第12話 集中力

 小説を集中して書くことができない。今に始まったことではないが、最近特に書けなくなっている。


 理由はわかっている。ズバリ、パソコンで書いているからだ。


 では手書きならさらさらと書き進めていくことができるのかと問われたら、答えは否である。キーボードをぱちぱち叩いて書こうが、原稿用紙にペンを使って書こうが同じ脳みそを使う作業であるから書き進めて行くスピードは変わらないだろう。ただパソコンと手書きでは作業をする上で、環境が違い過ぎる。


 大きな違いはインターネットという神ツールの有無だ。世界中の膨大なる情報がマウスのクリック一つで簡単に得ることができるという状況は便利でもあり、作業効率の妨げにもなる。


 インターネットが繋がることによって音楽も聞けるし、わからない言葉を検索することもすぐにできる。そして自分の推しの画像なども検索して延々見続けることができるのだ。こんなに便利で楽しい状況の中で、面白いのかどうか自信のない自作の小説なんて黙々と書くことなどできるわけがない。


 じゃあネットの回線引っこ抜けば?、という無慈悲で暴力的な言葉が飛んできそうだが、そうなると『カクヨム』とも繋がれなくなる。それはいけない。断じて許されることではない。それだけは避けなくてはならない。


 というわけで引っこ抜く案は却下。


 それならば自分の自制心を鍛えて、小説を書くことに集中すればいい。


 これだ!結局はこれなのだ!!


 よし、『明日から』集中することに決めた!しっかり集中できるように、今日はとことん推しの画像を検索して悔いが残らないようにしっかり目に焼き付けておくことにする。


 明日から本気出す。


 絶対本気出す!(カクヨムを閉じながら)

 

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