第45話 あたしメリーさん。いまアイドル活動をしているの……。

 今年一番の寒波が日本列島を直撃して、雪もチラホラ舞ってきた冬休み真っ盛り。

 テレビでは、この1㎝程度の雪で首都圏の交通機関が麻痺しているとか、タワケたことを抜かしているが、都会の都市機能というのは脆弱過ぎるな。

 うちの田舎なら一mの雪が積もろうが、子供は外で放牧されていたし、学校にも徒歩で通わされたぞ。

 冬場に休校になったのは……確か小学三年の一度だけ、冬眠しない伝説の巨大人喰い熊である『ゴンザブロウ熊』の被害が深刻になった時だけだった筈である。


 ちなみにあの時は、すでに引退していた名人と呼ばれた鉄砲撃ちマタギの村田さん(66歳)が、村長と長老の懇願を受けて、愛犬の『長洲』と一緒に『ゴンザブロウ熊』を仕留めるべく冬山に登り……それっきり戻らなかったため、冬休みが延長されたんだよな。


 なお、『ゴンザブロウ熊』は春の雪解けとともに、額を撃ち抜かれた死体が川上から流れ着いてきたことで、村田さんが命懸けでやり遂げたことを知り、俺たちは『ゴンザブロウ熊』の脅威から解放されたのを知り、感動の涙に暮れたのだった。


 他にも中学、高校になると雪女が出ると評判の雪山にスキーに行ったり――。

 なお、うちの地元の雪女は全裸……らしい。毎年、野望に燃えた男たちが「なぜ雪山に登るのか!? そこに全裸の雪女がいるからじゃ!!」と、豪語してルートを外れた尾根に向かっては行方不明になり、春の訪れとともに雪解け水に流されて、なぜか至福の表情で凍り付いた学生の死体が戻って来る。


「満足した顔してるだろう。ウソみたいだろ。ノゾキなんだぜ。それで……」

 弟の死体を前に、双子の兄が放った伝説の名言は、いまも地元で語り継がれていたりしていた。


 そんな感じで、それなりに雪とは親しんでいたわけだが、そういう環境に暮らしていた俺としては、雪が降っただけで往生するという感覚がまったく理解できない。


 そういえば異世界でも今年はまれに見る豪雪のようで、今朝のメリーさんからの電話でも、

『農民の家が雪でつぶれたり、ろくに食べられない貧乏人が軒並み餓死しているみたいで、メリーさん心が痛むの……』

 と殊勝なことを口に出していた。


「……ちなみに、いまお前はどこでどんな格好でいるんだ?」

『あたしメリーさん。いまマントルピースがガンガンに燃えて暑いくらいのホテルの最上階の部屋で、愚民どもを見下ろしながら、ソファに座って真っ赤なバスローブ姿でブランデーグラスに入った、グラピヨン・スパークリングを飲んでいるところなの……』

「アン〇ニオ猪木さんか、お前は!?」


 案の定、口先だけの同情であったらしい。ちなみに『グラピヨン・スパークリング』というのは、「キングオブジュース」もしくは「ジュースのロールス・ロイス」と呼ばれる世界最高峰のジュースである。


『あと、この雪のせいで子供たちがSmowmanの被害にあっているらしいので、メリーさんも自粛して表に出ないようにしているの……』

「Sn〇wman?」

『ス〇ーマンじゃないの。スモーマンなの。子供が不用意に雪だるまを作ると、夜中の十二時に雪だるまが命を持って、マワシを締めて子供の元へ飛んできては、無理やり雪の中でハッケヨイノコッタをやるの……』

「なんだその傍迷惑な雪だるまは!? つーか、児童虐待じゃね?!」

『メリーさんもそう思うんだけど、昔ながらの伝統で、子供をぶん投げたりはたき込んだりするのは、あくまで「かわいがり」と呼ばれる親愛行動ということになっているから、冒険者ギルドでも取り締まりができないならしいの……』

 誰が決めたんだ、そんな阿呆な伝統を?


『あたしメリーさん。ということで雪が降っている時には外になんて行かずに、部屋でゴロゴロしているのが一番なの……』

「まあ、その意見には大方同意するが……」


 どこまでも執拗に追跡してくる都市伝説『メリーさんの電話』。その当人であるメリーさんが、ターゲット向かって、「雪が降っていて出かけるの面倒だから、適当にゴロゴロしているの!」と宣言するのは、世間的にいかがなものだろうか?

 だが、案外プロってのは、適度な緩急をつけたカメハメハ的なノリでいなければならないのかも知れない。

 そう無理やり自分を納得させて電話を切った俺だった。


 そんな俺だが、いま現在その雪の中を出歩いてとある場所へと赴いていた。なんでそんなことをしたかというと――。


「同志諸君! 今宵ワルプルギスの夜。久遠の闇より聞こえる血塗られたレクイエムの調しらべに慄き、グラン・ギニョールを目の当たりにしたような虚無なるカタストロフィの予兆を、さぞや感じているであろう!」


『たまには皆でうちのマンションの部屋に集まって、朝までゲームとかやらない? 全フロア暖房完備で眺めも最高よ』

 という樺音ハナコ先輩の甘言に乗せられたからなのは言うまでもない。


「……つーか、こいつらも一緒か」

「なんか言ったでござるか、同志?」

「ふたりともボーッとしてないで、ワタシの土産をテーブルに広げるのを手伝ってよー」


 下界の様子を一望できる地上29階建てのセキュリティ付きマンション(!)の最上階付近。

 完全に上級市民御用達である部屋の中には、半ば予想していたけれど俺の他にも樺音ハナコ先輩の呼びかけで参加した暇人連中――ヤマザキ、ドロンパ――も雁首を揃えていた。


 で、いつもの黒ゴス姿の先輩が、上座で一席打っている間に俺たちは手分けして、テーブルの上に各自が持ち寄ってきたお菓子やジュースを広げるのだった。


「ドロンパはほとんど駄菓子か~。いや、嫌いじゃないけど、酢昆布とか麩菓子とか、お前食えるのか?」

 と、俺が聞くとドロンパが山ほどの駄菓子を手にして、満面の笑みを浮かべる。

「この際だからいろいろと試してみたくて買ってきたよー」

 見るからに白人なドロンパが、定番のう〇い棒やおにぎり型の煎餅の他に、チープな酢イカとかヨーグルトでないのになぜか誰もが「ヨーグルト」というカップに入った謎のペースト。はたまた、一口サイズのサクランボを模した謎の触感の餅が入ったパックなどを手に取ってアピールする。


 その様子を眺めながら、外人の常で面白がって買ってきたのはいいけど、多分、半分も食えないのが大半だろうな。と、予想するのだった。

 この手の駄菓子って子供の頃はともかく、飽食で慣らされたいまとなっては、思い出補正込みでもチープすぎてすぐに飽きるからなぁ……まあ、何事も経験か、いざとなったら宅配ピザでも注文すればいいんだし、と割り切るのだった。


「魂の共鳴……共に進む運命たる諸君らの不安は、この私の漆黒が解放しよう! 人の子たる者たる運命を司る二重螺旋の根源にはセロトニントランスポーター遺伝子が刻まれ、地にはペシミストたるマリオネットが満ち溢れている――そう、これが冷蔵庫。昼間にラムレーズンケーキ焼いたのを冷やしておいたから、皆で切り分けるように――この世を支配するは混沌なる秩序、邪なる光が人々を焼き、流れる涙に落ちどころなく――あ、そっちは調味料の棚。こっちが皿と食器と――なれど、その時! 涙を掬い上げるべく、漆黒の炎が我が魔眼と左腕に宿り終焉の道エンドロールへと導き、万物の根源たるアルケーと共に幻想歌を奏で巻き上がる!」

 一席ぶっている間にも、ドロンパにダイニングの場所を聞かれて、律義に案内しつつ時折日常を挟みながら、相変わらずの謎フレーズを連呼する樺音ハナコ先輩。

 うちのアパートならご近所中の迷惑だろうが、セキュリティとともに壁の防音効果も高いらしい、ちょっと離れただけでボソボソとした囁きにしか聞こえない先輩の声を聞きながら、俺は持ってきた缶ジュースやペットボトルをテーブルの上に並べるのだった。


「そーいや、樺音先輩は二十歳になったので、酒の方がよかったですかね~。いちおう隣の学生にもらった蜂蜜酒を持ってきましたけど、これ半年以上前にもらったやつだから賞味期限怪しいので捨てますね? 他はクランベリーソーダとカルピスソーダとペリエ、7UP、コーラ買ってきましたけど」

「Hey! 冷蔵庫を見たらコーヒーと麦茶、そば茶、ジャスミン茶もあったね。あと、緑茶もねー。樺音canon、急須でお茶煎れてもいいかな?」

「いいけど――って、聞いてるの。あんたら!!」


 そこへ、食器やケーキを持ってドロンパと一緒にダイニングから戻ってきた樺音ハナコ先輩に怒鳴られたけど、出〇杉くんがの〇太のことをまともに相手しないのと同じで(たまに付き合ってくれているのは、あれはお情けの対象として見てるのだろう)、あっさりと全員にスルーされる樺音ハナコ先輩。


「ちょっと聞いているの⁉ われら『超常現象研究会』はこの一年で部員を四名に増やすという快挙をなしとげられたわ!」

 力強く俺たち顔を見回して吹聴する樺音ハナコ先輩。

 どうやら彼女の中では俺たちは『超常現象研究会』の部員に数えらカウントされているらしい。


 事後承諾すらない決定事項に、単なる飲みニケーションだと思っていた俺たちは無言で顔を見合わせて、

「「「…………」」」

(きちんと否定しておくか?)

(そういったら樺音canon、絶対にヘソを曲げるね)

(この寒いのに暖房の利いた部屋から追い出されるのは面倒でござるよ)

 この際、テレビが勝手に毒電波を発しているとでも思って、間違っても言質を取られないように聞き流すことにしよう――と、阿吽の呼吸で意思決定をはかるのだった。


「漆黒の空に生まれし我ら。その存在意義により、世間の理解を得るのは難しいわ。それゆえに持たざるぬ者の運命を甘受せねばならない……とはとはいえ、今年度中に部員五人にして廃部クライシスを乗り越え、新世紀ジェネシスを迎えるまであと一息だわ!」

 どーでもいいけど、俺の周りにいる女って、大学の講義で習った『ツァイガルニック効果』(できたことより、できなかったことの方が印象に残りやすい)が裸足で逃げ出すほどポジティブだな。


 一方、手ぶらできた、冬休み前より体重が3割増えて不審者率が200%増加した――アメリカだったらGPSつけられて、FBIに盗聴されるレベルの怪しい風体になった――ヤマザキが、テーブルの上に並べた俺の土産を手に首を捻る。

「駄菓子だけにだがしかし! そういう貴殿ももってきたお菓子が全部『萩〇月』というのもいかがなものでござろうか?」

「土産の一つも持ってこなかった奴に言われる筋合いはないぞ」

「いや、拙者、日本ではなかなか手に入りにくい『ダバダバ杉』と『マトボッククリ』を持参したのでござるよ。だが、なんたることか! ここのマンションの玄関前で警備員と押し合いになって、警察呼ばれた上に没収されたでござるよ!!」

 不審者丸出しだからなー……つーか、なにを持ってこようとしたんだ、お前は!?


「拘置所では無理やりシャワー浴びせられるでござるし……まったく失礼でござる!」

 言われてみれば風呂あがり特有のサッパリ感がある。

「ヤマザキ―、なんか臭うと思ったら、ヤマザキの体臭かー。シャワー浴びてこれだと、浴びる前はどんだけ臭ってたわけ……」


 そんなヤマザキの毛玉だらけのニットに鼻を寄せたかと思うと、嫌な顔で鼻を抓むドロンパと、言われて気付いたらしい演説を取りやめ、微妙にヤマザキから距離を置く樺音ハナコ先輩。


「――別にそれほど臭うとは思わないでござるが、そういえば久しぶりに電車に乗ったところ、なぜか周りから人が離れていくという怪奇現象に遭遇したでござるな」

「任務あがりで帰宅の電車に乗った、海上自衛隊のティーゼル潜水艦乗りか、お前は!」

 臭気疲労で鼻がバカになってるんから、自分じゃ気付かないんだよ!


「つーか、ますます太ったんじゃないのか!?」

 すでにベ〇マックスは超越して、ト〇ゥガと化していた。

「正月太りと実家ではモニターの前より、半径三m以上行動しなかった自堕落な生活のせいでござろうな」

「痩せろ! お前、お菓子とジュースは禁止! 白湯だけ飲んでろ!」

 そう断固たる口調で言い含める俺の言葉に、うんうんと同意する樺音ハナコ先輩とドロンパ。

「殺生でござるよ! せっかく一カ月ぶりに下界に落ちてきたのでござる。『萩〇月』のひとつやふたつ……」

「甘い! ダイエットを失敗する第一の要因は『500gくらい誤差の範囲』理論だ! それが積もり積もって二キロになり三キロになり……そうして手遅れになるんだ」

「「――うっ」」

 なぜかヤマザキ以上にダメージを食らう樺音ハナコ先輩とドロンパ。

「あと訂正だけど、ここにあるのは本家『萩〇月』の他、類似品の新潟『越後〇月』、愛媛『瀬戸〇月』、栃木『華厳〇月』、鹿児島『薩摩〇月』、和歌山『紀伊〇月』、神奈川『箱根路〇月』、茨城『茨城〇月』という食べ比べセットだ」

「他は多少捻っているけど、イバラギがまんまのネーミングねー。コージョーの月はないの?」

 そう一個一個並べて力説する俺の説明を受けて、興味深そうにいろんな『〇〇の月』をとっかえひっかえ見比べるドロンパ。


「『荒城の月』は食い物じゃない。あと『イバラキ』な! それ茨城県人に言うと、英語圏の人間に『Potato』を『ポテト』と言って――」

「No,No! 『Potatoプテイトウ』。Repeat!」

「……という状態になるから注意が必要だ」

 その発音だきゃ許せない! とばかり狂戦士パーサーカーと化したドロンパを前に、「な?」と、ヤマザキに実例を示す俺。


「なるほど、関西人に向かって『〇〇でんがな』とか、『ほな、さいなら』とか、『うちらは結構ですわ』とかの似非関西弁で喋りかけるみたいなものでござるな。いまでは使われていないので、言ったが最後、『うわきっつ! 生理的にキツい。なろう主人公みたいな奴やな!』と、顰蹙を買うこと必須という『バ〇ス』並みに禁断の言葉でござるな」

「いや、そういうお前がある意味オタクを馬鹿にした喋り方をしているわけだが」

「関西人は怖いでござるよ。以前、尼崎のコンビニ行ったら『覚せ〇剤使うな』との張り紙が……」


「てゆーか、聞いてよっ! あとひとり、たったひとり集まらないと、今年度末で我が『超常現象研究会』の廃部の危機なのよ!」

 攻めてきた宇宙人相手に、集まった地球の精鋭戦士が成すすべなく敗れ去り、「〇〇ー!!!! はやくきてくれーっ!!!!」と、主人公の到着を懇願するような必死さで、最後の部員について連呼する樺音ハナコ先輩。


「といってもこの時期では、もう無理なんじゃないですか?」

 冬休みが終わったらすぐに春休みだし、単位もだいたい履修している連中はそのまま大学に来ないで休んじゃうからなぁ。


「そこをなんとかするのが汝ら我が同胞はらからたる聖戦士の役割でしょう! ――ということで、なんかいい案はないの?」

 当然のようにいの一番に指名される俺。

「なんで俺なんですか?」

 足利義満に屏風の虎をどうにかしろ、と無茶振りをされた一休さんの気分で樺音ハナコ先輩に尋ね返す。

 ちなみに同じことをメリーさんに聞いたところ、

頓知トンチ利かせるよりも、とりあえず相手にマ〇ファナ吸わせれば、だいたいのことは解決するの……!』

 という身も蓋もない荒業での答えが返ってきた。

 こんなことになるなら実家の周りに勝手に生えている野生の麻の葉をいくらか摘んで、乾燥させて持って来ればよかった……と、割と本気で後悔する俺。


「あんたのことだから、どうせ破天荒なアイデアを出すんでしょう? それを踏み台に皆で意見を出し合って、部員を獲得するのよ。言うなればあれよね、『全くアイデアが湧かない』って時に有効な理論で『マクド――」

「アウト! それ以上はいけない‼ つーか、書籍版でも相当数のネタにダウト判定を食らったけど、その名前は某ネズミと並んで絶対に使っちゃダメな筆頭ですよ、先輩!」


 危険なNGワードを口に出しかけた樺音ハナコ先輩の口元に手をやって、焦りながら俺はそれを阻止するのだった。


「え~~~っ……じゃあ『黄金のM型アーチ理論』とでも言うけど、『晩ごはん何がいい?』って聞かれて『黄金のM型アーチマークのハンバーガーにしよう』と言うと『えー、他のにしようよ例えば……」と、自然と色んなアイデアが湧いてくる、まず最初に『最もありえない』ものを先に提示すれば、そこから色々なアイデアが湧いてくる。この手法を踏襲しようと思うのよ。ということで、何でもいいからアイデアを出しなさい」

「なるほど、論破前提でござるか」

 そーいうのは得意でござると、分厚い眼鏡のブリッジをクイッと上げるヤマザキ。

「――なんだこの罰ゲームは?! こんなテンションでいいアイデアが出るわきゃないでしょう!」

 吊し上げ同然の宣言にさすがに猛然と樺音ハナコ先輩へ抗議する俺。

 あと、ドロンパは煎茶で駄菓子を食べては、「ん~~?」と、微妙な表情をしていた。


「そこを何とかするのが副会長でしょうが!! 超越者の魂魄こんぱくを宿す汝は特別な存在であると、我が魔眼が疼いて知らせるのよ!」

「ヴェ〇タースオリジナルじゃねえぞ、俺は! 普通の男子大学生だっつーの!!」


 右目の眼帯に手を当ててポーズを取りながら、俺の与り知らない役職を盾に無茶振りをする樺音ハナコ先輩。


「――とにかく、なんでもいいから部員獲得の手段を口に出しなさい!」

 テーブルを叩いて強制する樺音ハナコ先輩。

 面倒臭いな、つーか本来部外者である俺に頼るよりも、現部長で二年間も同好会を腐らせていた本人が、一番にどうにかする問題だと思うんだが。


「適当に部員募集のポスターでも掲示板に貼っておけばいいんじゃないですか? こう……『ひょろひょろだったニートでも、超常現象研究会に入会したら、まるで精神と時の部屋から出てきたみたいに激変しててビビった』とか吹聴して」

「ダウト! 嘘はいけないわ、嘘は」


 本当に面倒臭いな。これメリーさんだったら、ラテン系のノリで、

『問題があっても、踊って歌ってたら知らないうちにどーにかなるみたいな感じなの……!』

 という、人生をなめ腐った行為で、実際に解決しちまうんだけどなぁ。


「――それができないところが、サブヒロインのサブたる由縁なんだろうな」

「誰がサブヒロインよ!? ということで、即座に妙案が浮かばないようなので、我が魔眼により封印されしエグゾディア。禁断の叡智の封印を解くため、今宵、汝らを召喚したのよ」

 と言いつつ、事前に準備しておいたらしい、樺音ハナコ先輩は革張りのノートと一緒に、トランプ大のカードの束をテーブルの下から取り出した。


「なんすか、これ?」

 暗黙の裡に樺音ハナコ先輩の面倒ごとは俺がレスポンスするような流れができているなあ……と思いながら、ちゃんとプロが描いたと思しい一枚一枚異なるカードをひっくり返して尋ねる。


「フフフフフフ、去年から我が異世界の深淵を覗くため、〈狭間トワイライトの守護者ガーディアン〉の呪圏スペル・ハウンド内で活動していたのは知っているでしょう?」

 婉曲どころではない歪曲された表現に小首を傾げた俺は、16分割されてランダムに並べられた画像から、もとの姿をヒントもピントもなしに当てる気分で、あてずっぽうに確認をしてみた。

「……もしかして、TRPGに没頭していた話ですか?」

「その通り! さすがは我が従者サーヴァントたる〈狭間トワイライトの守護者ガーディアン〉ね」


 正解しても嬉しくもなんともないな。コレの同類に堕したようで。


「これぞ新入部員獲得の秘密兵器! 膨大な都市伝説フォークロアをもとに私が考案したカードゲーム。名付けて〝チキチキ・メリーさんからの大逃走ゲーム”よ!」

「…………」

「――どうしたでござるか、同志!? いきなりズッコケて!!?」

「OH! これが話に聞く『ズコー!』ね」


 無意識に座ったままの椅子から転げ落ちていたらしい。

 心配するヤマザキとドロンパに、「なんでもない」と断って再び椅子に戻る。


「ゲームのルールは簡単。所定の時間、メリーさんから逃げきれれば勝ち。逃走経路はこの十二面ダイスを振って決められるわ。あと、最初に各自へ五枚カードが配られるから、追いつかれたり追い付かれそうになったら、このカードを一枚使ってメリーさんを妨害したり、他のプレーヤーにヘイトを向かせればいいの。ヘイト値がマイナスになったプレーヤーはそこでゲームオーバーね」

「手札の補充はないでござるか?」

 ヤマザキの質問に、樺音ハナコ先輩は裏返しにしてあるデッキの山を指さして、

「一枚使うごとに、一枚引くことができるわ。ただし内容を確認しないように、裏返しのままで取ってね」

 そうルールの補足をする。


「どう、面白そうでしょう? カードのイラストはプロの絵師さんに無理を言って――そのせいで、どっかの弱小作家が二月に出版するはずだったラノベが、二、三カ月先延ばしになったらしいけど――描いてもらった自信作よ! ルールブックと抱き合わせで新〇元社あたりで発売できないか、いま折衝中なんだけど……」

 私、安田先生の 『ゲーム〇斬る』とか、友野先生の『バカバカRPG〇語る』とかが好きだから、と、どーでもいい理由を語る樺音ハナコ先輩。こんなアホなゲームを持ち込まれてプレゼンされた出版社も気の毒に……と思いながら、手慣れた仕草でシャッフルされ、配られた手札を眺める。


 こんなもん仮に市販したとしても、勘違いYouTuber(笑)がラインスタンプ出したみたいな結果になりそうだけどな。


「というか、そんな安易に都市伝説を取り扱ってもいいものなのでござろうか?」

「そーねー、Merry-sanに呪われそうねー」

 常識的な懸念を示すヤマザキとドロンパ(だが、残念ながらメリーさんはいま異世界だ)に対して、

「だから面白いんじゃない!」

 と、あくまで欲望に忠実な樺音ハナコ先輩。

 こーいう独りよがりなところはメリーさんとも共通しているけど、この人、基本的に小心者だからな。本気で怒ったメリーさんの逆鱗に触れて、嫌がらせを受けたら深刻なトラウマを負いかねない。


「あー、いちおう本人にその旨を確認してみますので、それまでゲームは待ってもらえますか?」

「「「本人……?」」」

 一言そう断ってからスマホを取り出して、メリーさんにリダイヤルしてみたが、アンテナが立っていない圏外表示になっていた。


「おれ、おかしいな?」

 試行錯誤しながら場所を変えて確認してみる。

 ……気のせいか、樺音ハナコ先輩から距離を置くに従って、たまにアンテナが一本立つか立たないかで表示されるようになった。

 

 これは思い切って離れないと駄目か……ということで、部屋を出てエレベーターを降りて、マンションの外。シンシンと雪が降る路上に出たところで、やっとメリーさんと電話が通じた。


『あたしメリーさん。いま明日の公演に備えてレッスン中なの……』

「公演ってなんだよ!? つーか、暖房の利いた部屋から雪の降る路上に出てきて、寒暖差が激しすぎて軽くマッチ売りの少女のように幻覚が見えそうだから、要件を伝えるぞ」

『あたしメリーさん。マッチが売れないのなら、マッチョを売るくらいの発想の転換が必要だと思うの……』

「マッチョでどうやって冬の寒さを耐えろって言うんだ!!」

『マッチョに温めてもらえば……』

「そんな地獄絵図に甘んじるくらいなら、死んだ方がマシだ!」


 寒さでかじかみながらも、そこは断固として否定しておく。

 つーか、コイツのペースに巻き込まれると、関係ない話に終始して体の芯から凍えそうだ。


「それはそれとして、ちょっと確認したいんだが――」

 俺は早めに話を切り上げるため、樺音ハナコ先輩考案の『チキチキ・メリーさんからの大逃走ゲーム』について、ざっと概要を話して反応を窺ってみた。


 ふんふんと大人しく聞いていたメリーさんだが、

『あたしメリーさん。別にいいんじゃない? メリーさんがブレイクするのに多少なりとも役に立つなら、ゲームでも同人誌でもなんでもいいの……』

「なんでもいいのか……?」

 案外鷹揚というか、節操のない答えが返ってきた。

『そういう草の根での地道な運動が大事なの。実際、メリーさんはいまジリオラと、スズカ(五歳Verバージョン)と一緒に、三人組で《幼女戦隊ベビースキーマ》のアイドル活動をしているんだけど……』

 正月に言っていたアレ、冗談じゃなかったのか……。

『とりあえず、最初は三人くらいから徐々に信者を増やして、メンバーを増やす予定なの。美少女戦士やプリ〇ュアも、最初はふたりか三人がメンバーだったことだし……』

 なので気心の知れたジリオラとスズカを幼女に化けさせて、三人組でアイドル活動を始めたらしい。

『地道に萌え豚――もとい、メリーさんたちのファンも増えて、いまやフォロワーも四ケタに達しているの……』

「凄いけど、それって勇者や冒険者としての活動と全然関係ないような……?」

 率直な疑問を口すると、

『そういう一部のアンチもいるけど、そういう連中には「メリーさん、お兄ちゃんお姉ちゃんたちのために頑張っているんだけど、信じてくれない人たちがいて哀しいの……」と、インタビューで答えておけば、勝手にファンがアンチを潰してくれるから便利なの……』

「ファンネル飛ばしたり、バックレて『また俺なにかやっちゃいましたか?』するんじゃねえよ、この餓鬼ァ!」


 悪辣すぎるメリーさんのやり口に、寒さも忘れて思わずスマホに怒鳴る。


『う~~、というか休みなしでレッスンで歌と踊りを練習して、本番が終わった後でも「幼女! 幼女! ナマ幼女!」って連呼するキモイ連中の握手とかサイン会とか、ここまでする必要あるわけ?』

 と、スマホの向こうからジリオラのぐったりした声が聞こえてきた。


『当然なの! いまどきのアイドルはライブだけじゃなくて、ファンと形だけでも個人的なつながりを持たないと、アイツら金を払う太客にはならないの! だからマメな努力を払って、生理的な気持ち悪さは、ぐっと抑えないといけないの……!!』

 ある意味、見上げたプロ根性を発揮しているメリーさんだが、明かに力の入れどころを間違っているぞ。

『……いや、あの、私までも幼女に化けて舞台に立つのはどうなんでしょう……? 実年齢や精神年齢を考えると、居たたまれないのですが……』

 スズカの普段よりも幼い声がそれに追随する。

『あたしメリーさん。フリフリの衣装を着て、歌って踊るだけでファンが勝手にお金を落としてくれる、それのどこが悪いのか理解できないの。ちやほやされて、ちょっとしたお姫様気分じゃないの……?』

『着たくもないドレスを着せられ、見世物になっている現状は、むしろ無理やりシ〇ッカーに改造されたラ〇ダーの気分なんですけれど……!』

 半泣きで抗議するスズカに合わせて、ジリオラも、

『いいかげんに休みがあってもいいんじゃないの!? 他の冒険者グループは週に三日は休みを取って英気を養っているというのに、アンタときたら土日も正月も連休も全部、「日曜日? なにそれおいしいの?」「正月? なにそれめでたいの?」「連休? なにそれ存在するの?」って惚けまくって、ぶっ通しでアイドル活動させられて、もういい加減にパンク寸前よっ!』

『他所は他所、うちはうちなの……』


 駄々をこねる小学生相手にオカンが言い含めるように、メリーさんが言い放つ。

 だが、この場合は正論を言っているのはジリオラとスズカのほうで、メリーさんはブラック企業の上司のように、ハイハイワロスワロスと訴えを一蹴しているだけなのだ。


『それとも、ふたりともオリーヴやローラ、エマと一緒に、〝帰ってきた餅スライム狩り”に行ってくるの……?』


 そう言われて、「……ぐっ……尿路結石になって死ねばいいのに」と、憎まれ口を叩いて揃って、スズカと一緒に黙り込むジリオラ。


「なんだその〝帰ってきた餅スライム狩り”ってのは?」

『あたしメリーさん。正月に町を襲った餅スライムは、正月が終わると身を隠してじっとしているんだけど、正月が終わると再び動き出して町に襲来するの。その時の餅スライムはカチコチに固まっているんだけど、これが一斉にそのへんにいる連中の頭にダイレクトアタックをかけてきて、粉々になることで来年のために分裂をするの。これをこの辺りでは「鏡開き」と呼んでいるの……』

「あー……関西では15日、関東では20日に行われるアレか。つーか、そんなもの頭にぶつけられて、大丈夫なのか?」

『良くてパーになるか、気絶するか。当たり所が悪いと頭蓋骨ぐしゃぐしゃなので、全員がフルフェイスでバットやトンカチ持って迎撃するのが習わしなの。まあオリーヴは頭蓋骨がダイヤモンドかジュラルミン並みに丈夫だから、なにも付けないで出て行ったけど……』

 知ってるか? ダイヤモンドもジュラルミンも、衝撃には意外と弱いんだぞ。

『ということで、餅スライムとヘッドバッドしたくなければ、まじめにアイドル活動をするの……!』

『くっ……仮にも公爵家の姫たるわたくしが……』


 悔し気に唇を噛むジリオラ。


『滅んだ国の公爵なんて何のステータスもないの! いまのお前は、最初学歴ホイ卒(保育園卒業)以下の園中(幼稚園中退)という底辺の一個人でしかないの。その学歴で働こうと思ったら、血と汗を流すしかないの……! それとも、イニャスみたいに日がな一日モンハンでもやっているつもりなの?』

 待て! 異世界にもモンハンがあるのか? つーか、ゲームをしなくてもリアルにモンスターを狩れると思うんだが、そっちの方か?

 俺の疑問に、

『あたしメリーさん。何のこと? 悶々とした半生の略で「モンハン」というの……』

「紛らわしいわーっ!」

 一方、低学歴扱いされたジリオラも、負けじとメリーさんに反撃するのだった。

『そーいうアンタはその幼稚園を、半日で放りだされたじゃない!!』

 どーでもいいけど、もの凄い地表すれすれの低レベルな罵り合いだな……。


『――ハッ! これだから何も知らない幼女は困るの。メリーさんは地球では、ちゃんと学校を卒業しているの! 恩師である水木先生のお墨付きももらっているし……』

「ゲゲゲ……で、試験もなんにもない学校だろう」

 威張るこっちゃないだろうと、一応スマホの向こうにツッコミを入れる俺。

『そんなことないの! 水木先生は熱血指導で厳しかったの! 何人の同期が夢をあきらめて挫折したことか……』


 へー、意外だな、水木先生っていえば、もっと穏やかなキャラだと思っていたけど、さすがは戦争経験者だけのことはあって、いざとなればビシバシと旧帝国軍式だったのかな?


 メリーさんはスマホの向こう側で、在りし日を思い出して遠い目で語るのだった。

『それはきつい毎日だったわ。日夜プロを目指すべく、マイクを握って熱唱をして、アニソンを網羅して、ある時は場末のバーで、ある時はデパートの一角でミカン箱に乗って歌って全国を行脚したの……』

「お前の言っている『水木先生』って、アニキの方かよ!」

『お陰で、メリーさんも歌って踊れる都市伝説になれたの……』

 どんな都市伝説だ!! つーか――

「なんか変だと思ったんだよ! あの水木先生の薫陶を受けたわりに、お前って、やたらと伝統を無視して常時薬てもキメてるくらいにハイテンションだし。なにがお前をそう駆り立てるのかと思ってたけど、全部アニキの影響だったのか……!!」


 知られざる都市伝説の謎がまたひとつ詳らかになった――が、まったく神秘も謎もなかった。

 つーか、そういうバックボーンがあるなら、アイドル活動というわけのわからん結論に達したのも、ある意味当然という気がしてきた。


『そーいうわけで、アイドルが嫌なら危険と隣り合わせの肉体労働なの……』

『いっそ逃げようかしら……』

 かなり本気の口調で呟くジリオラ。スズカも隣で『う~ん……』と検討をしている。


『契約書にも書いてある通り、逃げた場合には「ブリブリ」なので覚悟しておくの……』

 素早く聞きとがめたメリーさんが、ふたりに念を押す。

「なんだブリブリって? クレ〇んか?」

『江戸時代に吉原から遊女が勝手に逃げた場合の刑罰なの。捕まえた遊女を縛って水の張った桶の上に逆さ吊りにして、グルグル回しながら水に沈めて、限界だと思ったらまた吊るして、その後、数人で棒や竹刀で「ブリブリ!」「ブーりブリ!」といいながら全身を叩いて、また水に沈める……というのを、嫌になるまで繰り返す罰則規定なの。お陰でメリーさんのグループは離職率が0%なの……』

「悪辣過ぎる! お前、確実に法的にアウトな契約を交わしているぞ!」

『ここは異世界なの。メリーさんが法律なの……!』

 犬鳴峠の「この先、日本国憲法適用されません」を実践している、メリーさんが悪びれることなく堂々と言い放った。

『『はあ~……』』

 と、あきらめた様子のジリオラとスズカのため息を聞いて、俺もこれ以上の説得を諦めた――つーか、寒さでかじかんで、スマホのバッテリーが持たなくなってきた。


「あー、じゃあ話を戻すけど、カードゲームでメリーさんを使っても問題ないんだな?」

『あたしメリーさん。市販化するなら、メリーさんにも使用許諾契約と売り上げに応じた報酬は払ってね。ちなみに振り込みはスイスにあるトマト銀行の口座番号――』


 きっちりしているなこの餓鬼と思いながら、「了解。切るぞ~」用件を済ませた俺はスマホを切って、震えながらマンションの出入り口受付に戻った。


 数分後――。

 別世界のように温かな樺音ハナコ先輩の部屋に戻った俺は、開口一番――

「戻りました~。メリーさんの許諾も取りましたので大丈夫です!」

 そう皆に伝える。

「「「どういうこと!?!」」」

 愕然とする皆にいちいち説明するのも面倒なので、

「そーいうこともあるんですよ。気にしないでください」

 適当に誤魔化しながら、腑に落ちない顔をしている面々を無視して、改めて配られたカードを確認するのだった。


 そうして一時間後――。

 ゲームマスターをしている樺音ハナコ先輩の説明のもと、手探りでゲームを始めた俺たちだったが、

「『あたしメリーさん。会社で損害賠償事案を起こしちゃって相手が示談にしてくれるって言ってるけど、示談金が五百万必要なの』と言われ、振り込んだのでヘイト値がマイナス15」

「なんの! カード『自己破産発効』!」

 俺が出した手札を一瞥して、樺音ハナコ先輩が鼻で笑う。

「残念。損害賠償は自己破産効かないのよ」

 続いて、メリーさんに追いつかれそうになったヤマザキが最凶のカードを切った。

「迷宮召喚! 『梅田駅ダンジョンへメリーさんを誘い込む』でござる」

「……いや、よくわからんのだが、新宿駅地下ダンジョンみたいなものか?」

 俺の疑問に、ヤマザキは、

「甘いでござるな。梅田駅の怖いところは、必死に梅田ダンジョンを出たかと思うと、再び梅田駅、梅田駅、梅田駅とエンドレスで続くところにあるのでござる。土地勘のない人間がここに足を踏み入れたら最後……」

「あー、あたし大阪に行くときはハイヤーで移動しているから、メリーさんもすぐにタクシーを使った……ということで、ヤマザキは追い付かれました。ゲームオーバー」

「ちょ、ちょっと待つでござる!」

 ヤマザキの必死の抗議も虚しく、樺音ハナコ先輩は素早くヤマザキの手札を回収した。

 と、真剣な表情でカードを眺めていたドロンパは、ここが勝負とばかり、

「むう、だんだんとメリーさんが追い付いてきたね。だったらここで、天敵『ジャニーさん』でStopさせるよ!」

「くっ! まさかここで『ジャニーさん』が出てくるとは。グループ解散の危機ね」

 これにはさすがの樺音ハナコ先輩も手出しができないようだ。


「いやいや! 別のメリーさんの伝説が混在してますよ!!」

 そう俺が指摘しても、女子ふたりは真剣な表情で、「そーいえば、あのアイドルグループどーなるのかしらねー」と、明後日の話題に花を咲かせていた。


 そうして30分後――。


「ふふん。全員がゲームオーバーね。でも、なかなか面白かったでしょう?」

(((いや、全然)))

 自画自賛して上機嫌の樺音ハナコ先輩を前に、テーブルのお菓子やジュースを飲みながら、俺たちは一様に、どっと疲れた肩を下げていた。


「これならブレイク間違いなしね。そうすれば、新入部員も一気に――」

 取らぬ狸の皮算用をしている樺音ハナコ先輩だが、カードゲーム初心者の俺たちは、全員が『超常現象研究会』の廃部と、あとTRPGというのはプレーヤーにとって、理不尽なゲームキーパーが一番の敵であるという真理を確信するのだった。

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