変わったこと、変わらないもの

カゲトモ

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 朝はあんなにも豪雨だったのに、今は雲こそ厚いが辛うじて雨は降っていない。どうやら晴男の力は壮大らしい。天気予報では今日は一日雨だと言っていたのに。

「雪彦」

「あ、想太」

 改札を出て相変わらず細い背中に声を掛けると、振り返った顔は満面の笑み。つるんでいた中で純粋な愛嬌があるのは雪彦だけだ。

「ごめんね、分かりにくかったでしょ?」

 心配そうに駆け寄ってきた雪彦はナチュラルな動作で俺の荷物を片方持った。そんなに重い物ではないけれど、その心遣いに嬉しくなる。男女ともにモテていたのはそういう気配りが出来るからだろう。そんな良い奴を射止めたんだから、幸樹は幸せ者に違いない。

「まぁ何とか来られたから大丈夫。ってかさすが雪彦だな。凄い晴れパワー」

「え? あ、あぁ何言ってんの、こんなのたまたまだって」 

 そのたまたまが凄いって話なんだけど。こういう奴だからこそ、晴れのパワーを持っているのかもしれないな。ちょっと羨ましい。俺は雪彦みたいにはなれないけれど。

「名前は雪なのにな」

「それみんなに言われる。名前勝ち、って」

 ふふふ、と微笑む顔に自然と笑みが零れる。雪彦のこの柔らかな空気は一緒に居ていて心地が良い。空気を浄化してくれている、みたいな感じ? 

「でも本当に酷い雨にならなくて良かった。あんまり降るようなら中止にしようかって言っていたから」

「雪彦がいるから大丈夫だって」

「え~?」

 三日前に突然決まったホームパーティ。最初はただミケに飲もうと連絡を入れたらなんかドンドン人が増えた、ってな感じで。最終的にはこの世界に入った頃の、青春を共にしたメンバーが集まることになった。場所は新婚の新居である幸樹と雪彦の家。俺とミケとリンと梓。みんな持ち寄りで飲もうと言うことに。なんだかんだ言ってこうやって集まって飲むのは久しぶりだ。

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