第31話 夫婦喧嘩になるのかな? (10)

「じゃ、われもしねえやぁああああああっ! フレイヤぁああああああっ!」


「はぁあああっ! 小童ぁあああっ! 誰に、モノ申しておる、わらわは女神フレイヤなるぞぉおおおっ! わかったいるのかぁあああっ! この小童がぁああああああっ!」


「あああ、知っているよぉおおおっ! あんたが誰なのかぁあああっ! 妙に若作りをしている淫乱おばさん──! 」


「うううっ! き、貴様……。また、わらわを愚弄しよったな……。ぜ、絶対に許さんぞ貴様だけは……。身体中をバラバラに引き裂いてくる……。先ずは、貴様の胴を真っ二つにしてやる、覚悟せい! 小童がぁあああっ!」


〈ギィ、ギィ、ギシ、ギシ……〉


 俺が妖艶魔女 女神フレイヤに、侮る言葉を怒号にして放つと──。


 まあ、女神フレイヤも憤怒して怒りをあらわにしながら、俺に対して売り言葉に買い言葉ではないが、怒号を放ってきたのだよ。


 まあ、当たり前……。


 脳内で独り言を漏らした俺が、思わず笑みを浮かべそうなぐらい……。


 でもね? 笑みなど漏らす暇などないのだよ。


 憤怒した魔女仕様のおばさん! 俺に年甲斐もない、男好きの淫乱おばさんと暴言を吐かれて──。


 この通りの御様子だよ!


 憤怒に! 怒りをあらわにして、鬼婆仕様の上に、眉間にには青筋立てていらっしゃる。


 その上、フレイヤ自身の両耳にある、エメラルドグリーンの邪な魔法増幅アクセサリーは光りぱっなしだけれどさぁ……。


 もう、とにかく、フレイヤおばさん自身は?


 最初に俺のところに寄り添ってきて、『あなた~♪』と甘え声色をしていた時の、美しい淑女の女神フレイヤ様の面影などはない……。


 それこそ、先程から俺が独り言を漏らしている通りで、魔女……。


 それこそ? バース神族の魔王フレイヤとでも言いたいぐらいの、形相をしているよ。自身の紅玉の瞳のある目を吊り上げて──。


 だから、女神……じゃない!


 魔王フレイヤの、のフェロモンの甘い香りで、働きアリのように後から後から、このアケード街に居る男達が集まってきてはいるのだが。


 魔王フレイヤの形相が変わる迄は、アリのように集まってきた男達は、の色香の甘い香りに魅入られて、痙攣──。


 その後は、先程俺が何度も告げた通りで、泡を吹き死んでいるの者達が後を絶たなかったのだが……。


 今は少しばかり様子が変わった!


 いくら魔王フレイヤの、の色香で、アリのように男達が集まってきても。顔の相が完全に代わった般若のような顔をしたフレイヤの容姿を確認すると──。


 慌てふためきながら、みな男達は逃げ始めた!


 だから俺達二人の回りに、男達の、死体の数は増えなくなったから。俺自身も安堵したのだよ。


 でも、俺自身安堵するのは言いが?


 魔王フレイヤの俺の腹部を締め付ける力は、先程よりも強くなっているのだよ。


 魔王フレイヤが身につけている、邪な魔法増幅アクセサリーが、エメラルドグリーンに、『キラ! キラ!』と、妖艶に光輝く度に……。





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