喘息の療養のため、高校2年生の半年間を田舎で過ごす。東京では優秀な進学校に通い、将来を嘱望されていたが、このちっちゃな港町で、今までと違う自分に出くわした。いつも笑顔の彼女に惹かれていく心に私は嘘をつけない。目指すべき大きな世界と、愛おしむべきちっちゃな世界、そして純粋な恋心の間で引き裂かれそうな少女の心模様。理知的で規範的な少女の一人称で綴られる世界は繊細で、豊富な語彙によって緻密に組み上げられる文章が見事だ。方言女子が可愛い。好きです。