第2話本当か・・・

店内を彷徨く二人、いやっ、一人と一匹

時間問わず客通りは、入り乱れていて、活気的な雰囲気が点灯やアナウンスから伝わって来る。

「ここ何処だっけ」

「ビックカメラだよ、入り口にデカイ看板、見てない」

エリサ、背丈は平均的な五歳くらいと一緒で、上下真っ白いスカート姿、背のボストンバックの中から

顔を出してマツとエリサが会話している。

「マツーー、見られない様にして」

何かを探索する様には見えず、通りを進んで行く

「あー、あー、合った、トイレ」

「トイレーーー・・・」

あれっ、トイレ探してたんじゃないの

店に入ったらまずトイレ探すだろう

子豚はトイレ近くならないのね

エリサには大事だけど

・・・あれっ

「マツーーー、あれっ、」

「気付いたな」

エリサは急に静かになり通路からショウケースの角に身を隠す

そして、ワン、トウ、スリとカウントダウンを取りながら勢いつけて走って行く、ドーンとぶつかる様にそれに抱き着いた。

二メートルは越す茶色いフサフサ毛のクマの縫いぐるみがエリサと抱き合っている。

「エリサ様、ご無事で、用も言わずに飛び出していく物だから心配しました・・・マツ吉ーーー・・・

さては、・・・そうであったか、でっ、何処に」

その大クマの姿は周りには気付かれる事もない、エリサにだけ分かるようにその場に滞在している。

エリサのボストンバックから身を取り出して、マツは二足歩行で、テクテクと音のする方へ進み始めた。

エリサは、その歩く姿に愛着を感じるのを堪えて

後をついて行く。

尻尾、可愛いな〜

リンリンリン、リンリンリン

ヒュンヒュン、ヒュンヒュン

ビュンビュン、ビュンビュン

エリサが、音の方へ近付くにつけて響きが強くなって行く。

その音は、エリサ達にしか聞こえない。

年頃が、十歳くらいの三人の少年達が、学校に行きもせず食い入る様にショーケースを覗き混んでいた。

その子らの背後には忍び寄る黒い大きな影が蠢いている。

エリサは、前を行くマツの声掛けよりも速くスマホを取り出して、その場に上下左右空の結界を作る様にピシャ、ピシャと声を掛けて連写する。片方の手にはコンパクトを頭上に構えて

「あっ、あっ、・・・」

「逃したか、エリサーーー」

忍び寄る黒い大きな影は、殺気を翻して逃げて行った。

あーあー、充電切れだよ

逃しちゃった

スマホを上下に振っては液晶画面を確認する

ダメねダメみたいです。

よしっ、行こう、行こう

充電器買いに、次は絶対逃さないぞー

エリサを本気にさせたからには、本気なんだからね

と口ぶさ見ながら、クマの縫いぐるみに抱きつくエリサがいた。

エリサー、だから、何度も何度も、充電器買えと言っていたのに・・・五歳児じゃ、三歩後には、可愛い可愛いと顔をスリスリして来て、どうしたらいいのやら

「クマー、クマな」

「誰がクマーだ、クマークだ」

クマーク、見た目は五頭身のクマの縫いぐるみに水色袴着姿の長靴と言う出で立ち。

「すいませーん、充電器何処ですか」

「お嬢ちゃん、いくつ、ママやパパは、一人、迷子」

エリサに客対応を行わないスタッフに、イライラしている

スッと音も無くクマークが、スーツを着た紳士姿になり、エリサの元にやって来る

「お父さん・・・」

「はい、すみません、スマホの充電器を探しています」

「どうぞ、こちらです」

無事、スマホの充電器を購入した一向は、安堵に

店から出て来た。

「マツー、殺気は消えたね」

「ふうー、先ずは一つクリアと」

「クリアじゃないー、ノークリアよ・・・逃したし」

「あー、あー、アイス、アイス食べたい、ロウドウの後は、アイス、アイス休憩しよう、しよっう、絶対ね」

エリサは、何を言っても効かない態度で、我を先にと駅近のコンビニへ向かって行く。

その後になった事実は

「あー、あー、当たりーーー、もう一本アイス」




























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