第10話 神戦試合トーナメント前夜
「どうしましたか!?」
受付員が慌てて走って目の前を通り過ぎていく。その後を早足で追いかける。
「この女が、ズルをしたんだ!」
「私は何もズル何てしていないわ!」
男の罵声に震えながら抵抗する女の声。覗いてみるとその女の声の正体はメルティアだった。
「神戦は、神の為の戦いです。ズルは神が許していないはずです。何も起きていないという事はズルをしていないという事です」
神の為の戦いか・・・後ろに(神の為の娯楽、暇つぶし)とか付いてそう。
「こんなガキにファイアが使えるはずないんだ!」
「つ、使えます!」
相手は15歳か・・・?ここに居るって事は子供のはずだ。それにしても随分老けて見える。20歳後半ぐらいの見た目じゃないか?
「なら使ってみろよ!」
「馬鹿を言わないで下さい。こんな人が大勢いるなかでファイア何て使ったら最悪死人がでます!」
受付員が止めに入る。
「それに、購入したという事だって十分あり得ます。小さい子が神戦でファイアを使えても何の不思議はありません!」
「ぐっ。それにしたってそんな貧乏な服を着てるのにファイアを買える金があるとは思えない!きっと強盗でもしたに違いない!」
「し、してないもん・・・」
メルティアが男の謂れのない事ばかり言われて、目に涙を溜めている。
(流石に見ていられなくなってきたな。聞いていても気分悪いし)
「どうしたの?」
「!?ビックリした。エイフィ、向こうはいいのか?」
急に横に現れたエイフィにビクっとしてしまう。
「うん。あっちに言ってても暇だから、子供の御守役としてヴァーダからも許可貰って来たから問題ない」
「そっか」
「それで・・・あれは?」
エイフィは問題ないアピールをしながら状況を訪ねて来た。
「んー。どうやら、メルティアが謂れのない事を言われているらしい」
「どうする?」
「ですから!神戦にズルなどは出来ませんし。魔法スキルを購入して使用するのもルール違反ではありません!」
「だから、その魔法スキルをズルして手に入れたんじゃないのかって言ってるんだ!」
「カードはお互いの了承がなければ手に入れる事が出来ませんので不可能です!」
「誰か・・・こいつの親がファイアを使える奴を脅したら問題ないだろ!」
どうしようかと悩んでいると、まだギャーギャー言ってどうしても負けを認めたくない様だ。
(迷惑な奴だなぁ)
「メルティア!」
「アマロ!エイフィさん!」
助けが来たと思ってメルティアが涙に目を溜めながら抱き着いて来る。・・・エイフィに。
「何だ?またガキが増えたのか。ガキは邪魔だ!引っ込んでろ!」
近くに行くと男は茶髪で頭をツンツンしており、柄の悪い言葉遣いはしているが、服装からして貴族かと思う立派な服を着ていた。貴族の子供なら誰か付人がいても可笑しくないと思うんだけど。
「そうはいきません。私は彼女の連れな者でして。会話がチラチラと聞こえた限りでは、彼女がファイアを使えるのがおかしいという感じだったのですが・・・」
「そうだ!こんなガキがファイアを使えるのはおかしいだろ!?」
「いえ?別に?幼い頃からちゃんと修行していれば使えると思いますが?」
「そんなわけがあるか!?
遂に周囲にも同意をしだしたよ。
「確かに、普通は使えないとは思うけど・・・」
「俺使えるようになったの10歳ぐらいからだし・・・」
「でも、購入できるからあり得ない話でも全然ないと思う・・・」
微妙な反応だった。
「えーっと・・・つまり、彼女がファイアを違法な方法で手に入れたと仰りたいのでしょうか?」
「そうだ!そうでもなければ俺が負けるはずがない!」
「なら、彼女がファイアを使えれば負けを認めると言う事で良いでしょうか?」
「ふん、出来るもんならな。だが、ここで使うのは危険だから使っては駄目だそうだぞ?どうやって証明するんだ?」
(外に出て使えば良いんだけど、この会場から出ると棄権とみなされるから無理だ。こいつはそれを分かった上で言っている。子供相手に何をしているんだこいつは・・・。まぁ関係ないか・・・)
「メルティア、上に向かってファイアを撃ってくれ」
「え、でも・・・」
ここはまだ屋根があるスペース、天井の高さも3メートルはない。
「だ、駄目です!もし、壊したら弁償して貰いますよ!?かなり高額になりますよ!?」
受付のお姉さんが止めに入るがそれを制する。
「大丈夫ですよ。壊さないようにしますから。もし壊したら弁償もしますよ」
「・・・知りませんよ?私は!」
受付員が諦めた様だ。早くこの揉め事が終わってほしいのだろう。受付のお姉さんからすればどっちが勝ってもどうでもいいからね。
「それじゃぁ、メルティア、ファイアを撃ってくれ」
「で、でも・・・!」
戸惑うメルティア。
「大丈夫大丈夫」
ポンと頭に手を置くと、ボンッとメルティアの顔が真っ赤になると同時にペシっと払いのけられてしまう。
「分かったわよ!大怪我しても知らないんだから!」
「いつでもどうぞ。上に向かって打つんだよ」
ファイアが低級魔法と言っても1つ手前のコスト3だ。メルティアが使おうとも直撃すれば只ではすまないだろう。
周囲の人達が一斉に後ずさる。
「スーハー・・・炎よ・・・」
深呼吸して目を閉じてイメージする。まだ、簡単に出せる程慣れてはいないのだ。
「炎よ!燃えちゃえ!ファイア!」
「燃えたくない!」
何マジで燃やそうとしちゃってるのよこの子は。
「シールド!」
飛び行くファイアの先にシールドを魔法で出して防ぐ。ちょっと火の粉が飛び散ったが、問題ない程度だと思う。
「これで、彼女がファイアが使えるという事が実証されました。負けを認めて頂けますか?」
男が唖然として返事がない。
「も、もしもーし・・・」
「はっ!?い、いや・・・しかし・・・そ、そうだ!スキルカードを使ったに違いない!偶々上手く飛んで行ったんだ!」
「でも、貴方はさっき、ファイアを使えれば認めてくれると仰いましたよね?周りの者も聞いているはずです。ですよね?」
今度はこっちが周囲に同意を求める。
「はい、確かに仰いました」
「俺も聞いた」
「私も」
聞いたという声が次々に上がる。
「・・・う、うるさい!お前等俺が誰だか知らないのか!?」
「知りませんが・・・」
「いえ・・・」
「何処かで見たような?」
知っていると言う声が1つも上がらなかった。
「お、俺は、キュナイン・ジーンハイム!この国の第9王子だぞ!」
「「「「「お、王子!?」」」」」
流石にその言葉に全員が驚く。まさかこの様な場所に王子が護衛もなくいるはずがない。いや、何処かに紛れているのかもしれないが・・・。保護者や見学者達の出入りは自由だし。基本、邪魔にならないように壁側だが。
(流石にまずいんじゃ・・・無理やり不敬罪とかになったりしないよな?こっちには何の落ち度もないはずだし・・・)
「だから、俺に勝ちを譲れ!」
(権力を振りかざしてきやがった・・・)
流石に王子には逆らえないのか、皆戸惑っている。俺も。
「・・・し、しかし、神戦試合で不正を行うと神がお怒りになると言われています。それに聞いた話では、過去に権力で勝ちを手に入れた方がその場で死んだとされています。もし、それが事実なら死んでしまいますよ」
神は正々堂々とTCG勝負をして欲しいみたいだな。
「ふん、そんなのは噂だろ!良いから俺に勝ちを譲れ!」
メルティアに向かって手を差し出すキュナイン王子。しかし、その手を脇から出て来た男に掴まれてしまう。
「ち、父上!?」
ざわ!ザワ!
「みなの者、愚息が迷惑を掛けた。私は、ゼクリスト・ジーンハイム。この国の王である!」
掴まれているキュナイン王子と護衛の者と思われる王の傍らにいる3人以外が一斉に膝を着いて頭を下げる。エイフィだけがキョトンとしていたが。
「エ、エイフィ。俺と同じように」
小声でズボン軽く引っ張って呼び掛けると、首を傾げながら膝を着いた。
「父上!?どうして!?」
非常に焦っている様子のキュナイン王子。
「キュナイン。お前には心底呆れたよ。私はお前にこの神戦試合で自分の実力を試して来いと言ったのは覚えているな?」
「は、はい・・・」
「神戦は神がしっかりと見ておるのだ。正直、それを知ったのは先程だがな」
神が見ていると言う言葉に周囲がざわつく。
「お前は、1戦目も負けそうになると自分が王子であるからと権力を振りかざして相手にワザと負けさせたそうだな」
「そ・・・そんな事は!?」
「そして、今回小さな子だからと油断して負けた。そうだな?」
「ち、違います!」
父である王の言葉に必死に否定するキュナイン王子。
「嘘を付くな!私とて神の存在など正直信じてはいなかったが、私をこの場に来させたのはその神の転移によるものだ。しかも神戦を道具もなしに見るなど神にしかできない所業だ。そんな事をできるのは神以外におるまい」
「う・・・」
「更に、神はこう仰った。心を入れ替えるなら見逃すと、さもなければ死んだ方が良いと思える程の罰を与えると仰ったのだ。キュナイン・・・これはお前が今まで王子という地位に甘んじていた結果だ。私は何度も言ったはずだ。王族として恥じないように鍛錬せよ。それなのにお前は今まで何かしてきたか?今回の神戦試合はお前を見極める為の、お前の愚かさを分からせるために参加させたのだぞ。しかも、権力を使うなと言っておいたのにも関わらず使うとは・・・私は、王として、父として民の者達に顔向けができん!」
「ち・・・ぅ・・・」
王の悲しい顔に何も言葉が出来ず、下を向くキュナイン王子。
「・・・いつまで、そうしているつもりだ?愚息であろうとお前は私の息子だ。出来れば幸せに生きて欲しい。だがな、私達家族だけでなく関係のない民まで不幸にすると言うのならば容赦はできん。今、お前のする事は1つだろう?それすらも分からないとは言わぬな?」
「・・・は・・・はい・・・・・・皆の者・・・お騒がせして申し訳なかった」
「何だ!その謝り方は!」
頭を下げずに言うキュナインにゼクリスト王がバシッと頭を叩く。
「み、皆様!本当に申し訳ございませんでした!」
何だかやけくそ気味だが90度に頭を下げる。体が少し震えている。かなり屈辱的なのだろう。
―― いつも
何処から聞こえたかも分からないような。頭に直接響く様にその場にいた者全員がその声を聴いた。
「神よ。感謝いたします」
「あ、ありがとうございます!」
流石の超常現象ともいえる事が起こった為、キュナイン王子も咄嗟の感謝の言葉を言う。内心では心底、安堵している事だろう。あのまま、父上がこず、強行していたともなれば最悪死んでいたのだから。
王と王子周辺に地面から光が王と王子と護衛達を飲み込み、消えて行った。転移して送られたのでしょう。
(まさか、神が干渉してくるとはなぁ。世界は神の娯楽の為の1つらしいし、案外何処かに紛れ込んでいたりしてな)
自分の冗談みたいな思考に少し笑みが零れる。
暫く、辺りが静寂に包まれる。
「え、えー・・・予想外の事が置きましたが、無事にだ2試合が終了いたしました。3試合目の用意を致しますので、暫くお待ちください!」
受付員が声を上げる事により、何とか元の空気には戻ったが、話は王や神の事でもちきりだった。
その後は、何事もなくスムーズに全試合が行われた。俺の対戦相手は案の定殆どが脳筋で強くてもリザードマンクラスだ。スキルでそれを倒して、大半の者はリザードマンを守っておけば、〔飛行〕に対応出来ずに簡単に倒せた。
トーナメントに勝ち残ったのは、俺とナクルだけだった。メルティアは3回戦に13歳の者に敗れたらしい、マライとタイラは4戦目に15歳の者と当たってしまい、そこで敗れたとの事。
ナクルは最後まで同じ年齢ぐらいの者としか当たらず、相手運が良かったと言っていた。同じ年齢ではナクルの方が殆ど使える魔法が1つ以上多かったらしく、その差が大きかったみたいだ。
★★★★★★★★★★★★★★
「おう!お前等どうだった?」
前方から父さんがこちらを見つけ、声を掛けて来た。
ゴタゴタがあったせいか、大人の部は参加者が倍近くあり、1試合多いのだが同じぐらいの時間帯に終わった為、大人の部の方へ見学に行こうと思ったら丁度終わって遭遇したのだ。
「駄目でした・・・」
「私も・・・」
「僕も・・・」
タイラ、メルティア、マライがしょんぼりと報告する。
「私は勝ったよ!」
元気よくピースサインをするナクル。
「おお!おめでとうナクル~」
わしゃわしゃと父さんとメイガンに髪をかき回されている。
「もう!乙女の髪に何てことするんですか!プンプン!」
プンスカと怒っているが可愛らしい怒り方だ。
「アマロ、お前は当然勝ったよな?」
「まぁ、勝ったけど・・・」
勝負としては初心者を相手にしているようなものだった為にあまり嬉しくない。
「そういう、父さん達はどうだったの?」
「フフン!当然勝ったさ!」
親指で自分を指して威張る父さん。
「流石、『リザードマン』使いヴァーダだね」
含みのある言い方をしてみた。
「な!?どこでそれを!?」
「何だ?アマロに言ってなかったのか?」
メイガンが父さんの肩に腕を回す。
「こいつはな、この都市での神戦試合トーナメントの常連何だよ」
メイガンは父さんを指差して笑う。
「うっそだー」
あの強さで常連とかびっくりだよ。
「う、嘘じゃないぞ!」
父さんからすれば、俺の方が実力があるのを知っていて、今までの戦法が駄目だという事をすでに分かっているが為に弁明する。
「まぁいいや、他の皆は?」
「おい!」
父さんの実力からしてそこまで大人も強くないと踏んでいたが、父さんが村で一番強いのは小さな村だからと思っていたのが、そうではなくて正直がっかりだった。裏側表示で出す強みを分かってくれる人は少しぐらいきっといるだろう。そう願う事にした。
トーナメントに残ったのは、父さんとロマネスだけだったようだ。だけと言っても同じ村から二人も出れば凄い事である。
メイガンは、コスト8の強力なユニットを持つも者にやられたらしい。
他の者達は3試合目までは行ったようだが、そこで負けた様だ。
「ところで父さん」
「何だ?息子よ」
「・・・カードが買えるの?」
息子よと言う言葉はスルーしておいた。
「・・・買えるぞ。見たいのか?」
「見たい!」
「そうだな、トーナメントは明日から出し、夕飯まで少し時間があるか・・・皆はどうする?」
スルーされたのには少し悲しかったようだ。そんな悲しさを胸にしまい、皆の意見を聞いた。
「俺は構わないぞ」
メイガンの言葉に全員が同意した。
「へー」
カードを販売している店に行くと、地球のカードショップ専門店みたいな感じだった。ショーケースなどもある。
見たことのないユニットや魔法が置かれていた。
「父さん、特技スキルカードはないの?」
「ん?特技スキルは自身の技量だからな。カード化する事が出来ないんだ。神戦でのみ、その技量をカードとして使う事が出来るようになっているんだ。実戦では本人の技量だからカード化する意味もないしな」
「あ、そっか」
何らかの技術士が自身で得た、精密な作業をカード化する事で、出来る用にはならない。出来たとしても一瞬だけだ。それに渡すとなれば自身の才能、努力の結果を明け渡す事になる。努力した者が報われない世界にならないように特技スキルだけはカード化出来ないようになっているのだろう。
魔法は、使い捨てのアイテムみたいなものだから可能という事だろうか。そう俺は解釈した。
「あ、『リザードマン』だ」
父さんの相棒らしい『リザードマン』がショーケースに飾られていた。お値段、何と金貨3枚。残り1枚!とピックアップされていた。
遂に出て来たお金設定。
小銅貨 = 10円
銅貨 = 100円
大銅貨 = 500円
小銀貨 = 1000円
銀貨 = 10000円
大銀貨 = 50000円
小金貨 = 10万円
金貨 = 100万円
大金貨 = 1千万円
白金貨 = 1億円
という感じかな。
つまり、あの『リザードマン』の性能で300万円という事だ。あり得ないと驚いていると父さんが説明してくれた。
「・・・アマロ。普通はな、リザードマンを倒すのだって、コスト5以上冒険者パーティで倒すんだぞ。それにユニットは神戦だけでなく実戦での戦力になるから魔法に比べて余計に高いんだ」
「・・・もしかしなくても俺って異常?」
「ああ、ぶっちゃけ異常だ」
即答されてしまった。この世界では冒険者のランクもコストで表される。ユニットや魔法とだいたい同じで、
コスト1~2 駆け出し冒険者
コスト3 1人前の冒険者
コスト4~6 中級冒険者
コスト7~8 上級冒険者
コスト9 超級冒険者
コスト10 伝説の冒険者
といった具合で、基本的にコスト5の冒険者なら一人でコスト5の魔物を倒せるというのが基準だ。
そして、倒したユニットカードを売買して生計を立てている。
「・・・父さん」
「何だ?」
「『リザードマン』売っても良い?」
「な!?」
買取値、金貨1枚小金貨3枚。日本円にして130万だ。
「売ってしまったらデッキが弱くなるだろ!?」
「・・・え?いや、余ってるんだけど・・・」
「ぬ・・・い、いや駄目だ。お前は『リザードマン』使いである俺の息子だから『リザードマン』を使っていても納得されるが、その『リザードマン』使いである『リザードマン』を撃ってしまえば悪目立ちするぞ」
(悪目立ちはやだなぁ)
「まだ7歳なんだ。7歳らしくしておけ」
「チェー」
「何をコソコソ話をしているの?」
直ぐ近くにいたメルティアに話しかけられる。
「『リザードマン』が売っているなぁという話をしていただけだよ」
「・・・そう」
微妙に疑いの目を向けているメルティア。
「しかし、メルティア。いつの間にアマロに懐いたんだ?」
「な!?懐いてないわよ!アマロなんか!」
顔を真っ赤にして否定するメルティアだが、王子との一件以来、気が付いたら傍に引っ付く様になっていたのだ。今では父であるメイガンよりも俺の傍にいる。
「どうした?メルティア。アマロに惚れたのか?ん?」
「ち、違うもん!誰がアマロ何かを好きになったりするもんですか!」
後ろから話を聞いていたのか、メイガンがメルティアを揶揄う。
「ははは。アマロなら俺は大歓迎だぞー。将来は約束された様なものだしな!」
ポカポカとメルティアに叩かれながらもそんな事を言う。
「いや・・・ははは」
苦笑いしかできないよ!そもそも、まだまともに接しだしたのは旅をしだしてからなんだから、好きも糞もないんだが。
「何だ?アマロはメルティアが好きじゃないのか」
「え・・・?」
メルティアが泣きそうな顔でこっちを見る。
「ははは。アマロ。これは結構本気かも知れないぞ」
(笑い事じゃねぇー。いや・・・メルティアは将来的に美少女になる可能性が十分にある程今でも可愛い。ハーレムチャンス到来か・・・?)
「ん?何だ、アマロ?案外乗り気か?」
考えていると弄り対象が俺になってしまった。
(やめてメルティア。そんな嬉しそうな顔で見ないで)
子供の純粋な心が俺にダメージを与える。
「お、俺違う所見てくる」
「「逃げたな」」
(逃げたよ!)
心の中で後ろから聞こえた声にツッコミを入れる。
『ワイバーンドラゴン』
ワイバーンがドラゴンタイプに進化した個体だと推測されている。
コスト9
維持コスト 4
攻撃力 9
体力 10
タイプ:ドラゴン
効果:〔飛行〕
白金貨 1枚
この店最大のカードらしい。
確かにこのスペックだと、スキルカードで倒すのにもそれなりに使わされるけど、1億って・・・。でも、ドラゴンの背中に乗って旅が出来ると思えば良いのか?どちらにせよ今は無理だな。
クィ。
「ん?」
袖を引っ張られたのでその方向を見るとムスっとした顔でメルティアが袖を握ったまま少し顔を赤くして見ていた。
「な、何?」
「・・・何でもない」
プィッとするが、袖を離さないメルティア。
(・・・可愛い)
普通にそう思ってしまった。あ、危ない、俺はロリコンじゃないぞ!自分に言い聞かせるように頭を振るとメルティアに何をしているの?と言わんばかりにキョトンと首を傾げられた。
「み、皆の所に戻ろっか・・・」
「?うん」
皆の所に戻ったものの、宿についてもメルティアと俺が弄られ続けるのであった。
そうして、神戦試合1日目が終わったのであった。
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