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「もうみんな来てるの?」

「んーん、想太が一番乗り。やっぱり想太だね」

「そんなことないって。他の奴が遅いってだけ」

「遅くないよ。想太が早いんだよ」

 だってつい癖みたいなもので。こういう時って早く行って準備しなきゃって思うんだから仕方ない。それに幸樹の手伝いも出来るし。

「幸樹張り切ってたよ~今日は俺の自慢の料理を食べてもらうんだぁって」

「へぇ、それは楽しみ」

 幸樹は焼き鳥屋のオーナーで、その腕には定評がある。前に海辺でバーベキューをした時は美味しすぎて海に入るのを忘れたくらいだ。いや、言い過ぎたけど。

「大したもの作れないけど、俺も手伝えることがあったら手伝うし」

「そんなことないでしょ。俺は想太の作る料理も好きだよ」

「幸樹には負けるって」

「それは当たり前でしょ」

 さらり、と言ったつもりだったのにあまりに甘い返しが来てつい笑ってしまう。

「笑わないでよ」

「ごめんって、あんまに普通に言うから。それっていつもそう思っているってことだよな」

 ちょっとからかって言ってみると恥ずかしかったのか雪彦はプイ、と視線を外した。

「まぁ俺は料理が下手だからね」

「またまたぁ」

「もう、うるさいっ」

 その流れに、くくく、と零れてしまう。雪彦はこうやってからかうと面白いんだ。

「あ、もう梓来たんだって」

「え、俺より早く着いたの?」

 さっき俺が一番乗りだって言ったのに?

「梓は車で送ってもらったんだって。うちは駅からちょっと距離があるから」

「そっか、梓も愛されてんな」

 新婚さんはアツアツでいいねぇ、なんて。オヤジか俺は。

「ねー。あ、なんか今日、特別なお知らせがあるらしいよ?」

「何の話?」

「なんか梓から連絡が来た。だから楽しみにしていて、だってさ」

「ふーん」

 天気はどんよりとしているのに足取りはとても軽い。心の内も晴れやかだ。あぁ、きっと今日は楽しい日になるに違いない。俺も存分に腕をふるって酒を作ることにしよう。

「楽しみだな」

「うんっ!」

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