三月十九日
三月十九日 1 朝
潮騒の音がする。
ざざーん。
ざざーん。
擬音を考えた人は偉いと賢司は思う。だって、そのとおりに聞こえるのだから。
さすが南国。
青い海に浮かぶ島。肌に射す陽は強く、ちりちりと肌がバーベキューしそうだ。
瞼を閉じていても明るさを感じる。朝だろうか。
しかしこの布団と枕は、随分とまた寝心地の悪い…。なんとなく暖かくてクッション感はあるけど、ざらざらしている…。
頭はなんだか重く痛いし。寝風邪でもひいたかな…。でも、昨日はよく寝たはずだ。夕方も寝たし、夜も寝たし―。
夜…。
夜!
夜、そういえば、あれからどうなったんだ? 確か俺は殴られて…。
賢司は目を覚ました。
眼前に白と青が広がっていた。とても眩しく、勢いよく開けた瞼をもう一度勢いよく閉じてしまった。
そしてまた開いた。
唸りながら寝返ると、今度は視界が緑と青の色に変わった。
瞬きを繰り返しながら、おもむろに賢司は、両手で上半身を支えて、がばと上体を起こした。
自分が寝ていた場所がどこかわかって、呆然とした。
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