第26話 夫婦喧嘩になるのかな? (5)

「貴様ぁあああっ! 今妾に何ともうしたかぁああああああっ!?」


 俺が先程女神フレイヤに怒号と暴言を放って──。


 その後は、自身の脳内で色々と思案をしていると、今まで俺に怒号と暴言を吐かれて、プルプルと震えながら腹部に抱きついていたフレイヤだったが。彼女にいきなり異変が……。


 と、俺が思ったところで、もう遅い?


 ……あっ? と、俺自身が思ったら、ううう……。い、痛い……。


 女神フレイヤは俺の腹部を絞めつける両手に妙に力を強く入れてきたのだよ。


 だから俺は痛さと苦しさで、今までのような、心の中で独り言を呟くような痩せ我慢をすると言う事がもう無理……。


「うっ、うわぁああああああっ! いっ、いてぇええええええっ! ううう、死ぬ──! はっ、放せぇええええええっ! 放してくれぇええええええっ!」


 俺は痛さの余り絶叫をあげた──。


 痛くて死にそうだから……。


 でッ、女神フレイヤに締め付ける両手を放してくれと嘆願もした。


 でもね? 俺の腹部を自身の両手で締め付ける淫乱女神は、自身の両手の力を緩めるどころか、更に締め付けるのに力を増してきたのだよ。


 う~ん、それどころか?


 淫乱女神フレイヤは憤怒して、怒りをあらわにした表情と、俺の背が凍り付きそうな、とても恐ろしい冷めた目で睨んできたのだよ。


 もう俺の目の前にいる淫乱女神様は……。


 先程まで俺に甘え、自分自身を置いていかないでと、嘆願をしていた女神フレイヤの面影はないのだよ。


 う~ん、それこそ?


 アニメやラノベなどに登場する、悪意に満ちた女魔王様って感じかな?


 特に彼女の漆黒の髪色と紅玉の冷たい瞳が、更に恐ろしい女性魔王を醸し出している感でね……。


 それにさ? 淫乱女神様の口調なのだが。


 先程までの年甲斐もない、ぶりっ子のお嬢様口調ではもうないのだよ。


 それこそ? 俺の背中が凍りつき、恐れ慄き震えが出て畏縮してしまうぐらい、低くて冷たい声色を吐いてきたよ。


 それも女神フレイヤは、今俺の事を小さな声で、「殺してやる……死ね……」と、まで履いてきたのだ。

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