第32話 夫婦喧嘩になるのかな? (11)

 だから俺自身もそろそろ?


 妖艶魔女 女神様に反撃の狼煙をあげるよ。


 俺自身の大きな手のひら──。


 それこそ? 妖艶魔女 女神様の小さくて美しいお顔が、二つぐらい入りそうな手のひらをグィ! と、強く握りしめて──。


 再度俺の大きな口を開き──。


「わりゃああああああっ! 食らえぇええええええっ! 淫乱!クソ女神──!」


 怒号を放ち、女神フレイヤが一番大事にしている、自慢の顔へと──。最初は利き腕の右の拳を、痛くてしょうがない腰の痛みを我慢しながら上半身をひねり、俺の大きな拳を彼女の顔へと振り下ろしてやった。


〈ガン!〉


 でッ、その次は、左の腰と腕を上手く後ろにひねりながら、左手の拳をふりおろしたよ。


 するとさ、刹那──。


〈ガン!〉


 と、また、俺の大きな耳に打撃音が聞こえてきたのだよ。


「ううう……。き、貴様……」


 大きな打撃音がしたのだから、妖艶魔女 女神様に俺の両拳が当たっているはずなのだが?


 いまいち効いていないのだろうか?


 妖艶魔女 女神の口からは、『ううう……』と、唸り声ぐらいしか聞こえてこない。


「ううう……。貴様ぁああああああっ! わらわの大事な顔を──! 絶対に! 絶対に! 許さん──! 必ず殺してやる──!」


 俺に妖艶魔女 女神様は怒号を放つと──。


『ガブ~ゥ!』


 俺の脇腹に噛みついてきだした──。


 それも人の急所の一つである、肝臓の上からね……。


「うがぁああああああっ! 痛ぇええええええっ!」


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