第2話 なぜ、いつから

男の不倫は遊び


女の不倫は本気


よく耳にするが自分の人生には関係のない言葉だと思っていた、俺は生まれてこのかた浮気や不倫を一度もしたことがない


昔付き合っていた彼女の友達が、俺が寝てる部屋に来て布団に入ってきたときも指一本触れなかった


抱いてみたいと思わなかったわけじゃない、消えない罪悪感を背負いたくなかったのだ


日曜日に目が覚めた時、なんの後ろめたさも無くカーテンを開けられる、彼女や妻に隠し事はなにもない


そのつまらない平凡を死ぬまでキープすることが俺の人生で一番幸せなもののような気がしていたからだ


レイだって俺と付き合う以前は派手に遊んでた時期もあるらしいが、今は落ち着いて


結婚式で噛まずに誓いあったあの愛の約束を、仲良し老夫婦になるまで守っていくのだと思い込んでいた


それがなんだ、かずにゃんのちん○が半立ちで最後までできなかっただと?


話がだいぶ変わってきたじゃねーか


なぜ、いつからこうなった?


女の不倫は本気、本当か?レイの気持ちはすでに100%かずにゃんに向いているっていうのか?


思い返してみると、レイがゲームを始め「ビスちゃんスカイプ用にヘッドホン買っていい!?」と言われ、それを許可した頃から俺は少しずつレイを信用していなかった


今のような状況になることの、微かな予感があったからなのかもしれない


そしてゲーム仲間と夕方から深夜までワイワイと喋りだすようになり、ときには男と2人でずっと喋ってることもあった


これが普通な事なのか、異常な事態なのか判断できず、ただ希薄になっていく夫婦生活に説明のつかない苛立ちが芽生え、喧嘩も増えた


携帯を取り上げると烈火の如くキレる


ほっといたら夕方から深夜までゲーム


そんな生活の中で、相手を思いやる気持ち、感謝の気持ち、そして嫁が好きだという気持ちも薄れてしまっていたのかもしれない


「相手に感謝を伝えなくなったら終わりの始まりだね」ニコ生で俺がフォローしているシンママが、いつか言っていたな



キッチンを見ると2人とも洗わないで放置された食器が山積みになっている


俺はスポンジを取り、洗剤をつけ、食器を洗いはじめた


全ての食器を洗い、スポンジについた洗剤を流す


いつもレイに言われていた「洗いものしてよ」って


あとで、明日やるから、と流して結局最後はレイが洗うことが多かった、ありがとうも言ってない


不倫されて、やっとまともに洗い物をし、申し訳なかったという気持ちがようやく芽生える


遅すぎるかもしれないが、嫁の心をかずにゃんから取り戻すことに挑戦してみよう








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