第3話本当なの・・・

「ねぇ、さっき電器店とコンビニで、買い物する時

クマーは、どうして人間に成ったの、エリサ一人で出来るのに」

「エリサ様、人間と言うのは我らとは似て非なる存在でして」

「ソンザイ、まあ、いいや・・・何か違うのね」

渋谷駅近のセンター街のコンビニの外壁に背を持たれてエリサはアイスを食べながらエリサしか見えない淡く薄っすらと側に居るクマークと会話している。

午後過ぎと言う事で、弁当、惣菜、パン、飲料水、アイスとコンビニに買いに来る客は後を絶たず、レジには列を成して人だかりを象徴した装いであった。

エリサの目の前も当てもなく彷徨いたりする人グループ、通勤、通学路の人と人が入り乱れて、騒々しい。

「どうするクマー」

「・・・ん、直ぐにでも、戻られる事を望みます、

戻りましょうー」

「駄目だ、まだ、殺気を感じる、逃したのとは別の

種類の殺気だ」

「マツ吉、エリサ様にこれ以上危険な事に合わせてはならん」

マツがエリサのボストンバックから顔を出して二人の会話に入っている。

「エリサはどうなんだ、帰りたいか、それとももう少し探索するか」

「渋谷好きだし、久しぶりだし、楽しそうだし、まだ、探索したいな〜」

クリクリした大きな眼を上目遣いでクマークにお願いする。

「エリサ様、戻りましょう、勉強も途中ですし、お腹空いてないですか」

「お腹、・・・お昼まだだし、あっ、コンビニで買えばいい」

「エリサ様、あまり、人間の食料を口にするのは賛成出来ません」

「ん〜、・・・パンならいいよね、安全だよ、良く

聞くよ、パンは裏切らないと」

「それは、意味が違います」

「我にも、パンに似た食材は有りますが、食べ過ぎると・・・」

「現れづらくなるんだよね、知ってるよ、でも、折角の渋谷探索だのになぁーーー」

「殺気だーーー、エリサーーー」

「えっ、殺気ー」

エリサは目の前のすれ違う喧騒に視線を集中して

見回した。

「何処よ、どこなの」

「エリサ後ろだ、コンビニ内から感じるぞー」

「何処、本のとこ、奥のジューウスのとこ、それともレジのとこ、あっ、レジでスナック菓子を山盛り買ってるお姉さん、あー、エリサも欲しいな〜」

エリサがコンビニの外から窓越しに店内を観察していた。

「帰ろう、エリサ様、こんなにたくさんの中からは

先ず、確認するのは難しい」

クマーは、エリサを信じてないな、まだまだ修行不足と勝手に決めて相手にしてもくれない。

折角の渋谷探索だのに、活躍したいのに。

もう一つぐらい確認したっていいじゃない、 ・・・エリサは、絶対あのスナック菓子を山盛りしてるお姉さんが怪しいと思うのに、あっ会計して言っちゃうよ、後つけないと。

「マツ、マツはどう思う、あのお姉さんよね」

「殺気が、薄い、ただの御菓子が好きなだけみたいだな・・・帰ろうか・・・」

「ちょっと待ってよ、ほらっ、弁当二つににパンと缶コーヒーと唐揚げと買った人は、違う」

「違うな」

「もうやめよう、二十人以上は余裕でいる、それに

殺気は、何処かへ行ってしまった感じがして来る」

「・・・あっ、あっ、トイレよトイレに駆け込んだ

人だ、きっとトイレよ」

「エリサ様ー、帰りますよ」

「エリサ、帰るか、・・・エリサを誘ったマツが悪かった・・・武者修行とは言わないが、少し外の世界へ探索も必要かと思ったが、早すぎたかな」

えー、もう終わり、楽しいのに、もっと探索したいのに、お腹空いてるけど、疲れてないし、充電器買えたのは良かったけど、目の前人たち、なんか楽しい表情してるし、エリサも、こんなにウキウキ楽しんでいるのに分かってよ。

「クマー、・・・駄目ですか」

「マツー、・・・いいよね」



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