第一章 近藤勇と土方歳三の生い立ち

1 近藤勇の生い立ち


―――


 後の新撰組局長、近藤勇こんどういさみは天保五年十月九日、武州調布町上石原の百姓の家に生まれた。


 父は宮川久次郎といい、勇はその三男である。幼名は勝五郎。宮川夫妻には勝五郎の他に長女・リエ(勇の生まれる二年前に死去)、長男・音五郎、次男・粂蔵(粂次郎)がいた。


 出身地、武蔵国多摩郡上石原村は現在の東京都調布市野水(北西部に位置)に相当する。


 因みに戦時中の調布飛行場延長工事により生家は取り壊されている。



 久次郎は自宅で道場を作り、月三回出張稽古に来る近藤周助という人物を迎えて剣を教えてもらっていた。


 その内に周助が勇の非凡な太刀筋に目をつけ、懇望して江戸の自分の道場に迎えて養子とした。勇が十六の時だった。この時までは宮川勝太と名乗っていた。


 周助の実家である島崎家へ養子に入り、島崎勝太と名乗る。


 そして正式に近藤家と養子縁組し、島崎勇と名乗った後に、近藤勇と名を改めた。






土方歳三ひじかたとしぞうとの出会いについて


 同じ多摩の日野宿の名主で、佐藤彦五郎という人物がいた。


 この人物も同じく自宅に道場を持って周助の稽古を受けていたが自然勇とも親しくなり、勇はここでこの家に寄宿している土方歳三を知るようになった。

 勇が十六、七の頃で歳三は一つ年下である。



 後の新撰組局長、近藤勇と副長、土方歳三の歴史はこうして始まった。


 この出会いはまさに運命的とも言え、互いに信頼し合いながらこの先の道を歩んでいくきっかけとも思える。




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