第8話 クッキー

 今回は私の好物であるクッキーについて語る。


 クッキーはカロリーや健康のことを気にしないでいいのなら、一日五枚以上は食したいと思っているほど好きでたまらないお菓子のひとつだ。


 クッキーやビスケット系のお菓子は抜群に美味しいが、肥えることを恐れる人間の不安を裏切らないレベルで高カロリーだ。小麦粉やバター、牛乳などをぎっちぎっちと練り込んで、とどめを刺すかのようにチョコレートやナッツをぶち込んで焼き上げているのだからさもありなんというところであろう。


 そんなカロリーモンスターを長年愛し続けている私はちゃんと知っている。カロリーモンスターはモンスターでもあり、太る不安を越えるくらいの口福(幸福)を与えてくれるマイスイートエンゼルでもあるということを。


 とても罪深い存在であるマイスイートエンゼルこと、クッキーとは長い付き合いで、幼い頃は親にねだったり、成長してからは自分へのご褒美としてデパ地下でちょっといいクッキーを買って仕事を頑張るための糧としていた時期もあった。


 生きていく上での楽しみというものは誰にでもあると思う。私の場合、数ある楽しみの一つにクッキーがある。幼い頃なら甘味欲を満たし、腹を膨らませるために。大人になってからは日々の辛いことを乗り切ったり明日への活力となるための源となる存在としてクッキーは在り続けている。


 実は今、私は苦境に立たされている。とある病気から検査をしなければならなくなって、悶々としているのだ。そんな私は食欲がなくてもクッキー欲はある。甘いクッキーを食べている時は不安や悲しみから少し逃れられる。病的な発想かもしれないけれど、実際嫌なことが忘れられるのだからエンゼルパワーはすごい。ただ、食べ終わった瞬間から秒で現実に戻るのだけれど・・・。


 「生きる糧」「生き甲斐」いろいろな言葉に当てはまるクッキーという存在。私を生かしてくれる貴重なエナジースイーツは私がいくつになろうと、どういう状況になろうと私を救ってくれるはずだ。私はクッキーに甘えているだけではなく、大好きなクッキーが年寄りになっても食べ続けられるように精進しなければならない。それがお世話になっているクッキーに対する礼儀であると思っている。そのためにできることとは何だろう。


 糖尿にならないこと、歯を失くさないこと、食べる気力を失くさないこと、だろうか。これからの年齢を考えるとなかなかのハードルであるが、マイスイートエンゼルを抱き続けることができるのならば、これくらいの努力は仕方ないのかもしれない。

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