ウインドウショッピングは、在り来たり

@4971db

第1話本当に・・・

人の行き交いが絶えない午後過ぎの渋谷の駅前で、何するわけも無くカラスの群れの鳴き声がしている。

カアカアにも、アーアーにも聞こえている、虚ろな鳴き声は、誰かに返答を求めてる仕草を裏切る様に

幾重にも居場所を低空飛行で変え変えと飛び移っては、時を無駄に過ごしていた。

カリカリ、カリカリ、スースー

「あー、あーーー、まだ既読しないの、良い加減にしてよーーー」

赤いワンピースに、肩に掛かるくらいの襟足をパーマした黒髪の、二十二、三の女性が、スマホを操作

しながら駅の入り口の壁に背中を預けて立っている。

カリカリ、カリカリ、カリカリ、スースー

「オウ、すまん、すまん、好きだから・・・遅れ」

彼氏が、女性の背後から走って来て肩を叩いたのに

全く気付かずにスマホと眉間に皺を作って睨めっこしていた。

「既読、既読、返信が、先でしょう・・・さっきから目の前をカラスが、チョロ、チョロして・・・」

「行こうか、好きだよ」

肩を優しく抱く彼氏に、飛び跳ねして、イライラを

ぶつけながら、二人は雑踏の中へと消えていった。

キュルルーーー、キュルルーーー、ピーーーー

山手線の発車ベルが鳴り響き木霊して、駅のホームから降りて来た客と乗り込む客が、交差して階段は埋もれている。

その中から、背にオレンジ色のボストンバッグをした薄水色お下げで、両輪の髪はクルクルの一人の五歳くらいの少女が、階段を三つ飛びに跳ね越しながら降りて来る。

と言うか、実際には、空を切る様に・・・

すれ違う人々には、感づかれる事もないその体表な

その薄くサラサラな、そよ風が吹けば身体を持っていかれる様に対座いしている。

「マツーーー、マツーー、マーーーーツーーー・・・何処よ、マツーーー、マーーーーツーーー」

小さい口の前に両手を添えて、声が遠くまで響く様に大声で、呼んでいる

「イーータイ、イーーーーー」

「あっ、そこに居たの〜」

「イーータイ、イーータイ」

エリサの足下、丁度、三段超えした勢いで、着地した、エリサのお気に入りのキャラクター姫の絵柄の靴の下にマツこと、ひつじ兼ペット役の子豚に似た

豚なのに鼻が、小さい鼻で、しっかり尻尾のあるピンク色に黒色ジャケット姿のマツがいる。

マツーが言うには、我こそが豚の先祖で、豚は、最初は、人に似た顔立ちであると。

「マツーー、マツーー・・・声しかしないけど」

「・・・エリサーーー・・・コンパクト、コンパクト」

「あ、わぁ、そうそう」

パカッと、ボストンバックからコンパクトを取り出し開く・・・

「あっ、あれっ、マツーーー、マツーーー」

・・・世話焼けるな

「スマホ、スマホーー・・・重ねて・・・裏から

・・・カメラレンズに・・・少し離して」

「マツーー、マツーーー、居た、居た」

エリサがスマホにコンパクトを開いて裏から重ねて離していくと、薄眩い光の中からその場に映し出される様にマツが姿を現した。

同時にエリサもその場に現れる。

「小っちゃーー、小っちゃいけど可愛い」

スリスリ、スリスリ、スリスリ、スリスリ

スリスリ、スリスリ、スリ・・・

わあっ、もう〜いいじゃない、可愛いんだから

スリスリ、スリスリ、スリッ

離れないでよ、顔を蹴るなんて

「エリサーーー、良い加減にして、我は、我が一族の身体を、可愛いなどと、ペットの様に扱うとは

不届きものよ、主人としては怪しからん、恥をしりな・・・」

スリスリ、スリスリ、スリスリ

スリスリ、スリスリ、スリスリ

だって、耳は小ちゃく両輪と塞いで、尻尾は先からクルクルだし、両手足小さくチョキみたいだし、腹はプニュプニュして気持ちいいし、スリスリ、スリスリ、可愛いんだもん。顔もクルクル目でパッチリ

鼻がちょっと・・・変化かな

「行くよ、エリサ」

「はい、はい・・・何処へ」

「んもうーーー、ウインドウショッピングじゃ」


・・・・・・渋谷で









































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