2 土方歳三の生い立ち


―――


 新撰組副長として局長の近藤を最後まで信じ、彼と共に新撰組を勇敢に引っ張っていった土方歳三ひじかたとしぞうは、天保六年五月五日、日野の石田という大きな百姓の家に生まれ、十人兄弟の末っ子だった。(注 諸説あり)


 土方家は、多摩に広がる豪農の家系で「お大尽だいじん」と呼ばれていた。

 出生前に父を亡くしており、更には六歳の時に母も亡くし、次兄の喜六夫妻に育てられる。


 まだ若い時から奉公に出るなど早い内に世間というものを知り、色々な経験をする中で忍耐力や精神力を養ったのではないかと思われる。


 しかしこの頃は食客の身の上であり、家伝の「石田散薬」という骨折打身の妙薬を持っては近在の農家を行商をして歩いていた。


 その時にはいつも薬箱へ竹刀を結びつけて道場という道場には必ず立ち寄って、指南を乞うたものであった。



 歳三の姉、のぶは日野宿名主の佐藤彦五郎に嫁いでおり、歳三も彦五郎宅にはよく出入りしていたと言われている。


 そこで歳三は出稽古に来ていた近藤周助と出会い、必然的に勇とも顔見知りになる。



 そして安政六年三月二十九日、天然理心流である近藤の道場に正式に入ったとされている。



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