第2話「勘違いってあるよね?」
「拙者、下忍と申す」
お姫さんっぽい人が鏡を見ながら「相良さん、あなたにお願いするのは我が国の敵である魔王の首を取ってくることです」
名前を見た?と言う事は鑑定以上全知以下・・・看破辺りの道具か・・・これはあかん方の召喚のされ方だな・・・
「名乗ったと違う名前で呼ぶのは感心できませんね」
「あら、転移早々頭が回りますわね、でもスキルやステータスを見る限り今回はハズレね、処分なさい」
激しい音を立て扉が開き、鎧を着た男たちの槍衾が突き付けられる。
いやスキルやステータスは誤魔化せたままだな、じゃなきゃ
そうすると看破以下偽装突破クラスか・・・しかも程度は高くはない。
男がくるりと一周する、兵士が槍を突き出そうとしたが次の瞬間、全員縛り上げられていた、いわゆる亀甲縛りで・・・
「まぁ先に手を出そうとしたのはそっちって事で・・・あとこれは慰謝料って事で貰っとく」
とその男の手には大きな鏡が握られていた、さて・・・
城を出て暗がりの中から道行く人の来ている者を確認し違和感のない服装を選び着替える。
路地から出てきた男はこの地方によくある茶髪で鳶色の目をした褐色の肌をしていた。
このまえ貰った変身スキルで変装が楽になったな。
そうこの男
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
酒場で安い酒を飲み貨幣価格を調べてみると今回は少し、いやかなり多めに盗ってきてしまったようだ。酒場で旅の商人を名乗り様々な情報を集める、商人、傭兵、様々な職種から情報を集め宿に泊まっていた。
「槍向けられたとは言え早まったかな・・・」
この国、マジで魔王に攻められていた、しかも事前情報も無かったため
魔王に会いに行ってみるか、さっきの城の王様かな?に話を聞きに行くか迷うところだな・・・
近場から済ますか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「王様で合ってるかな?」
「ふん、娘に恥をかかせ、余の首でも取りに来たか?」
「すまんが娘さんの方は槍向けられたんで正当防衛にして欲しい」
「はいそうですかと行かんのが王族と言う物だ、精一杯抵抗させてもらうが敵わんだろう、だが一つだけ約束してほしい、余の首一つで魔王の首を取ってくれ」
「根本的な解決になっていないと思うが・・・魔王家皆殺し?」
「そこまでは及ばん、奴の息子は一人しかも穏健派だ、魔王が変われば侵攻も止まる」
鎧が持ってる剣を引き抜き構える王
「そして余の命で民の犠牲が減るなら安い物だ」
おおぅ・・・結構熱い王様だな
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の瞬間首が落ちたと感じ、そこで王の意識は途切れた・・・
「陛下!陛下!誰か医師を!」
部屋付きのメイドに揺すられ目を覚ますと、落ちたと思った首が繋がっていることに安堵し、魔道具に写った情報を鵜呑みにした愚かな娘がどうやったら今回の事を糧にできるか思案し、そしてこれから起きて世の中がどう変わるか、いやどう変えるか思案した。
「頼んだぞ、勇者よ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔王城の一室に黒い影が現れる、瞬間に現れた影は真っ二つとなった。
「フハハハハハハ、我の寝込みを襲うなど100年早いわ!どれどれ、どこの暗殺者かな」
遺体を探ろうとした瞬間貫かれていた者は書き消えた。
「なに!げんじゅt「それは分身だ」な!」
次の瞬間、魔王の首は胴から離れていた・・・
「影武者だったとか息子の部屋だったとかは無いよな?」
独り言はそのまま闇に消えていった。
翌朝、侵攻していた魔王軍が撤退をはじめ、その翌日には新しい魔王が即位し停戦を宣言した。
昨夜と同じ部屋に同じような黒装束の影が現れる。
「新しく魔王となった王子様かな?」
「不意打ち騙し討ちが得意なオヤジがあっさりやられたんだ、抵抗はせんよ」
「いや合ってたらいいんだ、一個だけ聞きたいことが有ってね」
「答えられる事なら答えよう」
「前魔王の首要る?」
「いらん、なんなら胴体もくれてやるが?」
「いや葬式出すのに必要かなーと」
「棺なんか空箱で十分だ、どうせ中を見ようとする者も居ない」
「ぉぉぅ・・・もしかして嫌われた」
「じゃなかったらこうもあっさり魔王は継げんよ」
「分かった、こっちも首だけで十分だと思うから体は要らね」
「じつは命拾いしたんだよ、あんたがやってなかったら明後日の夜に10人ほどで殺る計画が上がってたからな」
「それは何より、ついでにアフターサービスで邪魔な首も引き取っていこうか」
「過激派と呼ばれ今回の侵攻の指揮執ってたフェニックスなんだが・・・やれるか?」
「即、生き返るん?」
「だから手が付けられん」
「ん~殺し切るのは
「面倒で済むのか・・・まぁ10年あればなんとかなるかな?すまんが頼む、で報酬だが・・・」
既に黒装束の姿はなく、軍が戻ってくる方向には巨大な魔法陣が浮いていた。
「気の早い奴だ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝には魔王の首は王城の門前に晒され、3週間にも及ぶ祝いの祭りが開かれた、人々は喜びに包まれ、これからの平和に乾杯の音頭があちこちで聞かれた。
「まぁこういう祝いも悪くないな、ぉ?このワイン美味いな、ばあちゃんちの土産に買っとくか」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
”永遠とは言えない、高々数十年の平和であるかもしれない、しかしこれが恒久に続くことを余は望む”
賢王と呼ばれ千年連合国の初代盟主となる男の宣言で始まった平和会議、その席のひとつには魔王国を魔法国と名を変え魔法と芸術の都を築く魔法王と呼ばれる若き魔王の姿があった。
「うんうんいい感じだな、今回の召喚は長かったが良い骨休めになった」
そういった男の足元には召喚陣、その上で一瞬姿がぶれたと思うと黒装束に衣装が変わっていた。
「こういう召喚は正当勇者風の佐賀根くんを召喚すればいのに・・・なんで俺だったんだか・・・」
召喚陣の上で膝をついた黒装束の男はこう言う
「拙者下忍と申す」
とぅーびぃーこんてにゅー
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