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