死んでたまるかちゃん。9
「もしもし!」
『あれ?その声は』
「Tさんか!俺です!今、街中でいきなり警官に撃たれて!」
『は!?どういう事!?いや、説明はあとで聞く!ハザードの地区解る!?』
「ここは…K地区!中央縦の道路沿いファストフード店の向かいの車線歩行者通路!今街路樹と脇の植え込みに隠れてます!!たぶん、俺だけ狙ってるみたいなんで…周りに被害はなさそうです、例の女も無事みたいです!」
『K地区…わかった、すぐ各所に連絡する!そのまま隠れてて!』
「すんません、頼みます!…ふぅ」
「郁!大丈夫!?怪我!怪我してる!!」
「いてぇけどかすっただけだ、お前顔真っ青だぞ…?どっか怪我したのか?」
「してない!やだ!郁が怪我してる!!郁、やだ、いく…!」
「落ち着け!なんでお前がテンパってんだ!!」
「そうですよ、死んでたまるかちゃん。落ち着いてください」
「うお!?救命戦士N!?」
「どうも、昨日ぶりです、お二人さん」
「郁、いく、やだ、郁がけが、やだ、やだよぉ…」
「これはこれは。こんなに取り乱した死んでたまるかちゃんは初めて見ますね」
「死んでたまるかちゃん?」
「可愛いでしょう。我々の間での彼女のあだ名です。そのまんまですが。さて」
「Nさん!?」
「何があったか知りませんが、危険人物はのさばらせておけませんので」
「いきなり現れてどこ行くんですか!?」
「お静かに。ちょっとシメて来ます」
いきなり俺達の隠れてる場所に、救命戦士N…まぁ、皆まで言うな、一番顔見知りの救命戦士の片割れだ。その人が現れて、じゃ、と敬礼して車道の方に飛び出して行った。人はほとんど居ないが低い茂みの高さに腰を落として走っていく。めっちゃ早い。Nさんもしかして本職忍者かよ。呆気に取られて見ていると、そのNさんがまた歩道に飛び込んだ。俺は思わず歩道側の樹の陰から少しだけ顔を出す。
「ほんとに迷惑なんでやめてください」
「グ、グフゥ…」
うわぁ。背後に回って左腕を顎の下に噛ませて右腕で強烈に絞め上げている。マジで絞めてるじゃん…。有言実行力パネェ…。白目剥いてますけど警官、いや偽警官。うちの市の救命戦士何者なんだよ。確かに忍者の里の市には近いけど。それは関係無いな。うん。これ、出ても大丈夫、か?もう意識飛んでる、っぽいよな?人っ子一人居なくなった通りに様子を見ながらしゃがんだままそろりと足を踏み出す。
「郁、ダメっ!!」
背中を押された。死んでたまるか女に。歩道に転がり出る。何すんだ!と叫ぼうと振り返った瞬間、発砲音がして、街路樹が弾けて、一瞬後、目の前の女の側頭部から血が噴き出す。
「死んでたまるかちゃん!?」
「ぐっ、ふ…」
は?
何が、起きた?
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