第三十二話 マジカルラブリンメイド剣士爆誕
どうしてこうなったのだろうか。むやみに建物に入ったのがいけなかったのだろうか。リサの話を聞かず、寝床をすぐに襲ったほうが良かったのだろうか。命を粗末にする人たちを連れて来なかったほうが良かったのだろうか。
でも結局のところは、自分が弱かったのが悪い。実際今もなだれ込んでくる魔族に対し、兵士たちの被害を防ぐのを止められないでいる。
ようやく魔族を全て倒した時には、九十人以上いた兵士は一桁まで減ってしまっていた。みんな太一をジュスティーヌを、ローブの男を守るために盾となってくれたのだ。
息を引き取った者、辛うじて息の残っている者。もうすでに
「……私がユウナを呼びに行こうか?」
「でも外はもう魔族がうろついているぞ。今行ってもユウナの場所を知らせるだけになるかもしれない。気づかれずにここに来ることができればいいんだけど」
「……ねえ、リサ。ユーフェイを助けられる私たちの仲間が岩山のほうにいるんだけど、その仲間を気づかれずにここへ呼ぶ方法って何かない? 秘密の通路的な?」
相談を行うジュスティーヌとローブの男の傍で、リサがユーフェイの亡骸を前に肩を落とし崩れてしまっている。
リサの弱弱しい体は何とかジュスティーヌの言葉を聞き取ったようで、すがるように彼女に目を向ける。
「ユーフェイを助けられるってどういうこと?」
「命を蘇らせることのできる治癒魔法を持った仲間が外で待ってるんだよ。彼女がいれば、ユーフェイは生き返るんだ」
ジュスティーヌはリサに良かれと思って話したのだろうが、それは逆効果であった。
命を蘇らせると言って、自分の友達ミカエルを不気味なものにした魔法を今度は自分の思い人に使おうとしている。魔族のそれとは違うものかもしれないが、リサにとっては良くない印象しか残っていない。ユーフェイが化物にされてしまう。
「絶対に嫌! ユーフェイには手出しさせないんだから!」
「ちょっと、何か勘違いしているよ。私はただユーフェイを助けようと思って」
「そんなの信じられない! 信じられるわけないじゃない……!」
彼女の反応は当然だ。死んだ人間が再び返ってくるなんて、そんなうまい話があるわけがない。
困ったジュスティーヌにローブの男がある提案を持ち出す。
「リサ、メイド服は他にもあるか? その服を着てこの施設から出れば、ここの関係者だと思ってくれるかもしれない」
「それはありかもね。ユウナ一人だけだったら、
ジュスティーヌはプルンとした唇に人差し指を当て、ピンクの長い髪を微かに揺らした。
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