第7話本当ですよ・・・
「本日、最終列車の発車時刻は・・・」
何、最終列車って・・・言った。
「誰か、マーヤを探しておくれ、誰かーーー」
「どうしました、何かお困りですか」
小太りな三十代くらいの女性の方が、視線を右往左往させながら声を上げている。
その女性には真似夜は声を掛けていた。
「マーヤーーー、マーヤーーー、マーヤーーー」
「探すの手伝いましょうか」
女性から顔を逸らして周りを見回した。
五十代くらいの三人の女性が会話しながら歩いている、内容が伝わっても気にしない程、大声であった。その後ろには四人の女子高生がスマホを見ながら会話している。
此処は何処なのと更に広く周りを見回した。
洋服店、服飾店、書店と、向かい合わせに店舗建ち並んでいる。
吹き抜けに縁取られた通路が有り、そこにはエスカレーターが取り付けられている。
見える範囲内でも通路に、エスカレーターに、店舗に人集りが五十人以上は居た
何、此処は何処かのデパート内なの・・・
何、何か買い物しに来たの・・・
何も思い出せない
「すみません、・・・叔母さん、マーヤを探してるんですね」
マーヤ、誰、誰なの
「マーヤ、そう、私のマーヤが、目を逸らしているうちに居なくなったんです。どうしたらいいの、あなた、探してくれるんですか」
買い物なのか分からないけど、時間あるし
「あの、特徴はどんな感じですか、此処からは見えませんか」
「特徴は、・・・あんた、何言ってるの、格好・・・ゲーム好きな」
ゲーム好きかって・・・
ゲーム好きしか特徴ないのどういう事よ
他に特徴は無いの
「特徴は分かりません、有りますね、何か、・・・そうですね、一緒に探してみましょう、・・・ゲーム好きなんですよね、ゲームコーナーとか行ってみましょう」
「向かって歩いて来る三人の少年達は、特徴が似てます」
「えっ、少年、・・・そうですね、違います、ゲーム好きです」
「書店行ってみましょうか、立ち読みとかしてないですか」
「書店、書店、何で、書店、ゲーム好きなんですよーー」
ゲーム好き、ゲーム好きって、背丈、服装とか教えてよ
「ゲーム攻略本とか、ゲーム雑誌とか、読んでるかも知れませんよ」
「あんた、さっきからずっと何を言ってるの、マーヤーーはゲーム好きなんです、書店って何ですか」
書店近くの通路を歩いていた二人の前で、今しがたまで、見えていた書店が、消えていた。
「最終列車の発車時刻は・・・」
何、このアナウンスは、列車の発車時刻って、どういうこと、・・・マーヤを探さないといけない
「分かりましたゲームコーナーに行きましょう・・・ゲームコーナーにきっと居ますよ。マーヤは」
「どうです、この中に居ますか、マーヤは」
「マーヤーー、マーヤーー、マーヤーー」
「マーヤを探しましょう、叔母さん、えっ、えっ」
「マーヤ、あんた、何言ってるの、マーヤ、誰よ
カーシャよ、私のカーシャ、カーシャ、カーシャーーー」
何、どういう事、叔母さんが、叔母さんじゃ・・・無い、人でも無い、・・・縫いぐるみ、カラス顔で、二足歩行で立っている
「カーシャーー、カーシャーー、カーシャーー」
「えっーーーーーーーーーー」
真似夜の目の前に会ったゲームコーナーはおろか
周りの景色が消えていた。
ただ薄暗い空間に立っていた。
「本日の最終列車の発車時刻は・・・」
何、何、何、何、此処は、何処なの・・・
さっきまで、デパート内に居たのに・・・消えるなんて
「最終列車の発車時刻は・・・最終列車の発車時刻は・・・最終列車の発車時刻は・・・」
また、このアナウンス、何なの、何なのいったい
マーヤ、カーシャって誰よ
「本日の最終列車の発車時刻は・・・最終列車の発車時刻は・・・最終列車の発車時刻は」
真似夜がいる空間が七色の明かりに照らされて突如として何処からとも無くモクモクの煙りに、汽笛を鳴らした機関車がやって来た。
「本日の最終列車の発車時刻は・・・」
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